国会は憲法の条項を削除できない

2016.03.25

憲法は改憲手続きにのっとれば、条文を変更または加筆できます。

改憲するには、改定したい条文についてひとつずつ衆参両院で3分の2の賛成を得て、ひとつずつ国民に発議し、国民投票にかける必要があります。それが同時に3条項、4条項になることはあるでしょうが、とにかく逐条的にやる必要があります。

「どの条項を改定するかは決まっていないが、とにかく改憲に賛成の人」を3分の2集める、というのが安倍の考えですが、そんなことにはまったく意味がありません。
A条項を変えたいがB条項は変えたくない人と、A条項は変えたくないがB条項を変えたい人を足して3分の2になれば、改憲できると考えるのは、落語の与太郎のような話です。

さて、自民党の改憲案では第97条(基本的人権の条項)をまるごと削除することになっています。

しかし、逐条的に議論して国会の3分の2の賛同を得れば、憲法のどれかの条項を削除することができるのか?というと実はこれはできません。

憲法は全体としてひとつのものです。
ですからどれかの条項を削除することは、憲法を「違うもの」にしてしまいます。

憲法を「違うもの」にしてしまうことは改憲ではありません。
それは現憲法を反古にして、新憲法を作るという行為です。
それは、国の形を違うものに変えるということです。
それは一種のクーデターです。

当然ですが、憲法はそういう行為を想定していません。

憲法は国会議員に対して、憲法を守れ、と言っています。
憲法の条項を削除する行為は憲法違反です。
国会議員には許されていません。

では、現憲法の条項を削除することはできないのか、憲法を違うもにすることはできないのか、というと、そういうことはありません。それは国民の合意があればできます。実際、明治憲法から新憲法に移行するとき、日本国民はそれをやったわけです。

先にご紹介した「あたらしい憲法の話」の冒頭にそのことが書かれています。
http://www.minusionwater.com/sinkenpou
これまであった憲法は、明治22年にできたもので、これは明治天皇がおつくりになって、国民にあたえられたものです。しかし、こんどのあたらしい憲法は、日本国民がじぶんでつくったもので、日本国民ぜんたいの意見で、自由につくられたものであります。この国民ぜんたいの意見を知るために、昭和21年4月10日に総選挙が行われ、あたらしい国民の代表がえらばれて、その人々がこの憲法をつくったのです。それで、あたらしい憲法は、国民ぜんたいでつくったということになるのです。

つまり、昭和21年4月に新憲法の草案を国民に提示して総選挙を行い、選出された国会議員で議論を尽くして、昭和21年の11月に新憲法が出来て昭和天皇と各大臣が署名し、昭和22年5月から施行されたわけです。

改憲派は、現憲法は占領軍に押し付けられたものだから無効だと言っています。つまり上記のような文部省の解説はウソで、新憲法制定に日本国民の意思は反映されていないというわけです。

そうであれば、、憲法をまるごと変えたり、基本的人権条項を削除したりして、明治憲法の時代に戻したい人は、昭和21年当時と同じやり方で新たに「国民の真の合意」を得ればよいのです。

現憲法を停止して新憲法を制定すると明言して、その草案を国民に明示し、それを争点にして選挙を行い(増税延期を争点にして安保法制を通すようなインチキはダメ)、選出された国会議員で議論を尽くして決めればよいのです。


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