再々批判 武田邦彦氏の誤り


2011.12.26



1ヶ月ほど前に、武田邦彦氏が地球温暖化について間違った説明をしていることを批判しました。

武田氏の原文
http://takedanet.com/2011/11/post_a7b8.html

私の批判
http://www.minusionwater.com/ondanka.htm


氏はきのう、輪をかけて間違ったことを録音でしゃべっていました。

特に、「自分は物理学者だから、物理学的にものを考えるんだ」、と何度も繰り返して、その上でデタラメを言っているので、世間に、「物理学者ってこんなの?」という誤解を与えてしまうと思われますので、再度批判しておきます。

武田氏のファンの方がおられたら、「こういう批判があります」と武田氏に伝えてください。

武田氏は録音で次のように言っています。



大気中のCO2が太陽によって暖められる。

しかし、暖められたCO2が海水を温めることはできない。

なぜなら、海水の方が比熱が断然大きいからだ。

海は太陽が暖める。(だから夏は海水浴ができる)

では冬になると海はなぜ冷えるのか。

それは深いところの冷たい海水が表層の水を冷やすからである。


大気中のCO2が太陽で暖められる、というところが既に大きな勘違いです。

また、海は太陽が暖めている、ということは小学5年生くらいなら誰でも知っていることです。



「CO2が暖まると海が暖まるって? そんなことはないぞ! みんな分かるか?」

と武田氏は一生懸命言っていますが、誰もそんなことは考えていませんし、誰もそんなことは言っていません。武田氏が自分で勝手に言って、自分で否定しているだけです。

唖然とするのは、冬になって海水が冷たくなるのは、深いところの海水が表層の海水を冷やすからだ、という説明です。 
よく、こんなことを平気で言えるものです。武田氏は筆を折るべきでしょう。


正しい説明は次のとおりです。

夏は太陽が高く、冬は太陽が低いので、夏は海にそそぐ太陽の熱が多く、冬は少なくなります。

入った熱はどこへ行くのか。

いったんは海水を温めますが、やがて海水からの輻射放熱として、宇宙に戻って行きます。

海水に入る太陽熱が、海水から放出される輻射熱と等しいと、海水の温度は変化しません。

海水に入る太陽熱が、海水から放出される輻射熱より多いと、海水の温度は上がります。

海水に入る太陽熱が、海水から放出される輻射熱より少ないと、海水の温度は下がります。

この関係を以下に図示します。








夏は太陽熱が多いので、海は暖まります。
冬は太陽光が減り、海水からの輻射放出の方が多くなるので、海は冷えます。


(海水からの輻射熱の量は、厳密に言うと、海水が温かい方が多く、
冷たい方が少ないのですが、今の話ではそこまで考える必要はないので、
上の図では四季を通じて一定としています)


深いところに海水がなくても同じことが起こります。

たとえば、世界中の海がすべて深さ5メートルくらいで、すべての海で太陽光が底まで届いたとしても、海水は夏に暖まり、冬に冷えるという、同じことが起こります。

深いところにある海水は関係がありません。

(むしろ、深いところの水は、表層の水が冷えるのを防いでいます)


ところで、


上部の海水の熱が、下部の海水に伝わることはありません。
それは武田氏も前回言っていたことです。
対流が起きないので、表層を暖めても底部が暖まることはありません。

しかし、今、武田氏が言っている、底部の海水の冷たさが上部の海水に伝わるという話は、これとまったく同じことを逆向きに言っているだけなのです。

ですからそういうことは起こりません。

底部の冷たさが上部に伝わるとはどういうことか。
それは物理現象としては上部の海水の熱が底部の低温の水に伝わるということです。


そして、そういうことは起こらないと武田氏は前回の説明で言っているのです。
しかし今度は、それが起こると言っています。





武田氏の自然エネルギー排撃も、間違い


武田氏はまた、さかんに「自然エネルギー」を排撃しています。
武田氏だけが正しく、世界中の人間がバカであるかのように録音でしゃべっています。

しかし、そんなことはありません。


武田氏の自然エネルギー排撃の大きな根拠は、自然エネルギーというものは、誰かがそれを享受している、つまり誰かが使っているので、それを横取りしたら、今まで使っていたその者が困るだろう。それはつまり自然破壊だ、だからやめよう、というものです。


これが大きな間違いです。


自然エネルギーというもののほとんどは太陽に由来しています。
太陽光や太陽熱、風力、波力、潮力、バイオマス、などは、起源はすべて太陽です。

地球にふりそそぐ太陽のエネルギーは、やがて地球から輻射エネルギーとして放出されます。
入ってくるエネルギーと、出て行くエネルギーが地球全体で平衡しているので、地球は熱くもならず、冷たくもならず、現状で安定しています。


地球にふりそそぐ太陽のエネルギーは莫大な量なので、その全てを地球上の誰かが使っているなどということはありません。とうてい使い切れない量です。ほとんどのエネルギーは、単に入ってきて、また出て行っているだけです。

ですから、その入ってきたエネルギーのほんのわずかを、出て行くまでに人間が少々加工しても、地球の熱平衡は変化しませんし、自然破壊にもなりません。

たとえば、太陽エネルギーで風が起こります。台風になったりハリケーンになったりします。
しかしその風のエネルギーは、やがて空気や樹木や海洋の摩擦熱になって、宇宙へ輻射放出されます。
その途中に風車を立てて、風のエネルギーを電気に変えて、それで照明をしたり電車を動かしたりしても、そのエネルギーは最後には地球から輻射放出されますから、熱平衡が変わることはありません。

それに、人間が必要とする電力エネルギーなど、地球にふりそそぐ太陽のエネルギーに比べればたかが知れています。ですから、風力発電で自然が破壊されることはありません。


武田氏は、

風がなければ洗濯物が乾かない、自然破壊だ
風がなければ水蒸気が一杯になって植物が育たない、自然破壊だ、
風がないと鳥が空を飛べない、自然破壊だ  (????タコあげじゃあるまいし)
太陽光パネルを設置すると下が日陰になる、自然破壊だ

佐世保で太陽光利用のフィージビリティスタディをしたら、町中をパネルで覆うという結論になった、だから太陽光はダメだ
ドイツは太陽光で大失敗している、あんなものは使いものにならない、詐欺だ
水力発電は、ダムが公害を生むからダメだ
地熱発電は、岩石が冷えてどんどん掘らなければならないからダメだ、


などと言って、自然エネルギー利用を排撃しています。

しかし、

風がなくても湿度が低ければ洗濯物は乾きます
ジャングルではほとんど風がなく、空気は湿っていますが、むしろ植物が繁茂しています。逆に風が強いと大きな木は生えません。
鳥もチョウチョも、風がなくても空を飛びます。
家を建てても日陰ができます。それが自然破壊なら人為はすべて自然破壊です。
佐世保のような人口密集の市街地で、太陽光で採算がとれないのは当然です。
ドイツの緯度は樺太くらい、九州は中東くらいです。太陽光利用は日本はドイツより有利です。
水力発電は、今から大きなダムを作るという話ではありません。まずは、遊休している設備をちゃんと使い、次に中小河川での小水力発電です。
地熱は、岩石が冷えるなら、たくさん作ってローテーションを組み、1年発電して2年休むとかすれば、地熱ですから回復します。工夫の余地はいくらでもあります。


自然エネルギー利用は、もともと、それですべてをまかなおうという話ではありません。ゆくゆくはそうなるのが理想だととしても、今はいろいろな組み合わせで補完的に使おうという話です。
武田氏は、全部を太陽光にするとああだこうだ、全部を水力にするとああだこうだ、という話をしていますが、そんな話は誰もしていません。


武田氏は今頃になって、石油も天然ガスも1万年分くらいある、どんどん使おうと言っていますが、かつては、石油が無くなるから原子力、原子力、と言って、ウラン濃縮をしていました。
しかし、石油や天然ガスがそう簡単には枯渇しないことは、30年前でも分かっている人は分かっていました。下記の30年前の馬野さんの本も、そのことを言っていました。先見の明とはこういう人のことを言います。

http://www.minusionwater.com/gasturbine.htm



今は、自然エネルギーを利用する技術を開拓すべきときです。




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