宗教法人 生長の家  自民党に投票しないと宣言

2016.06.14


前回、6月8日に「日本会議の研究」を紹介したすぐ後の6月9日に、生長の家から、生長の家の会員は次の参議院選挙で自民党に投票しないという宣言が出されました。

前項では書きませんでしたが、日本会議は『生長の家」を脱退した極右グループによって主導されています。幹部の樺島氏らは生長の家の学生運動の出身で、学生時代から40年以上も、一貫して右翼の活動をしてきましたが、その途中で生長の家の本体が「極右路線」を転換したため、樺島氏らは教団を脱退して日本会議の源流を作ったという経緯があります。

生長の家の宣言は以下の通りです(抜粋)
http://www.jp.seicho-no-ie.org/news/sni_news_20160609.html


今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針(抜粋)

「与党とその候補者を支持しない」

来る7月の参議院選挙を目前に控え、当教団は、安倍晋三首相の政治姿勢に対して明確な「反対」の意思を表明するために、「与党とその候補者を支持しない」ことを6月8日、本部の方針として決定し、全国の会員・信徒に周知することにしました。その理由は、安倍政権は民主政治の根幹をなす立憲主義を軽視し、福島第一原発事故の惨禍を省みずに原発再稼働を強行し、海外に向かっては緊張を高め、原発の技術輸出に注力するなど、私たちの信仰や信念と相容れない政策や政治運営を行ってきたからです。

戦後の一時期、東西冷戦下で国内が政治的に左右に分裂して社会的混乱に陥っている時、当教団の創始者、谷口雅春先生は、その混乱の根源には日本国憲法があると考えられ、大日本帝国憲法の復元改正を繰り返し主張されました。そして、その実現のために、当教団は生長の家政治連合(生政連)を結成(1964年)して、全組織をあげて選挙活動に取り組んだ時代がありました。しかし、やがて純粋な信仰にもとづく宗教運動が政治運動に従属する弊害が現れ、1983年に生政連の活動を停止しました。

ところが安倍政権は、旧態依然たる経済発展至上主義を掲げるだけでなく、一内閣による憲法解釈の変更で「集団的自衛権」を行使できるとする”解釈改憲≠強行し、国会での優勢を利用して11本の安全保障関連法案を一気に可決しました。これは、同政権の古い歴史認識に鑑みて、中国や韓国などの周辺諸国との軋轢を増し、平和共存の道から遠ざかる可能性を生んでいます。また、同政権は、民主政治が機能不全に陥った時代の日本社会を美化するような主張を行い、真実の報道によって政治をチェックすべき報道機関に対しては、政権に有利な方向に圧力を加える一方で、教科書の選定に深く介入するなど、国民の世論形成や青少年の思想形成にじわじわと影響力を及ぼしつつあります。

最近、安倍政権を陰で支える右翼組織の実態を追求する『日本会議の研究』(菅野完、扶桑社刊)という書籍が出版され、大きな反響を呼んでいます。同書によると、安倍政権の背後には「日本会議」という元生長の家信者たちが深く関与する政治組織があり、現在の閣僚の8割が日本会議国会議員懇談会に所属しているといいます。事実、同会議の主張と目的は、憲法改正をはじめとする安倍政権の右傾路線とほとんど変わらないことが、同書では浮き彫りにされています。当教団では、元生長の家信者たちが、冷戦後の現代でも、冷戦時代に創始者によって説かれ、すでに歴史的役割を終わった主張に固執して、同書にあるような隠密的活動をおこなっていることに対し、誠に慚愧に耐えない思いを抱くものです。先に述べたとおり、日本会議の主張する政治路線は、生長の家の現在の信念と方法とはまったく異質のものであり、はっきり言えば時代錯誤的です。
彼らの主張は“原理主義”と呼ぶべきものです。私たちは、この“原理主義”が世界の宗教の中でテロや戦争を引き起こしてきたという事実を重く捉え、彼らの主張が現政権に強い影響を与えているとの同書の訴えを知り、遺憾の想いと強い危惧を感じるものです。

当教団は、生政連の活動停止以来、選挙を組織的に行うなどの政治活動を一切行ってきませんでした。しかし、政治に触れる問題に関して何も主張してこなかったのではなく、谷口雅宣現総裁は、ブログや月刊誌を通して“脱原発”や“自然エネルギー立国”を訴え、また日米の外交政策を分析して、それに異を唱えたり、注文をつけたりしてきました。また、昨年は憲法を軽視する安保法案に反対する立場を明確に表明されました。

私たちは今回、わが国の総理大臣が、本教団の元信者の誤った政治理念と時代認識に強く影響されていることを知り、彼らを説得できなかった責任を感じるとともに、日本を再び間違った道へ進ませないために、安倍政権の政治姿勢に対して明確に「反対」の意思を表明します。この目的のため、本教団は今夏の参院選においては「与党とその候補者を支持しない」との決定を行い、ここに会員・信徒への指針として周知を訴えるものです。合掌。

2016年6月9 宗教法人「生長の家」



このように「生長の家」は安倍政治を徹底的に批判し

本教団は今夏の参院選においては「与党とその候補者を支持しない」との決定を行い、
ここに会員・信徒への指針として周知を訴える


と明白に宣言しました。

生長の家の系譜は下図のようになっています。



谷口雅宣氏は自分のブログで次のように説明しています(抜粋)

http://masanobutaniguchi.cocolog-nifty.com/monologue2/2016/06/post-1b99.html

 『日本会議の研究』について
谷口 雅宣   2016年6月 9日 (木)

宗教と政治が密着することの問題について、私はどこかで具体的に述べる必要を感じていた。 
1983年7月、生政連の活動は停止され、“今後は教勢拡大にむけて全力をそそぐこと”が決定された。第二代総裁の谷口清超先生は、昭和58年に生政連の活動停止を決断されたのだった。 
ところが、この決定を好ましく思わない人、納得しない人、さらには反対する人も教団内には少なからずいた。それらの人々の中には、自らが好む政治活動に注力するために、潔く教団から離れた人もいた。が、その他の多くの人々の中には、表面は本部の方針に従う振りをしながら、陰では従来通りの政治活動をしたり、政治運動との接触を続けていた者もいたのである。教区の講師の代表である教化部長や、本部の理事(現在は参議)の中にも、このようにして本心を隠したり、“二股を掛ける”生き方を続けてきた人がいたことは、誠に残念である。
そういう人々が具体的にどんな種類の人であり、宗教の陰でどんな政治活動を続け、何を目標としてきたかは、本部の側からは判然としなかった。ところが最近、生長の家の信仰者ではない一人の著述家が、独自の調査によって、これらを解明する本を出版した。菅野完(すがの・たもつ)氏が書いた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が、それである。
この本には、かつて生長の家の幹部活動をしていて、今は日本会議が進める政治運動の中枢にいる人が、何人も実名で出てくる。私より年齢が高く、かつ当時の生長の家の運動に関わっていた人々にとっては“懐かしい”話も出てくるが、当時隠されていた“驚くべき”話もある。とにかく、最初は門外漢であったはずの著者が、ここまでよく調べ、よく書いたと感心する。 
つまり、この本には、私が『宗教はなぜ……』の本でカバーできなかったミクロの事実の多くが解説されている。そういう理由もあり、私は大阪で行われた生長の家講習会では、菅野氏の著書を紹介し、興味ある参加者に一読を勧めたのだった。本欄の読者にも、同じことをお勧めする。 


『日本会議の研究』について (2)
谷口 雅宣 2016年6月10日 (金)

表題の著書を本欄で私が推薦した理由は、もう一つある。それは、7月の参院選に臨んで、現在の安倍晋三首相が率いる強権政治の裏に、何が隠されているかを読者に知ってほしいからだ。もっと端的に言えば、私の伝えたいメッセージは「今回の参院選では、与党に投票しないでほしい」ということである。その理由は、すでに生長の家の公式サイトに掲載された声明文にやや詳しく書かれているから、読者はそれを読んでほしい。 
が、ここでごく簡単に言えば、これまでの安倍晋三氏の言動から判断すると、彼は私たちの運命を左右する絶大な権力を委託されている一国の長として、信用できないからだ。さらに、表題の書が警鐘を鳴らすように、安倍氏の言動の淵源が日本会議を牛耳る元生長の家の政治運動家の思想にあるとしたならば、安倍氏の個人的資質に加えて、彼の政治基盤そのものが信用できないからだ。 
現在の安倍氏は、日本国最大の権力者として、国会における単独過半数の議席の勢いを得て、あってはならない憲法の“解釈改憲”を実際に行い、政治の監視役であるジャーナリズムに圧力を加え、日本の将来を担う青少年の価値観を左右する教科書の選定に介入してきた。このような言動の原因が、冷戦時代に生長の家が掲げた政治思想に頑なにしがみつく元幹部の“功績”にあるとしたならば、私は現在の生長の家の責任者として、「その道は、宗教的にも政治的にも間違っている」と声を大にして訴える責任を感じるのである。
安倍首相には、民主主義下の政治家としてのあるべき資質が、欠けているように見受けられる。自らの権力維持と政策実現のためには、国家の財政破綻や社会保障費の不足はやむを得ないと考えているフシがある。消費増税の延期をいとも簡単に、しかも薄弱な根拠のもとに宣言してしまった。10%への消費増税は、政党間の正式合意であり、法律にも定められた政策である。これを、「リーマンショック並の経済危機が来ないかぎり実施する」と言っていたかと思うと、G7の首脳会議で賛同を得たという口実を使って「リーマンショック並の経済危機が来ないように延期する」と、あっさり掌を返してしまったのである。
このように簡単に国民を欺く人物が、わが国の首相であることを私は容認することができない。この人物が、日本の陸・海・空の自衛隊の最高司令官であることを思い起こすとき、戦前・戦中の軍部の独走の結果が脳裏をよぎり、日本国の将来――いや、今現在の日本の外交・防衛政策の危機が来ていると考えざるをえないのである。 


こういうわけで、生長の家の国内在住の信者50万人は、自民党には投票しないことになりました(もともと他宗派の創価学会・公明党には投票しない)。これは全国の1人区でキャスティングボートを握るほどのインパクトがありそうです。

谷口雅宣氏が教団の指導者になったのは、生長の家の学生運動よりもずっと後のことですから、『日本会議の研究」は雅宣氏が知らなかったことを明らかにしたようです。

菅野氏の検証方法は、国会図書館や大学図書館、古書店などで古い文献を探し出し、そこに往時の右派学生運動の活動家の名前を発見して、その当時誰が真の指導者であったかを明らかにするという方法です。

その結果、菅野氏は活動の真の指導者として、当時も今も樺島氏らの上に君臨する者が「安東巌」という樺島氏よりも7つほど年上の人物であることを特定しました。そして同著の中でその安東氏を、「現総裁の雅宣氏でも切るに切れなかった実力者として今でも生長の家の幹部の地位にある安東巌」と表現しています。

これは雅宣氏にとって初耳だったのではないかと思われます。
上記の赤字部分にその驚きが現れているようです。

そしてその安東氏が、往時の右派学生運動の花形であった、現一水会名誉総裁の鈴木邦男氏を、集会の壇上で委員長の座から引きずりおろした、非情なやり方を明らかにして、今の日本会議が持つ、目的のためには手段を選ばない凶暴性の淵源が、安東氏にあることも明らかにしています。

そしてその凶暴な精神は日本会議を通じて、現政権のチンピラ代議士たち(安倍を含む)の凶暴な発言や態度につながっています。そしてその彼らが、民主主義に反する凶暴で狡猾なやり方(公約に書かず議論もせず数合わせだけでだまし討ちのように強行するやり方)で、現憲法を改定しようとしているわけです。

生長の家が自民党との対決を明確にしたことで、他の宗教団体も方針を問われるでしょう。

特に創価学会はどうするつもりでしょうか。

公明党は戦争法案を強行しましたから、その母体である創価学会はそれに賛成のはずです。

しかし、創価学会の会員も昨年の戦争法案反対のデモには、身分を明らかにして堂々と参加していました。下の写真は 2015.08.30 大阪扇町公園での集会で、創価学会の旗を持って戦争法案に反対する創価学会員です。
http://www.minusionwater.com/zenkokudemo
 



トップに戻る