健康診断の「正常値」はインチキだった

2014.04.08


4月4日のNHKニュースです。

人間ドック学会「健康診断の正常値 緩めるべき」



人間ドック学会は、人間ドックを受診したおよそ5万人の健康な人のデータを解析した結果、血圧やコレステロールの値などについて、現在の健康診断で正常とされている数値の範囲を大幅に緩めるべきだとする調査結果をまとめました。


人間ドック学会と健康保険組合で作る小委員会
は、平成23年の1年間に人間ドックを受診したおよそ150万人のうち、持病がなく、ほとんどの検査項目で異常な値がない健康な人、およそ5万人のデータを解析し、正常とされる数値の範囲を調べました。

その結果、血圧は、現在正常とされる数値が、上の値は129まで、下の値は84までですが、上の値は147まで、下の値は94までとなったということです。
また肥満度を表すBMIの値は、現在男女ともに25までですが、男性は27.7まで、女性は26.1までとなりました。
さらに中性脂肪は、現在149までですが、男性では198までとなりました。
悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールは、現在男女とも119までですが、男性は178まで、女性は30歳から44歳が152まで、45歳から64歳が178まで、65歳から80歳が185までと上限の値が大幅に高くなったということです。
総コレステロールも、現在男女とも199までですが、男性は254まで、女性では30歳から44歳が238まで、45歳から64歳が273まで、65歳から80歳が280までとなったということです。

人間ドッグ学会の山門實学術委員長は「この数値は、健康な人には当てはまるものの、何らかの持病がある人は参考にならない可能性があり、医師の指示に従って欲しい」と話しています。人間ドック学会は、今後この結果を基に正常とされる数値の範囲を見直したうえで、健康診断を行う機関に基準として使うよう呼びかけることにしています。

以上 NHKニュースより



人間ドック学会と健康保険組合が提示した数値は以下の通りです。





実際に調べてみたらこうだったというわけですから、今までの基準値は、実際に調べてもいなかったし、何の根拠もなかったのです。しかも、すべてが、医療業界の利益が増える方向での「間違い」だったのです。これは、昨年のホテルやレストランの「食品偽装」で、すべてが、ホテルやレストランが儲かる方向に「うっかり」したり、「間違って」いたのと同じパターンです。

すなわち健康診断の正常値は、単なる間違いではなく、インチキ数値だったということです。

なぜ、そんなことになっていたのか?
それは、医療業者というものが、医者も病院も製薬会社も、病気が減っては困る人々であり、病気を増やしたい人々だからです。人がどんどん病気になって、それを自分の腕や薬でどんどん治してやって、名誉と金を得るのが、医療業者の理想です。病気自体が減ることは悪夢でしかありません。病気が減ると医療業者が余ってしまい、取れすぎの野菜が値崩れするのと同じことが起こります。


以下はおとといの毎日新聞の記事です。
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/850.html


製薬会社72社4827億円提供 医師らへ 12年度
毎日新聞 2014年04月06日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140406ddm001040159000c.html

2013年度に業界団体「日本製薬工業協会」に加盟していた70社と加盟社の子会社2社が、12年度に医師や医療機関に提供した資金の総額が4827億円に上ったことが分かった。

国の医療分野の研究開発関連予算1955億円の2・5倍にも上る。降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で問題になった奨学寄付金は346億円だった。各社が製薬協の新ルールに従って順次公開した金額を毎日新聞が集計した。製薬業界から医師に流れた資金の全体像が明らかになったのは初めて。

4827億円の内訳は、

▽新薬開発のための臨床試験費用など研究・開発費2471億円
▽研究室への奨学寄付金や学会への寄付金など学術研究助成費540億円
▽医師個人への講師謝礼や原稿執筆料など270億円
▽医師を集めての講演会や説明会の開催費など情報提供関連費1428億円
▽接遇費など115億円。


医師が企業から受け取った資金については、国や学会が情報開示を促してきた。製薬業界でも透明化の必要性を認める声が強まり、昨年度から公開が始まった。
【河内敏康、八田浩輔】


日本製薬工業協会(製薬協)加盟社の情報公開によって、医学界に巨額の資金が流れている実態が浮き彫りになった。降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験の疑惑を深めることになった「奨学寄付金」については、「
寄付金と呼んでも実質的には賄賂ではないか」との指摘もある。情報公開の進展と並行して、製薬業界と医学界では長く続いてきた慣行を見直す動きが出ている。
【河内敏康、八田浩輔】


医学部教授が集まってインチキ基準値を決め、それによって製薬会社が大儲けし、利益の一部がいろいろな形で医者に還元されるという、実に見やすい仕組みが、この国では何十年も続いてきているのです。彼らは結託して、せっせと病人を増やしてきたのです。



健康保険組合の反乱(反撃)か?

今回の調査は、「人間ドック学会」と「健康保険組合」との合作です。

人間ドックは、健康な人を検査するだけで、病気を治す作業をするわけではありませんから、数値がどうでも利益には関係しません。ですから「人間ドック学会」はこういう発表ができます。
しかし積極的にこういう調査をする動機もありませんから、この調査は、人間ドック学会が言いだしたのではなく、健康保険組合の要請か、主導で行われたものでしょう。

しかし実は、健康保険組合が今までこういう調査をしなかったことが怠慢なのです。

医療業者に勝手に基準値を決められて、それによって医療費支払いが増えて、さらに投薬によって余計な病気が起きて、さらに金を取られる、ということを、健康保険組合は何十年も平気でやってきました。

それを放置していた企業経営者も、無知であり、怠慢です。
納入業者の言いなりの価格で仕入れする会社は、競争に負けてつぶれます。

金を払う側が、金をもらう側の言いなり、ということは普通はありません。
それが起きるのは両者の間に何らか癒着関係があるときです。
資材購入担当者が納入業者からリベートを取っていた、という事件は世間によくあります。

ですから私は、たぶん健康保険組合のトップと医療業者は癒着していて、何らかの利益誘導があるのだろうと推測しています。厚労省の役人の天下りなどが、網の目のようになって、巨大な利権構造になっているのでしょう。

ではなぜ今回、健保組合は基準の「正常化」の方向に動いたのでしょうか。


それはおそらく、このままでは健康保険組合そのものがつぶれる、という危機感が、ようやく主だった健康保険組合のトップに出てきたからでしょう。景気の低迷が続き、実際に健保組合の解散があいついでいます。つぶれてしまっては癒着もへったくれもありません。「この基準では支払いがつらい、ちょっと緩めよう」というわけです。それを医療業者に言っても、もちろん何ともしてくれませんから、自分で調査してマスコミにリークしたわけです。

「人間ドック学会は、今後この結果を基に正常とされる数値の範囲を見直したうえで、
健康診断を行う機関に基準として使うよう呼びかけることにしています。」


とNHKニュースは結んでいます。

しかし医療業者から見れば、これはとんでもない反乱ですから、
「お前ら、何を勝手なことやってんだ」 「お前らが基準を決めるなんて違法だぞ」
ということになります。すんなり行くとも思えません。
厚労省がどっちに味方しているのか。まだまだ波乱がありそうです。


が、ともかく、健康保険組合が、「基準値がおかしい」と言いだしたことは、国民の健康にとって一歩前進、というか、一歩挽回であり、喜ばしいことです。

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