救国の宰相


2012.01.25



先日、昨年3月に原子力委員会が最悪のシナリオとして250キロ圏から疎開する必要がある、と菅前総理に報告したという報道について、以下のように記述しました。

http://www.minusionwater.com/hinankuiki.htm


その後、今頃になって、その報告書が公文書になっていなかったことが共同通信などから批判され、インターネット空間の一部では「菅直人を吊せ」といった過激な議論が起きています。


私はこのサイトで、ほぼ一貫して菅前総理の判断と行動を支持してきました。
それは今でも変わりません。

脱原発に向けて真の敵は誰か、間違えてはいけません。


あのとき何が起きたのか、想像に難くはありません。

3月11日の直後、菅前総理は「最悪の場合はどうなるのか」と原子力委員長に聞きました。
近藤原子力委員長は、最悪で250キロ圏で3000万人が移住しなければならない、と答えました。

まぁ、「ふざけるな!」という話です。

近藤!お前が原子力、原子力と言ってやってきたんだろう。
3000万人避難です、などとよくシラーッと言えるもんだな、お前。
まだら目は爆発しないと言って、数時間後に大爆発だ。
いったいお前らは何をやってきたんだ!

とは菅前総理は言わなかったでしょうが、
とにかく、原子力委員会も安全委員会も信用できない。
保安院も無責任のかたまりだ。
東電は逃げ出しにかかっている。
そして、東日本の壊滅がせまっている。

福島第1の1から4までが爆発すれば、5も6も保守できないから爆発する。
福島第一で全部爆発すれば、女川も福島第2も全員退避で爆発する。
そうなれば茨城の東海も爆発する。
新潟の柏崎だって人がいなくなれば爆発する。

そうなれば日本は壊滅だ。

どうすればいい?


何としても原発を封じ込めなければならない。
浮足立ってパニックを引き起こすことなく、とにかく封じ込めなければならない。


これが菅前総理の決意だったのであり、枝野前官房長官はそれを支持し、従いました。そして関係者の不眠不休の努力によってなんとか僥倖をつかんで、原子炉はとりあえずの最悪のシナリオを避けることができました。


おそらく、間髪を入れずに決死の覚悟で福島に飛んで、幸いにも東工大の後輩である吉田所長と面談した菅前総理は、「撤退せずに頑張れば一縷の望みはある、最大限の努力をする」と吉田所長から決意を聞かされたのでしょう。

自衛隊にも任せない、ましてや米軍にも任せない。
吉田が死ぬ気でやると言っている。何とかなると言っている。
東電の日頃のオペレーターに任せるのが一番いい。


その裏付けがあって、東電本社の勝俣らを一喝した菅前総理の覚悟と決意が国を救いました。それは空疎な決意ではなく、現地に飛んで吉田に会った裏付けがあっての一喝だったでしょう。


こんなことが、鳩山に出来たか?麻生に出来たか?福田に出来たか?安倍に出来たか?

出来なかったらどうなったのか? 原子力委員長が言うように、3000万人が、水もなく食糧もなく、寒空にさまよう事態になっていたでしょう。


イラ菅だろうが献金だろうが何だろうが、他のことはどうでもいいのです。
とにかく日本はあのとき、望み得る最高の総理を戴いていたのです。


そしてようやく小康を得た3月25日に、原子力委員会の正式報告書が出て来ました。

「えー、東電がみんな撤退したとしてですね、えー、1から4まで爆発したとしてですね、えー、その場合は3000万人がですね、えーっと・・・・・」


もういいよ、っていう話ですね。

菅前総理にしてみれば、「聞いただけだよ、口頭でいいんだよ、分かればいいんだよ、忙しいときにそんなもんいちいち文書にするなよ、なに寝ぼけてんだ」という話でしょう。

いまさらそんな文書に何の価値があるのでしょうか?
子供にも分かる簡単な計算で、コンパスで地図に円を描いただけです。
いまさら何の意味もない、まったく無価値な文書です。

保存してどうする?
菅前総理は脱原発を決めましたから、そんな文書が「今後の役に立つ」こともないわけです。


なぜ、そんな話が今頃蒸し返されているのでしょうか。
原発推進派の巻き返しの一端かも知れません



読売新聞は菅前総理を「亡国の宰相」と呼んでいます。
http://www.minusionwater.com/boukoku.htm

読売新聞はその素性からして、世に隠れることなき原発推進新聞で、実際の論調も「早く再稼働しろ」「原発をもっとやれ」です。
(しかし国民の9割が脱原発ですから、読売は早晩、部数が激減するでしょう)


脱原発を目指す立場からは、菅前総理は「救国の宰相」だったと賛辞を送ります。




真の敵は誰か?

以下の新聞記事がよく解説しています。毎日新聞1月24日






自民にも民主にも原発推進の勢力はいるわけですが、民主党は野田総理が就任時に脱原発を言っていますから、党是としては脱原発です。

みんなの党は脱原発、社民、共産は以前から脱原発です。
公明党はちょっとはっきりしません。


自民党は、石原幹事長が「原発をやめる選択肢はない」と明言する政党であり、前政調会長の石破茂氏は核武装のために原発を維持せよと言っています。そういう政党であり、そもそも原発を推進してきた政党です。

ですから、脱原発を願う人々には、いろいろな選択肢はあっても、「自民党という選択肢だけはない」ということです。そして国民の9割以上が脱原発を願っているのが現状ですから、国民の9割にとって「自民党という選択肢だけはない」ということです。


着々と進む脱原発

民主党の脱原発政策は着々と進行しています。

電力会社の広告費を電力コストから除外するとか、原子力安全庁ではなく原子力規制庁にするとか、「もんじゅ」は廃炉を検討するとか、原発の寿命は40年を原則とすると法に明記するとか、自民党では絶対にやらないことが着々と進行しています。

しかし敵はまだまだ力を持っていますから一直線には行きません。

民主党が原発推進なら、ひとつひとつの施策について疑いを持たねばなりませんが、民主党は基本的に脱原発です。それが菅前総理の置きみやげです。ですから、ひとつひとつの施策や表現が脱原発に逆行するように見えても、それは、単なる迷走であることもあるでしょうが、原子力ムラと対決するための作戦的な後退である可能性もあります。


誰が敵で、誰が味方か、見誤ってはいけません。


脱原発に向けて、左右を越えた国民統一戦線を作りましょう。
拙著「さらば核発電」は、脱原発に向けて国論を統一する本です。
一家に一冊です・・・・ちょっとコマーシャルでした(^^)




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