山田孝男氏(毎日新聞特別編集委員)は安倍に取り込まれた

2015.06.29

いっときコラム「風知草」で優れた論説を発表していた、毎日新聞特別編集委員の山田孝男氏は、「安倍と会食」という禁断の果実を何度かかじってしまったために、もはや安倍に籠絡されてしまいました。「オレは大丈夫」という自信があったのでしょうが、そうは行きません。酒席で接待された後は安倍に厳しい論調はまったく書けなくなってしまいました。

外交でも首脳同士が一緒にメシを食うわけです。
国賓は宮中晩餐会でもてなして、天皇陛下と会食するわけです。

なんのために?

もてなす側からすれば、それは仲良くなって自分に利をもたらすためです。
そして実際、酒を酌み交わし、おいしい料理を食べながら歓談すれば、仲良くなって、もてなした側には十分にメリットがあるのです。それは人間の習性ですから、民間企業同士でもやっていますし、民間企業が官僚を接待することもあります。「越後屋、おまえも悪よのう」というお代官様のセリフはそういう場で出てくるわけです。

だから、捜査官がやくざと会食することは御法度なのです。
いやいや、オレは情報を取るだけだよ、オレは大丈夫だよ、と言ってもダメなのです。
その事実がばれれば、国民は捜査官を信用しなくなります。

ジャーナリストと権力者が会食するなどということは、それだけでスキャンダルなのです。
欧米では考えられないことです。
「オレは大丈夫」などということはないのです。だから御法度なのです。


作家の平野啓一郎氏は次のようにツィートしています。
まったく誰が考えてもその通りのツィートです。
その下の表は赤旗に掲載された、安保法制を国会に上程した後の安倍の会食です。






このように6月24日に山田氏は、他のジャーナリストと共に安倍の接待を受けています。
6月22日の山田氏の風知草について、毎日新聞に次のような投書がありました。



山田氏の元の論説は毎日新聞のサイトから消えてしまっているので掲載できませんが、この投書でおよそのところは分かると思います。

「政権が軍事国家を目指しているという断定は不当な極論である」

という山田氏の断定に対して投書子は反発しています。

山田氏の断定には根拠がありませんから、おかしいと思うのが当然です。
このように根拠のない「サポート」が生じるところが会食の効果なのです。

「いやいや、山田さんね、私が軍事国家を目指しているなんて、そんなことあるわけないじゃないですか、そういうレッテル貼りはやめてもらいたいんですよ、ねぇ、山田さん」
「そりゃそうですよね、総理、今の時代に軍事国家なんて、ありえませんよね、あっはっは」

などという酒の席での会話があったことは想像に難くありません。

山田氏は首相に「国の基本は不戦にある。そういう国だと言ってもらいたい」と言っていますが聞き入れられないでしょう・・・・・・

と投書子は言っていますが、これもまったくその通りで、安倍は「アメリカに従って世界中で戦争が出来る国にする」と言っているのです。答弁にはっきりと現れているわけで、なぜ安倍がそんなことをしたいのかというと、元々そういう男だからです。ナチスの手口をまねて国民が知らないうちに憲法を変えてしまえと麻生が言いましたが、もちろん安倍とそういう話をしているわけで、今回の言論封殺騒動にしても、安倍の意向を忖度した取り巻きが、安倍に喜ばれようとやったことです。政権全体がそういう考えなのであって、不戦の国などと言うわけがありません。

山田氏のトンチンカンぶりには呆れますが、しかしこれが会食の効果で、山田氏は安倍に対して真っ向から批判しようとすると、どうしても「宴席での楽しい会話」が脳裏に浮かんできて、筆鋒が鈍ってしまうのです。
今週の風知草は次のようになっています。
 





これも安倍に籠絡されて政権擁護に終始した主張です。

「山田さん、分かるでしょ、私はね、この国をどう守るか、それを真剣に考えているんですよ、野党は反対、反対と言ってますが、国防をどうするかまったく対案がないじゃないですか、ねぇ、山田さん」
「そうですよね、総理が真剣に考えているのに、野党はまったく無責任ですよね」

という酒席での会話が目に浮かびます。


しかし、今の安保法制の議論のメインは、「国防はどうあるべきか」という議論をしているわけではありません。だから国防をどうすべきかという議論がないのは当たり前です。スイスの国防体制を引き合いに出すこと自体がトンチンカンで、政権を擁護する結果になっています。

今の議論は、この法案が憲法違反だということです。
国家が立憲主義で統治されている以上、憲法違反の法律は作れないはずです。
それを安倍が作ろうとしている、だから反対だ、ということです。

国防をどうするかは平時にあってじっくり議論すべきことであり、現在眼前にある安保法制の可否とは関係がありません。それを山田氏はわざとまぜこぜにして、議論をすりかえて政権擁護を図っているわけです。これが恐ろしいことに、会食の成果なのです。


山田氏は、中国海軍の増強によって制海権が失われたかのように言って危機を煽っています。
しかし、近世アジアにおいては、日本軍が中国韓国アジアを軍事力で席巻したのであって、逆ではありません。中国が日本を恐れるのは当然ですが、日本が中国を恐れるのは見当はずれです。そのような妄想に従って軍備を増強することはお互いに誤解を増大させるだけです。


私見を述べれば、日本の国防はポツダム宣言で指定された4島(北海道 本州 四国 九州とそれに付随する島々)を固有の領土として死守すべきであって、それに必要な軍備を持つべきですが、いざとなれば(アメリカ以外の国が日本に攻めてくるとは極めて想像しにくいことですが)それ以外はいったんは捨てるべきだと考えます。もし防衛の範囲に沖縄も含めたいなら、本土の政権は沖縄に対してそれなりの態度をとるべきでしょう。今の安倍政権では向こうから去って行ってしまいます。
尖閣は共同管理で十分です。
竹島も裁判で争うのは可ですが軍を起こすべきではありません。
北方4島はいまさら住む人はいませんから、どうでもよいことです。

「満蒙は国家の生命線」とか「ガダルカナル死守」とか、そういう誇大妄想につられて防衛ラインを拡大しても、兵站が続かず損害はいっそう拡大して、最後は日本中が焼け野原で無条件降伏ですから、そういうバカなことは二度と繰り返してはいけません。四島専守防衛です。


さて、山田氏のこの論説は、読むべき内容がまったくありませんが、ただ一つ、どうしてこんなことを言うのかといぶかしく思う点があり、それが本稿を書く理由ですが、山田氏は

法案の「7月中旬、衆院通過」は公然の秘密

と書いています。

もちろん、国民はそんなことは知りません。
野党も国民も、法案を廃案に追い込むことに全力を挙げています。
それに冷や水を浴びせる山田氏の発言の意図は何か。

山田氏は

「君ら知らないだろうけどね、オレは酒飲みながら安倍ちゃんから聞いて知ってるんだけどね、どんだけ反対しても多数決で7月中旬に決まるんだよ、え? これって常識でしょ、絶対多数なんだからさ、はいはい、デモとか国会質問とか、どちらさんもご苦労さんですね」

と平然と言ってのけて、政権を援護射撃しているわけです。
ジャーナリズムも、たかが酒食でここまで腐るか、という見本です。


しかし、たぶん、そうは行かない。




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