【チューリヒ】スイス政府は25日、福島原子力発電所での事故を受けて、既存原発を段階的に廃止し、他のエネルギー源で電力需要を満たしていくことを閣議決定した。
福島原発でのメルトダウンはどこでも発生する恐れがあるとの抗議活動を背景に、欧州ではまずドイツが脱原発を打ち出しており、スイスは2番目。
スイスのロイトハルト・エネルギー相はベルンでの記者会見で、「政府は原発の段階的廃止を決めた。確実で自立的なエネルギー供給を確立したいからだ」とし、「福島の事故は原発のリスクが高すぎること、そしてこれが原発のコストを高めることを示した」と強調した。
スイスには5基の原子炉があり、その発電量は全体の約40%を占めている。残りはアルプス山中や河川に設けられた1000カ所以上の水力発電で賄っている。同エネルギー相は、完全な脱原発をいつ達成するのかはまだ決まっていないとしているが、専門家らは2040年ごろに実現できるのではないかと見ている。5基の原発の運転許可は2020〜40年に期限を迎える。
アナリストらによると、福島原発の事故で世論が変わっているため、政府の決定への抵抗は限定的なものにとどまる可能性がある。ただ、政府の決定が最終的なものになるまでに議会での審議が行われ、また、同エネルギー相によれば、国民投票も実施される可能性があるという。
アクスポのカーラー最高経営責任者(CEO)は「確実なエネルギー供給に関して言えば、政府の決定は問題をもたらす」とし、政府決定には徹底的な分析が必要であり、最終的に国民投票を実施すべきだと語った。
1000以上の企業の団体であるスイス機械・電気工学連盟(スイスメム)は、政府決定は「原子力に代われるものがないため、問題がある」と批判、経済団体のエコノミースイスは、決定は同国経済に打撃を与え、雇用を危険にさらすことになると警告した。

