市民の科学
 
 2006.05.06

高木仁三郎氏(1938-2000 右の写真)が亡くなって6年になる。
私より10年ほど先輩になる。

面識があったわけではないが、若い頃に、当時夢のような未来が語られていた原子力をこころざし、その後、大学教官の職をなげうって原発批判に転じた、彼の考えに共鳴し、彼の言動に注目し、彼の行動を支持していた。
プルトニウムを燃やす高速増殖炉が、日本列島に20基も30基も立ち並ぶ日など永久に来ないし、来てはならない。「もんじゅ」は社会的、科学的ナンセンスのかたまりである。

亡くなってしばらくして彼を偲ぶ会が日比谷公会堂で開かれたとき、私は神戸から上京して参列した。
暑い夏の日だった。

その高木氏の遺志をうけつぐ高木仁三郎基金が、偲ぶ会の当日に設立され、会場で募金をしていた。高木氏が生前主張し実践していた「市民の科学」を支援する軍資金である。私も貧者の一灯を献じた。
以来、毎年、私はその基金をサポートしている。その高木基金の事務局長の菅波完氏からメールが来た。


--------------------------------[TFNews0041:2006年 4月26日]

高木仁三郎市民科学基金より、ご支援を頂いているみなさまへのお知らせです。昨年から「認定NPO」の準備を進めてきましたが、本日、「承認」の一報が入りましたので、取り急ぎ報告いたします。
(詳細については、あらためてお知らせいたします。)

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       高木基金が「認定NPO」として承認されました!!


                                           高木仁三郎市民科学基金
                                               事務局  菅波 完

 本日、東京国税局より、「高木基金が認定NPOとして承認された」という一報が入りました。正式には、4月28日付の官報に告示され、5月1日以降の高木基金への寄付について、寄付控除を受けられるようになります。

 次の世代の市民科学者を、市民がお金を出し合い、励ましながら、支援していこうという高木基金の活動が、「公益の増進に資する」ものとして国税庁から認められたのも、これまで高木基金にご支援をいただいた方、高木基金の助成を受けて研究に取り組んできた方、選考委員や理事、監事として、高木基金の運営に携わって下さった方など、すべての方のご支援、ご協力があったからこそだと思います。みなさまに本当にありがとうございました。

 高木基金は、亡き高木仁三郎さんの遺志によって設立されたものですが、文字通りゼロからのスタートであり、高木さん流の「走りながら考える」スタイルで現在に至っています。今後とも、支援者や助成先のみなさんに「一緒に走って」いただきたいと思っておりますが、そもそも市民科学とは、その様に多くの人の相互関係の中にこそ成立するものではないか、と思っております。
 今回の認定NPO承認を機に、参加して下さる人の輪を広げ、活動をさらに活発にしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 なお、認定を受けた今だから言えることですが・・・・

認定NPO法人の申請は、当初思っていたほど難しくありませんでした。制度を理解するのに手間取りましたが、申請書を提出した後に、国税局からいくつか質問を受けましたが、特に答えに困ることもありませんでした。にもかかわらず、現時点で承認された認定NPOが、わずか40団体程にとどまっていることは、非常に残念なことだと思います。
たしかに、この制度の一番大きなハードルである、「収入に占める寄付金の割合が20%以上」という条件は、簡単なものではありませんが、それにしても20,000団体といわれるNPOの0.2%は少なすぎます。

高木基金は、認定NPOであることの希少価値(?)には全く興味がありませんし、ごく限られたNPOが特権的(?)に、この制度の適応を受けるという状況は望ましいものではないという考え方です。
実際、すでに様々なNPOが、いろいろなかたちで「公益」を支えていることは間違いのない事実です。より多くのNPOがこの認証を取得し、それぞれの活動を活発化させるなかで、NPOに対する社会的な信頼がさらに高まり、寄付というかたちでNPOの活動に参加する方が増えていくような未来を展望したいと思います。

もし、これから認定申請をしたいというNPOの方に、高木基金が協力できることがあれば喜んで協力いたします。特に、日常的な経理や、支援者ごとの寄付実績の集計等に関しては、試行錯誤の末に相応のノウハウが蓄積されてきましたので、これらの点で苦労しておられる方などは、ぜひご相談下さい。それも高木基金にできる役割発揮だと考えております。

最後になりましたが、今回の申請に当たりましては、シーズ=市民活動を支える制度を作る会の轟木洋子さんに大変お世話になりました。
小生も最初は「どうせ無理だろう」と思っていたのですが、「ダメもと」でシーズの勉強会に参加して、轟木さんに解説していただいたことから展望が開けてきました。それでも最後まで半信半疑の心境でしたが、折りに触れ轟木さんに相談し、励ましの言葉をかけていただいたことで、精神的にも随分楽になりました。心からお礼を申し上げますとともに、今後とも全国のNPOの応援団長(チアリーダー?)として活躍していただきたいと思います。

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      特定非営利活動法人 高木仁三郎市民科学基金

      〒160-0004 東京都新宿区四谷1-21 戸田ビル4F
        TEL  070-5074-5985 FAX 03-3358-7064
          URL http://www.takagifund.org
       E-mail sugenami@takagifund.org

      郵便振替口座 00140−6−603393

      図書券・未使用テレカ・書き損じハガキ等での
      カンパも大歓迎です。よろしくお願い致します。
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引用おわり


以前、科学技術文明研究所長の米本昌平氏の、科学研究の費用を誰が負担すべきかについての将来予測と提言を紹介したが、高木基金はその一つの実践例である。個人個人が高木基金に対して、思い思いの研究テーマで助成金を申請し、高木基金が審査して研究助成金を出す。高木氏が著述などで蓄えた遺産と、我々有志が拠出する資金が、それを支えるのである。

上記の菅波氏の情報によれば、研究費も官から民への流れが加速しているようだ。流れを阻んで、いったん国家に金を集約するように仕組んでいた税制の壁も、だんだんなくなるだろう。いつまでも富国強兵殖産興業の国家主義の時代ではない。科学は本来、国家のものではない。文部官僚が研究費を差配すること自体が、「人間の最高の道楽」である科学研究の本来の姿ではないのである。

以前、東大天文学教育研究センター長の吉井譲氏の体験談をその著書から紹介したが、高木氏やその流れを汲む人たちや、吉井氏が、自分たちの研究を実現すべく、資金調達をするまじめな努力を私は支持する。この人々には、自然に対する感動や、成さねばならない仕事への情熱と使命感がある。


それにひきかえ、インターネットで「ニセ科学批判」をする人々には・・・・何もない。