武田邦彦氏の要望に応えてチェックしましょう

2011.08.22


武田邦彦氏が、自分の文章をチェックして欲しいと言っています。

(全体としては間違いがないと思いますが、
数字が多いので、もし詳しい方がおられたらチェックをお願いします。)


別に詳しくはないのですが、シロウトにも分かる誤りが多すぎるので、ご要望に応えてチェックしておきましょう。


以下は武田氏の8月22日のブログからの引用です。

全体として、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、同じことを繰り返したりと、例によって冗長で分かりにくい武田節ですが、その中でも特に赤字の部分は氏の誤りですので赤字で指摘しておきます。特に肝心な点は、1ミリシーベルトの話をしているのか100ミリシーベルトの話をしているのかという根本的なところが判然としないことです。

青字の部分は論旨にあまり関係のない部分で、飛ばして読む方が分かりやすいでしょう。。




甘く見られないように(2)・・・「どうせガンは多いのだから」


最近ではさすがに少なくなったが、3月から5月にかけて、放射線防護が専門のお医者さんや原子力安全委員長を歴任した方、そしてこれまで放射線被曝については批判的な態度をとってきた朝日新聞のように「どう見ても社会をリードする人やマスコミ」が、「どうせガンが多いのだから、1年100ミリ被曝しても大したことはない」と繰り返し発言してきた。

人間は全員が死亡するが、死亡した時の原因を分類して「ガンで何人が亡くなった」という統計と、東電がヘマして原発が爆発し、不意に児童が被曝してガンになるのは質的に違うので、もともと数字で比較するのがおかしい。

でも、それを言っているのが専門医、国の高官、それに巨大マスコミともなるとそれなりに反撃も理論化しておかないと多くの人が困る。事実、自治体や教育委員会などは、権威に弱く自らは考えようとしないので、同じことを言って住民を苦しめている例が見られる。

そこで、一応、ここでは相手の立場にたって、質の違うものだけれど数字で比較してみたいと思う。
・・・・・・・・・

1年で死亡する日本人は、約110万人だ。
人口が1億2000万あまりで、平均寿命が83歳ぐらいで、今でも少し平均寿命が延びているので、計算はおおよそ合っている

その中で、死亡の原因がガンの人は、
男性が20万人、女性が13万人で合計33万人だから、ちょうど30%に当たる。私が国会の委員会で参考人陳述をしたとき、原子力安全委員長を経験した高官が同時に陳述をしたが、そのときに「ガンは30%、あるいは50%と言ってよい」と自分の論旨に都合の良いように数字を誤魔化していた。

病気や公害などでの被害者数を示すときには「10万人あたり」で示すことが多いが、ここではもっと直接的な感覚で比較したいので、福島原発で被曝した人(多い人も少ない人もいるが)が日本人の10分の1ぐらいとして1000万人を基準としたい。

そうすると、ガンが死亡の原因となる人は「1年に2万7000人」である。これに対して、
1年1ミリ被曝した人がガンにかかる確率は0.5%で、これは放射線防護のお医者さんも、マスコミ、私も同じ数字を使っている。つまり、1年に100ミリの被曝をすると、1000万人で5万人がガンになる。

ただ、ガンになっても治癒率(5年間にガンが再発しない比率)は
適切な治療を受けたときには6割、治療を受けない人も含めると4割とされているので、3万人が被曝によってガンになり、それが原因して死ぬ可能性が高いことを示している。

【第一結論】
1年1ミリを被曝すると、ガンにかかって死ぬ可能性が2倍に増える。

・・・・・・

次に年齢のことを考えてみたい。最近、ガンが増えてきたのは発がん物質が急に増えたのではなく、寿命が延びたからだ。ガンというのはある種の自己的な病気で、どうしても年をとると遺伝子などに傷ができてガンになる.普通は60歳までのガンというのは少ない。


数字で言うと、60歳までは10万人あたり50人レベルだが、80歳になると2500人となり、実に50倍になる。普通のガンが「老人病」であることがハッキリわかる。


これに対して、
被曝については広島原爆の例では、白血病では10歳以下は全年齢に対して3.4倍、白血病以外は2倍で、平均して3倍程度である。従って、若年のリスクという点だけでは、普通のガンに対して被曝のガンの危険性は150倍にもなる。

やや、ややこしい数字だが、これも広島原爆の記録を見ると、10歳以下で被曝した子供が20歳までに死亡した確率は、10歳以下で被曝しなかった子供に比べて44倍(原爆被爆データ。日本アイソトープ協会からICRPに報告した1992年発表)とされている。


【第二結論】
1年1ミリを被曝すると子供はガンの危険性が150倍になる。

・・・・・・

私がこの記事を書いたのは、何も知らず、ただ親や大人を信じて元気に生きている子供を被曝から守ろうとしている方に少しでも反撃の手立てを示したいからです。

相手は「
日本人の30%がガンで死ぬのだから、1年1ミリ被曝しても0.5%しかガンにならないのだから、大したことはない。60分の1だ」と言います。これにはトリックがあるのです。

一つは、
1年間と一生を隠して比較していることです。1年1ミリ被曝するということはそれによってガンになる確率が0.5%であると言うことです。だから、「日本人の30%」ではなく、1年で33万人、つまり0.27%が普通に1年でガンで死亡する確率なので、それに再発率を考慮して0.45%になります。

また、80歳以上で死亡した原因がガンだったというのと、10歳の子供が被曝によってガンになり、死亡するのとではまったく違うので、子供のガンを比較しなければなりません。小児ガン(0−14歳)の発生率は10万人あたり8人で、全年齢では270人(男女に分けると平均135人)と比較すると34分の1です。

以上のことから次のように反論してください。

・・・・・・

日本人のガンが30%というのは普通に死ぬときの比率ですから、ガンになる比率を1年あたりで示しますと再発率を加味して0.45%に当たります。これに対して1年1ミリ被曝すると0.5%がガンになりますから、被曝によって{普通にガンになる(0.45%)+被曝でガンになる(0.5%)}で約2倍になるということです。

また子供に限定すれば小児ガンの発生は
34分の1ですから、子供は0.013%しかガンになる可能性がないのに、それが放射線の感度も加味すると子供は、全年齢の0.5%の3倍の1.5%の確率になりますから、1.5÷0.013で100倍以上もの危険性を負います。100倍ですよ! 大人を信じている子供を裏切ることにはなりませんか!

そして、なぜ子供が被曝しているかというと、自分の意志でも、日頃の行動でもなく、東電がミスしたからで、あなたは東電のミスを子供のガンで購おうとしているのです。」

(全体としては間違いがないと思いますが、数字が多いので、もし詳しい方がおられたらチェックをお願いします。)

(平成23年8月22日)


引用終わり





以上の中身を、誤りも正して言えば、以下のとおりです。
(武田氏が提示している前提条件が正しいとして)



@日本人がガンで死ぬのは毎年33万人である。
A死ぬ割合はガンにかかった人の6割なので33万人÷0.6=55万人が、(被爆がなくても)毎年ガンになっている。
B1年間に
Xミリシーベルトを浴びた時のガンの発生率は0.5%で、1億2千万人x0.005=60万人の人がガンになる。

結論1
C1年間に
Xミリシーベルトの被爆でガンの発生数(55万+60万)は通常の約2倍になる。


@小児がんの発生率は10万人当たり8人である。
A被爆による小児がんの発生は全年令平均の3倍あることが広島で観察されている。
Bしたがって全年令で0,5%が発ガンする場合、小児はその3倍の1.5%が発ガンする。
C1.5%とは10万人当たり1500人である。

結論2
D1500÷8=187 すなわち子供の発ガン率は通常の187倍となる。



まぁ、これだけのことです。



1ミリシーベルトと言ったり100ミリシーベルトと言ったり、1000万人で換算すると言っておいて知らぬまに1億2千万人に戻ったり、やっぱり10万人単位になったり、80才で50倍で子供は3倍だから子供のリスクは(80才の)150倍だと、どういう意味?みたいな計算をしたり、それがまた100倍になったり、ガンで死ぬ率とガンにかかる率をごちゃごちゃにして8を450で割るべきところを270で割って0.013だと言ったり、どこかから突然44倍という関係のない数字を持ってきたり、男が何人で女が何人だと余計な数字を出したり、30%を0.5%で割って60分の1だと誰かが言っている!と怒ってみたり・・・・・・そういう不要な部分や誤りや妄想を取り去って読めば、上記のことが残ります。

で、まぁ、これだけのことですから、誰かが誰かをだましている・・・という話でもありません。


武田氏の議論はしばしば、このように誤りに満ち、冗長で、支離滅裂です。
普通の人は武田氏のこの文章を10回読んでも分からないでしょう。
私も、誤りを訂正してくれと武田氏が言うので、ちょっと和文和訳をしてみました(^^が、ここまで読解するには2時間くらいかかりました。






ほかに、武田氏の8月21日のブログの太陽光発電の話も少し批判しておきますと、再生可能エネルギー買い取り法案を、太陽光で発電した電気をどんなに高くても 「言い値で買い取る」 法律だ、けしからん、事業家が大もうけだと武田氏は怒っていますが、むろんそんな法律ではありません。「定額で」買い取るという法律です。(金額は未定だそうです)

また、「再生可能エネルギーなんてものはない!エネルギーのどこが再生可能なんだ!」と氏は怒っていますが、むろん使ったエネルギーが再び戻ってくることはなく、再生可能とは renewable の訳で、「新しくできる、新しくなる」という意味です。太陽光や風力などを石油や石炭など枯渇する資源と対比して表現しています。それが国際的な定義です。

氏はまた、ドイツの太陽光発電が失敗したとさかんに言っていますが、昔、ミュンヘンサッポロミルウォーキー、世界ビールの名産地、というサッポロビールのコマーシャルがありましたが、南ドイツのミュンヘンでさえ緯度は札幌と同じで、太陽光は希薄ですから、ドイツでの太陽光発電はもともと厳しい条件です。赤ずきんちゃんが森を抜けておばあさんの家に行けたのは森に下生えがないからで、日本の森は通り抜けられません。太陽光の量の差です。ドイツの赤ワインはやっとピンクですが、イタリアの赤ワインは真っ赤です。これも太陽光の量の差であり、緯度の差です。

日本はネバダ砂漠ほどではなくても太陽光発電が成功しうる地理的条件にありますし、風力もありますし、潮流も小水力も地熱も世界に例がないほど豊富で、再生可能エネルギーの活用は十分に可能です。


武田氏の議論のずさんさについては、ウィキペディア「武田邦彦」で強く批判されています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E9%82%A6%E5%BD%A6



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