菅総理は確信を持って行動している

2011.07.18


菅総理の発言が場当たり的で、政策的な裏付けも各方面への根回しもないとさかんに批判されています。永田町は「菅おろし」の大合唱で、政官財あげて、民主党も含めて、あるいは閣僚も含めて、菅総理は無能で無責任で、しかもいささか頭が狂っている様子なので、一分一秒でも早くやめるのが国民のため国家のためだ、と言っています。

菅総理は最近、そう言われるたびに、「あ、すいません」「あ、あれは個人的な考えです」などと気軽に陳謝したりトボけたりして、柳に風の風情が出てきています。

おそらくこれは菅総理の作戦だろうと思われます。
菅総理は確信を持って日本を脱原発に導こうとしています。

そのためにはともかく政権を維持しなければなりません。抵抗勢力につぶされることなく、延命して政策を実現するために、ボクシングで言うと、足を使ってヒットアンドアウェイのアウトボクシングをしていて、足を止めて打ち合うことを避けているようです。

その作戦は成功していて、菅総理は致命的なパンチを受けることなく、逆に自分が繰り出すジャブがけっこう当たって、世論を味方にしはじめました。

下図は菅総理の4月から7月にかけての言行録です。





この言行録から読み取れることは、菅総理がかなり早い時点、おそらく3月後半の時点で脱原発を決意したこと、そして着実にその方向に日本を引っ張って来たことです。



NHKの調査では、原発を減らせと言う世論が65%です。現状維持という意見も、これ以上作るなという意味ですから、新設しなければ寿命が来て減っていきますから、結局のところ90%以上が脱原発を望んでいるということです。

そして電力や原発の利権がからんでいない「有力な」政治家は菅総理とその周囲くらいですから、国民には、菅総理なら脱原発をやってくれそうだという期待があり、菅総理以外ではできないだろうと考えています。

ですから、菅総理が何か言うたびに、永田町での支持は減り、民主党内でも孤立し、自分の閣僚からさえ見放されますが、国民の支持は確実に増えてきています。

6月に不信任案が否決されたことも政治的には大きなことで、不信任案が否決されたということは、信任されたということで、信任された総理を無理に辞めさせることはできません。
ですから菅総理は政治家たちの間でいくら孤立しても平気で、ノイローゼにもなりませんし、下痢もしませんし、自分から投げ出す気はさらさらないようです。いずれメドがついたら次の世代に譲ると言っていますが、なかなかメドはつきません。

ストレステスト

菅総理は突然、ストレステストを持ち出してきて、経産省が決めていたことをひっくり返して、玄海原発の再稼働を延期させました。他の原発もストレステストを受けなければ再稼働はできません。どんなテストをするのかはっきりしませんが、菅総理は経産省の言いなりにはなりません。

たとえば地震の加速度を見ると、実際の加速度(左側)と原発が想定している加速度(右側)では、ケタが一桁違います。






玄海原発は270ガルを想定していますが、ストレステストでそんな値を打ち込んでパスしたから安全だとはなりません。まともにストレステストをしたら再稼働できる原発はありません。そんなことは上の数字を見れば一目瞭然です。


企業が海外に行ってしまうぞ、失業が増えるぞ、脱原発は非現実的だ、もっと現実的な政策をとれ、などとしたり顔で言う人が自民党などを中心にいますが、福島を体験した後で、上の数字をそのままにして原発を動かすことの方がよほど非現実的です。夢遊病患者みたいなものです。

原発はないものと思え。つべこべ言うな。これがしっかりした現実主義です。
戦後の焼野原から再起する、そのくらいのつもりで原発のない日本を作ろう。
それが国民の願いであり、日本国が存在しうる唯一の未来です。

この夏を乗り切ることができれば脱原発の方向が定まります。多少の停電があったとしても、「なんだ、原発がなくても何とかなるんだ」ということになります。

私見だろうと何だろうと、総理が脱原発を言ったのですから、日本の原発の将来はきわめて不透明になりました。立地県の知事はうっかり再稼働を承認することはできません。原発に将来がないのに再稼働すれば、県民はリスクだけ背負って見返りがないかも知れないからです。
再稼働できなければ、来年の5月に日本の原発はすべて止まります。


総理言行録を上に延ばして、永田町での支持がゼロになったあたりで、菅総理は伝家の宝刀を抜くことになるでしょう。


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