地球温暖化の物理学


2011.11.24



武田邦彦氏が地球温暖化について間違った説明をしています。

http://takedanet.com/2011/11/post_a7b8.html

武田氏は次のように言っています。




論理不整合003 熱容量と海洋性気候

地球温暖化問題が起きたときも、私はなんでこれほど近代科学を無視した話が出てくるのかと不思議に思いました。アメリカや中国などの大陸国の内陸部はともかく、日本のように四方を海に囲まれている国が大気の温度の上昇が気温の変化に結びつくはずもないからです。

物理学の初歩に「熱容量、熱バランス、伝熱」などがあります。物理学ばかりではなく、化学工学、材料工学、機械工学などあらゆる分野でこの基本的な学問は考慮されます。およそ技術者なら地球温暖化に疑問を持たないことはないでしょう。

大気中にあるCO2が太陽の反射光(長波長)を受けて振動し、その振動が窒素や酸素に移って2℃ほど上がったとします。そうすると海洋との間の平衡が失われますから、熱が大気から海洋に移動して海洋の熱を上げますが、水は空気に対して3500倍の比熱を持ち、かつ海水面から垂直方向で水温が低下しますので、大気で海洋を暖めることはできません。

また、地表の3分の2が海洋ですから、海洋から1000キロほど内陸に入らないと、海洋の影響を受けない状態にはならないのです。つまり、簡単に言うと、「地表の熱のほとんどは海洋の熱である」と言えます。

お風呂を沸かすのにお風呂場の空気を80℃に暖めても風呂は沸かないのですが、このことはCO2による短期間(100年、200年スパン)での気温上昇は難しいことを示しています。また日本のような海洋国家では、CO2のコントロールで気温に変化をもたらすこと自体、不可能です。

このような伝熱や熱容量の問題は、大学の物理で出題するなら計算は簡単に手でできる範囲であり、なにもスーパーコンピューターが出場するものではありません。

地球温暖化の問題は科学的な論理が不整合です。


武田氏の主張は、「地球温暖化の問題は科学的な論理が不整合です」という結論は正しいのですが、途中の説明は驚くほど間違っています。

正しい説明をしておきます。

武田氏の文章をひとつひとつ見てみましょう。

地球温暖化問題が起きたときも、私はなんでこれほど近代科学を無視した話が出て
くるのかと不思議に思いました。アメリカや中国などの大陸国の内陸部はともかく、
日本のように四方を海に囲まれている国が大気の温度の上昇が気温の変化に
結びつくはずもないからです。



地球温暖化の問題は「日本の気温が上がる」という話ではありません。地球全体の温度が上がっているのではないか、という話です。日本のことだけを特別に問題にしているわけではありませんし、個々の地域が海洋性の気候か大陸性の気候かという問題でもありません。

それに、「大気の温度の上昇が気温の変化に結びつくはずもない」と言っていますが、大気の温度の上昇とは気温の上昇のことです。


大気中にあるCO2が太陽の反射光(長波長)を受けて振動し、その振動が窒素や酸
素に移って2℃ほど上がったとします。そうすると海洋との間の平衡が失われますか
ら、熱が大気から海洋に移動して海洋の熱を上げますが、水は空気に対して3500
倍の比熱を持ち、かつ海水面から垂直方向で水温が低下しますので、大気で海洋を暖
めることはできません。


武田氏の言いたいことは、海水と大気では比熱も違うし総重量も違うので、熱量のキャパが全然違うので、大気を暖めてもその熱で海洋が暖まることはない、ということと、海は上から暖めても対流が起きないから全体が暖まることはない、ということのようです。

まぁ、それはそうですが、地球温暖化というのは、そういう話ではまったくありません。大気を暖めたら海が暖まるか、なんて話は誰もしていません。どうやら武田氏は気候のメカニズムについて根本的な勘違いをしているようです。それは氏の

大気中にあるCO2が太陽の反射光(長波長)を受けて振動し


という表現の中に現れています。

武田氏は太陽光が地表面(海面や陸面)で反射することを言っているようです。しかし、大気(CO2も含めて)の大部分は、太陽からの直射光や地表面からの反射光であたたまるのではありません。大部分は、まず地表が太陽光を吸収して加熱され、次にその加熱された地表から大気に別の波長(赤外線)の輻射が放出されることであたためられるのです。

武田氏は「反射光(長波長)」と書いていますから、地表から出る輻射は太陽光とは違う波長だという認識はあるのですが、それを反射光と認識しているのが間違いです。

反射光とは、対象物の中に入ることなく表面で反射される光のことです。ですからこの表現から、武田氏の頭の中で、太陽光は、まず地表面に入り込んで地表面を暖める、という最初のプロセスがスッポリ抜け落ちていることが分かります。順番が逆になっているのです。だから、「温まった大気(CO2)で海が暖められるとでも言うのか!」などという奇妙な話になるのです。

たとえば、夏に道路のアスファルトが溶けるのは、アスファルトが太陽光で直接加熱されるからです。次にその熱が赤外線として大気に放射され、気温がどんどん上がります。大気が先に熱くなって、それがアスファルトを溶かすという順番ではありません。海洋でも同じです。海水がまず暖まって、それが大気に伝わるのです。



また、地表の3分の2が海洋ですから、海洋から1000キロほど内陸に入らない
と、海洋の影響を受けない状態にはならないのです。つまり、簡単に言うと、「地表
の熱のほとんどは海洋の熱である」と言えます。


「地表の3分の2が海洋だから、内陸1000キロまでは海洋の影響を受ける」という主張ですが、どうして3分の2だと1000キロになるのか分かりません。そもそもなぜここで1000キロくらいだ、と言わなければならないのかが分かりません。

日本は奥行きが1000キロもないから全体が海洋性気候だと言いたいのでしょうか。
それは事実ですが、しかしそれは地球温暖化の問題とはまったく関係ない話です。

言っていることは結局、「海洋が3分の2で陸が3分の1で、水の比熱の方が岩の比熱より大きいから、地球の表面の熱量の大部分は海洋が担っている」ということだけです。しかしそれもまた、地球温暖化とは関係がありません。



お風呂を沸かすのにお風呂場の空気を80℃に暖めても風呂は沸かないのですが、こ
のことはCO2による短期間(100年、200年スパン)での気温上昇は難しいこ
とを示しています。また日本のような海洋国家では、CO2のコントロールで気温に
変化をもたらすこと自体、不可能です。


「風呂場の空気を暖めても風呂は暖まらない」というのはその通りですが、地球温暖化の問題はそういう話では全然ありません。
「日本のような海洋国家では、CO2のコントロールで気温に変化をもたらすこと自体、不可能です」というのもおかしな話で、それなら大陸性気候の土地ならCO2を減らせば気温が下がるのか、という話になってしまいます。氏は最初に「アメリカや中国などの大陸国の内陸部はともかく」と書いていますから、あるいはそう思っているのかも知れません。標題が「熱容量と海洋性気候」となっていますから、海洋性気候のことを言いたいのでしょう。

しかし地球温暖化の問題はそういう話では全然ありません。
日本の気温がどうこうとか、気候が海洋性か大陸性かなどまったく関係のないことです。


CO2の温室効果

地球温暖化とCO2の関係は、武田氏が言うような話では全然なく、「温室効果」の話です。

放射冷却という現象があります。冬のよく晴れた夜に、昼の間に太陽に暖められた地表面から、どんどん熱が放射されて冷えていく現象です。

雲の多い夜には放射冷却は起こりません。雲があると、水滴の粒である雲が、熱の放射(赤外線)を吸収したり、地表にはね返したりして、熱をいったんそこでせき止めるので、地表の熱は放熱しにくくなります。そのうち朝が来てまた暖かくなります。雲があると「温室効果」があるのです。

雲がないと、熱はさえぎるものなくストレートに上空まで放射されてしまいますから、土地や大気はどんどん冷えて、明け方近くに霜が降りたりします。

下図で赤い線は太陽光で、緑の線は地表からの輻射です。




雲は「温室効果」を持ちます。雲(水滴)になっていない水蒸気でも、雲ほどではありませんが温室効果があります。H2Oの分子自体が赤外線を吸収するからです。

CO2も赤外線を吸収しますから温室効果があります。CO2は雲のようにかたまりになっていたり層になっていたりはせず、大気全体に分布していますが、ひとつひとつのCO2分子が赤外線を吸収しますから、全体として温室効果があるということです。

そもそも、大気自体に温室効果、保温効果があります。もし地球に大気が無かったら、地表の温度は激しく上下して、昼は灼熱、夜は酷寒になります。大気があって保温力があるので、熱の出入りがゆるやかになっています。

大気のうちでCO2が特に「温室効果ガス」と言われるのは、CO2は酸素や窒素に比べて赤外線の吸収が大きいからです。





さて、雲は温室効果を持ちますが、雲がたくさんあると地球は温暖化するかというと、必ずしもそうではありません。雲は一方で、昼間の太陽光の入射をさえぎるからです。

地球に入る熱と地球から出る熱とのバランスがどうなるか、ということです。

CO2は雲ほどには太陽光をさえぎりませんから、太陽光は入り、地表からの輻射放熱は減ります。ですから大気中のCO2が増えれば、他の条件が同じなら地球全体の温度は上がります。

ここから、地球温暖化の原因はCO2だ、という説が出てきたのです。



CO2犯人説はかなり怪しい


ところが、この「地球温暖化=CO2」という説はかなり怪しいのです。


まず、地球は本当に温暖化しているのか、という肝心なところの確証がとれていません。地球の表面の温度は太陽の影響を強く受けていて、太陽の活動によって大きく変動します。地球は今、寒冷化しているという説もあります。

つぎに、大気中のCO2が増加しているのはハワイなどでの長期観測の結果として事実のようですが、それが地球を温暖化させるほどの増加になっているのかどうかがよく分かりません。水蒸気にも温室効果があり、大気中の水蒸気の量はCO2よりもずっと多いですから、CO2の多少の増減の効果など水蒸気の増減で消されてしまうからです。

そして、CO2が増加しているという事実はありますが、仮に地球が温暖化しているという事実があったとしても、因果関係は逆だという説もあります。海洋が暖まると、海水に溶けていたCO2が大気中に飛び出してきます。ですから、地表が暖まって海水の温度が上がると大気中のCO2が増加する、という逆の因果関係もあるのです。

さらに、人間の活動によるCO2の増加量は地球の気温を変えるほどではない、という計算もあります。また、CO2説を唱えている人は原発資本の人が多いという事実がありますし、CO2説を唱えていた科学者がデータをねつ造していたことが摘発された事実があります。
そして「CO2排出権」という怪しげな「通貨」が世界で流通し始めて、さまざまな利権も発生しているようです。

さらに、そもそも根本的に、「地球が温暖になってどこが悪い」という話もあります。温暖になれば農作物がたくさんとれて食糧が豊富になり、生きやすくなります。地球が寒いと飢饉になります。ロシアは地球温暖化を歓迎しているという話もあります。シベリアで農業ができるからです。


ということで、地球温暖化は人間が排出するCO2のせいだ、という説はかなり怪しいのです。




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