キクログ批判 その7 ステロイド問題 3
2006.08.04
では、こなみ氏の見解を批判していこう。
まず、こなみ氏の基本的な間違いは、アトピー性皮膚炎を天から降ってきた災いのように考えていることだ。だから、「あきらめて薬を塗って暮らしましょう」ということになる。
アトピーは天災でも遺伝でもなく、人災である。完全な環境疾患である。
そのことは、下図を見れば得心がいくだろう。
「アトピー発症ライン」を越えるとアトピーが発症すると考える。
第1図は、100年前の状態だ。誰もアトピーにならない。
第2図は、50年前の状況だ。アトピーになる人が少しいる。
第3図は、現在の状況だ。多くの人がアトピーで苦しんでいる。
よく、「アトピーはもともと体質があったところに環境要因が作用して発生している。だから環境を改善するとともに体質も改善しなければならない」と言う人がいる。なるほどそれは、第3図だけを見れば「もっともらしい」見解だ。
しかし歴史は第1図、第2図のように進んできたのであり、変わったのは衣食住の環境である。つまり、アトピーは環境要因で発生しているのだ。
だから、アトピー問題に関して、遺伝子を調べたり、血液を調べたりして、「体質要因」をスタディすることは、はじめから見当外れのムダであり、問題解決の役に立たない。
(ただし、食事や生活習慣による「変調」は環境要因と考えている)
さて、このようにアトピーは完全に環境疾患なのだが、こなみ氏にはそのことが腑に落ちていない。
アトピーが環境疾患であるとはどういうことか?
生まれてきた子にとって環境とは何か?それはすべて親が用意したものなのだ。
つまり我々の年代の者にとって、子のアトピーは完全に我々の責任なのである。(今の若者たちにとっては、そうとばかりは言えない面があるが)
私は20年近く前にそのことを知った。アトピーは環境疾患であることに気づき、我が子のアトピーは親である自分に100%の責任があると知った。それはまさに生涯の痛恨事である。そして、我が子がアトピーから脱却できるように最大限の知恵と努力を払った。
そして今は、その経験と成果を社会に還元する活動をしている。
こなみ氏にはこのことが分かっていない。娘さんのアトピーが自分のせいだという意識がまったくない。だから「薬を塗ってがまんしましょう」などと言っていられるのである。
こなみ アトピーに関して,何かを使えば根治できるという決定的な医薬品はありません。同時に「現代西欧医学」ではない根治治療もありません。あったら,凡百の民間療法も「IPSの*化粧品*でアトピーがよくなる」などというデマも消滅しているはずです。
願わくば「現代医学」がさらに決定的な治療法を確立してくれることを期待したいと思っています。
こなみ氏は現代西欧医学というものを理解していない。「アトピーを根治できる医薬品」などないのは当たり前だし、将来とも、現代西欧医学による「アトピーの決定的な治療法」など確立されるはずもない。
現代西欧医学の成功は何によっているか。それは、病原菌の発見と消毒(公衆衛生)技術および抗生物質・ワクチンの発見あるいは発明、麻酔技術と手術の技術や器具、検査技術の発達などによっている。逆に、それらが関与しない疾患については何もできない。極論すれば現代西欧医学に出来ることは、「殺菌」と「切除」だけである。王監督の胃ガンもそのようにして「治療」されたわけだ。それは偉大なことではあるのだが、反面、実は「風邪も治せない」というのが現代西欧医学の実力である。
では風邪はどうしたら治るのか。病原(ウィルス)から遠ざかって、ゆっくりと静養し、滋養のあるものを食べることで、だんだん自力で治ってゆくのである。それは現代西欧医学が発達する前からある方法であり、現代でもそれしか方法はない。
アトピーも同じことだ。原因から遠ざかって、合理的なケアと、正しい食物と生活習慣を継続することで、だんだん治っていくのである。だから、「現代西欧医学」ではない根治治療もありません、という考えは、話がアベコベなのである。根治療法があるとしたらそれは現代西欧医学ではないものである、というのが正しい。
このように現代西欧医学はアトピーを治せない。東洋医学については、呼吸法とか瞑想などはよいと思うが、漢方薬は、よくて無効、多くは有害である。
アトピーを治すには、西洋医学でも東洋医学でもなく、常識的な方法をこつこつと積み重ねればよい。アトピーを治す方法はほぼ確立しているのだ。しかしそのことを人に伝えるのは難しい。
それはいわゆる民間療法であり、政府公認の医学ではないから、その成果を広告することは薬事法が禁じている。マスコミなども、民間療法を肯定的に報道することは薬事法に違反するおそれがあるので、報道できない。
薬事法に触れないように、なんとか人から人へ伝えようとしても、こなみ氏のような意見が大学教授という「権威」をもってインターネットでさかんに言われているから、なかなか伝わらない。実例にあげた○原さんの赤ちゃんやOZさんのお嬢さんのケースでも、私に出会う前にこなみ氏のページにたどりついてしまっていたら救われなかっただろう。
では薬事法がなければ伝わるかというと、これもそうは行かない。民間療法と言っても玉石混淆だから、何が正しく何が間違っているかを判定するのはそれほど簡単ではなく、それらの広告を無制限に許したら、状況はますます混乱するだろう。
このようなわけで、アトピーを治す方法は確立しているが、凡百の民間療法もデマも、なかなかなくならない。「ステロイドを塗ってQOLを維持しよう」などという与太話でさえ、いまだに表街道を闊歩しているのだ。
こなみ 私が困ったことだと思うのは,「ステロイドでアトピー地獄になる」という恐怖を煽るだけの代替療法系の宣伝にマインドコントロールされてしまい,皮膚科を受診することすらできずに,延々と高額のしかも効果のない漢方だとか温泉だとかいう治療法に人生の大事な時間を空費させられている若い人たちの境遇と,その親たちの存在です。罪深い親たちだと思う一方で,その子どもたちに対して,指導教授たる私としては,親でもない立場からの助言の困難にずいぶんと悲しい思いをすることがあります。
非合理的で感情的である。勝手な思いこみから「悲しい思い」をしている。
若者たちは宣伝にマインドコントロールされてしまった、とこなみ氏は断言しているが、氏がそう思っただけではないか。その若者たちやその親たちは、こなみ氏のように目先のQOLを考えているのではなく、長い目で見て完治を目指しているのではないか。皮膚科を受診すればステロイドを塗られるに決まっている。それが現代西欧医学だからだ。それがイヤだというのは、こなみ氏の考えとは違うだろうが、だからと言って「宣伝にマインドコントロールされてしまった」ことにはならない。
ステロイドをやめたあとの第2ステップとして何をするか、それについては、まだまだ正しい情報が伝わっていないので、迷っている人や間違っている人が多いのは確かだ。
どういう方法が良いかは、個別に具体的に考える必要がある。 こなみ氏にはそれができない。ニセ科学批判者の常として、十把ひとからげにして否定する。
漢方と温泉は別のものだから、別に考えないといけない。漢方は効果がない。それどころか有害なことが多い。しかし温泉は悪くない。やり方によっては効果はある。高額であることと効果があるかどうかとは関係がない。温泉療法が高額なのはビジネスの方法が間違っているからだ。半分以上が輸送費である。馬鹿げている。
こなみ この記事を書いて後,私の娘のアトピーは目に見えて改善したわけではありませんが,きちんとしたスキンケアとコントロールされたステロイドやその他の薬の使用によって,毎日を楽しく送りながら成長してくれています。私自身も持病の薬を毎日飲むことで健康な生活を送ってきているわけで,生活の質(いわゆるQOL)を維持できる穏やかな治療という考えは悪くないと思っています。
数年前に、山梨大学の池田清彦氏(現在は早大教授)が新聞のコラムに、臓器移植医療に反対して「かけがえのある命」という文章を書いていた。生物学者らしく、生物にとって大切なのは種であって、個体ではないという視点からの斬新な議論だった。
こなみ氏がQOLというとき、そこには、次の世代への配慮はないようである。
こなみ氏自身が薬を常用することは、氏の自由かもしれない(まぁ、薬漬けのハタ迷惑な老後が待っていると思うが)が、若い女性の場合は違う。
若い女性は次の世代を産み育てる役割を持っており、出産育児がその女性自身のQOLに重要な意味を持つ。女性のアトピーは、そこに薬剤の関与がある場合は、胎内環境を通じてその影響が子に伝わる可能性がある。子がアトピーになった多くの母親たちが、子供に済まない、代わってやりたいと言っている。女性の場合は目先のQOLで判断してはいけないのだ。
実例の中で、OZさんに対して、「お嬢さんは30才までに健康で一人前の女性になれればいいんですよ」、とアドバイスしたのは、こういうわけである。OZさんも納得して、そうしようね、と娘さんと語り合ったとのことで、家族がそのような気持ちになったことが好結果につながっている。
こなみ あなたはIPSの「化粧品」でアトピーが治ったのですか?まさかね。かかれたことから見るとどうやらアトピーは治っていないないようですが,もしも治ったと主張されるのであれば,その治療の経過を詳しく示してください。できれば年齢や病態の詳しいデータもつけて。
そうでなければ,あなたのような無責任な書き込みをすることは犯罪的な行為以外の何者でありません。冗談じゃないよと,心の底から怒りを覚えます。
他人に対してどうしてこれほど居丈高になれるのだろうか。
「治ったというならデータをもってこい」「もって来なければ犯罪者だ」というわけだが、世間でアトピーで困っている人はふつう、治ったという例があれば、ぜひ教えてくださいと自分の方から出かけていくものである。それが礼儀だろう。
こなみ氏には「アトピーは不治の病である」「だから治るはずがない」「治ったという話はすべて金儲けのためのウソである」という予断がある。だから初めから、他人の話を聞こうとしない。
このような思考法は、「ニセ科学批判者」に共通の性向でもある。
彼らは、自分たちが世間より高いところにいると錯覚している。
「新しい現象」が自分の予断に合致しなければ、現象そのものを平気で否定する。
「新しい現象が起こった」というなら、それは証明書付きで自分のところに届けられなければならないと思いこんでいて、自分から調べに行くことは絶対にない。
ビジネスをする人はすべて「業者」で、業者はみな金儲けのためなら人をだまして平気だ、と本気で信じ込んでいるフシがある。
IPSの化粧品で良くなったという人がいて、それも1人や2人ではないのだから、そこにはなんらかの真実があるはずで、頭ごなしに「嘘だペテンだ犯罪だ」とどなりつけるようなことではなかろう。
治ったという例が、ほんとうにアトピーであったのかどうかは、よく調べなければならないが、アトピーであったとして、むろん化粧品だけでアトピーが治ることはない。そのことはIPSの人たち自身が経験的によく知っているはずだ。だから、食事や入浴などいろいろな合理的な方法が同時に指導されているはずだ。その一部としてスキンケアにIPSの化粧品が用いられて、良い結果が得られたのではないか。
私も、アトピーから脱却する方法として、いろいろな組合わせを提示しているが、その中でスキンケアについては、なかなか万人向けというものがないし、また、スキンケア用品は世の中に無数にあって、すべての品を試すわけにもいかない。
だから、私は知らなくても、IPSがフィットしたということはあるのだろうと思う。
ところが、IPSについて熱心に語る人々には、実際には他の方法との組み合わせになっていても、そのことはふだん念頭にないのだろう。あるいは、他の方法と組み合わせることは、彼らにとってはあまりにも常識で、改めて言うまでもないのかも知れない。人の心理とはそういうものだ。
だから、真相を知りたければ、そういう相手の心理も斟酌して、IPSでどのようにアトピーが良くなったか、「データを揃えて持ってこい」とどなりつけるのではなく、教えてもらいに行くべきである。
もちろん、知りたくなければほっておけばよいが、とにかく頭ごなしに犯罪者のように扱うことではなく、冷静に対処すべきことである。
結論として、こなみ氏の主張は現実を知らない空論であり、ヒステリックな感情論であり、アトピー問題を解決するための合理的な活動を妨げ、人々を不幸にする、罪深いものと言わざるを得ない。