菅直人氏は、日本国を救った総理大臣である

2013.03.13


3月3日に大阪で菅元総理の講演会を行いました。
その前座のあいさつで、主宰者である私は、「菅さんは日本を救った総理だ」と述べました。



主宰者あいさつ
「菅さんは日本を救った総理大臣です」

これは客観的な事実です。
しかしそれは、菅さんの口からは言えないことです。
周囲が正当に評価する必要があります。

菅さんを非難する人々は、菅さん以外の人が総理だったらもっとうまく収束できたはずだ、と言うわけですが、誰だったらもっとうまく行ったのか。鳩山か、麻生か、福田か、安倍か・・・並べてみれば、ないものねだりでしかありません。

菅さんの行動で、すぐれた判断であり、かつ有効だったのは、3月12日のヘリコプターでの視察強行と3月15日早朝の東電乗り込みです。私は主宰者あいさつで以下のように述べました。



現地視察

3月11日夜、1号機が爆発しそうだ。爆発したら日本は滅ぶ。その責任は菅にのしかかっている。菅が必死でベントをしろと言っても、3時間経っても5時間経っても、東電はベントしない。なぜベントしないのかと菅が聞いても、東電は「分かりません」としか言わない。社長も会長も不在で東電本店は何の対応もできない。

菅が「俺が現地に行く」と決断するのは、総理として当然であり、実際にそれは大きな意味があった。それは現地で吉田所長を知ったことだ。理系の総理は図面をはさんで吉田の説明を受け、さらに吉田が決死隊を作って弁を開ける計画だという言葉を聞いて納得し、


現場が一生懸命やってくれているなら、私はそれ以上は言うことはない、頑張ってくれと言って帰ってきた

と菅さんは大阪講演で述べている。




1号機のベントは成功したが、その後、建屋が水素爆発した。14日には3号機の建屋が爆発、その落下物で2号機の冷却ラインが損壊し、2号機が冷却できなくなり圧力が急上昇した。さすがの吉田も決死隊70名を募って(後に世界からフクシマ50と賞賛された)、残りの数百名を福島第二に退避させる決断をした。

しかしそれが、東電本店の清水社長から官邸に「全面撤退」と伝えられた。それに官邸は驚き、民間人に死ねという権限は政府にはないから、どうしたものかと迷って、菅の判断を仰いだ。菅はまったく迷うことなく、「それはだめだ」と断言した。菅は吉田に直接電話して、吉田が全面撤退するつもりではないことを確認した。

やがて清水が官邸にやってきた。菅は、「全面撤退はありませんよ」と言い、清水は「わかりました」と受け入れた。

このあとの菅の「足さばき」がすばらしい。


統合対策本部

菅は清水に「これまで官邸と東電でバラバラに対応してきたので食い違いが多かった。そこで、政府と東電とで統合対策本部を作る。本部長は私だ。副本部長は東電から勝俣または清水、政府から海江田」と言った。清水は「わかりました。結構です」と答えた。

そこで菅は言った。「その対策本部を東電本店に置く。いいですね」

これには清水も驚いた。政府の機関を民間会社に置くとは超法規的なやり方だ。しかも東電内部が政府に丸見えになる。しかし清水は「わかりました。結構です」と答えた。
菅はその言葉を逃さない。さらに一歩踏み込んだ。
「では、今から私が東電に行く」 本部長だから当然である。


東電乗り込み

こうして15日早朝に、菅は東電本店に乗り込み、居並ぶ幹部社員に「撤退はあり得ない」と熱弁をふるい、そこに対策本部を作った。来てみれば、東電本店と現地は大きなテレビ画面でつながっている。東電本店に対策本部を置くという菅の卓抜なアイディアは12日の現地視察で得られていた。免震重要棟に入ってみたら、そこは本店とテレビ電話でつながっていたのである。「何だ、こんなことか。これならオレが東電の本店に行けば全部見えるわけだ」

しかし、政府機関を民間会社の中に作るのは超法規的なことで、命令はできない。相手を納得させねばならない。そのチャンスを菅はとらえた。それは、菅が最高責任者として誰よりも事故収拾に真剣に立ち向かっていたからこそ出た、アイディアであり行動だった。

そして、菅が東電に滞在しているその時に、ついに2号機が爆発した。大量の放射能が漏れ、現地の放射線量は急増した。吉田は決死隊以外の数百名の退避をすぐに実行することを決断し、テレビ画面を通して菅の了解を求めた。菅は了解した。菅はやみくもに「死ね」と言っていたのではない。


幸いにして、という言葉を菅は決して使わないが、運があった、2号機は全面破壊ではなく、底の部分が割れて圧力が抜けた。大量の放射能は漏れたが、首都圏まで避難しなければならないほどの大爆発にはならなかった。そして菅が東電にいたその時が、あとから見れば事故の最悪期だった。

統合対策本部によって、事故は少しずつ収拾に進み始めた。



以上が主宰者あいさつの要旨です。


菅さんは、15日早朝の東電乗り込み以降は、事故の収拾に直接関与していなかったそうです。

その後はすべて統合対策本部に任せ、そこに残した細野豪志補佐官を通じて、
判断したり指示を出したりしていた


と菅さんは大阪講演で述べています。


菅批判  海水注入中止?


菅さんに対する批判の最初は、安倍現総理による「海水注入中止」の言いがかりだった。
これについて菅さんは講演で詳しく語った。菅さんが語った事実はこうである。



3月12日の夜、2時間後に海水注入を始めるという報告が、東電からあった。真水がなくなったからである。冷却が第一だから、真水が無くなれば海水で冷却するのは当然だが、私は、真水を海水に換えることで何か問題は起こらないか、再臨界するとか、と尋ねた。

斑目委員長が「再臨界の確率はゼロではない」と言ったので、「たとえば海水にホウ酸を入れるなど、海水注入開始までまだ時間があるので、十分に検討してほしい」と言い、話はそれで終わった。その後、何の連絡も無いので、私は予定どおりに海水注入が始まったと思っていた。

だから、私には、5月になって突然、2か月も前の3月12日に菅が海水注入を中止させた、という批判が安倍氏から出たことについて、最初は何のことだか分からなかった。

後に明らかになったことだが、その時官邸に詰めていた東電の武黒フェローが、官邸から現地の吉田に電話して、「官邸がゴチャゴチャ言っているから、海水注入はやめろ」と言った。吉田が「もう海水注入を始めています」と答えたので、武黒は「駄目だすぐに止めろ」と指示したということだ。

これらはすべて録音が残っていて、世間に発表されている。

ところが、吉田もさる者で、海水注入を止めるわけにはいかないから、テレビ電話の前で本店に対して一芝居打った。
「いいか、今から本店から海水注入を止めろ、と言ってくる。俺は、分かりました、止めます、と答えて、君たちに、止めろ! とテレビに映るように指示を出すが、いいか、絶対に止めるなよ」

実際には海水注入は止まらなかったのである。

私がこのことで二重にも三重にも呆れたのは、武黒は東電の原子力の技術のトップだった男だ。炉の冷却は絶対だから、仮に総理が海水注入を止めろと言っても、そんな命令は無視して、あくまで海水注入を続けるべき立場の者ではないか。それがこのていたらくである。

なんで2か月もたって、こんなガセネタの批判が出てきたのか。親しい記者が言うには、「あの頃は東電の広報があちこちのマスコミに、これを記事にしてくれと言ってまわってましたよ、わが社はウラをとって、ガセだと分かったから書きませんでしたが」ということだった。

浜岡を止めた時から、急にこういう批判が出始めて、6月2日の不信任案提出になった。不信任案の仕掛け人は小沢氏である。彼が自民党の森元総理に、自民党が不信任案を出せば民主党から何十人か連れて賛成する、とオファーしてきた、と森元総理が新聞で語っている。



菅批判 住民避難について

菅さんに対する批判のもう1つは、住民避難の問題である。これは菅さんも、外国人記者クラブでの会見で、反省すべき点はあり、責任なしとはしない、と述べている。

しかし、どこまで住民を避難させるかは、非常に難しい。専門家でも意見が分かれている。

あまりに広範囲に退避命令を出すと、食料も水も無い寒空に、何十万人という人がさまよって死者が出るかも知れない。パニックが起きるおそれがある。

逆に、命令が実行されない可能性もある。

空襲や大火事や津波なら、黙っていても人は逃げるし、強制退避も納得できる。しかし放射能は体感できないから、あまりに広範な退避命令を出すと、言うことを聞かない人が必ず出てくる。家の中に隠れてしまうと、警察で強制するにも限度がある。命令に従って退避した人と、命令に背いて居残った人とで、不公平は生じないのか。病院や介護施設はどうする。運搬手段はあるのか。

出した命令を実行できなければ政府の威信は失墜する。実行しようとして警察力を使えば、人心は離反する。避難命令を出したことに対して批判が出て、政権がつぶされる。誰が責任者でも難しい問題である。今でも難しい。退避させても、させなくても、両方に反対派がいるので批判は免れない。



脱原発に菅直人の力を活用せよ

私が菅さんを支持する理由は、果敢に事故の収拾に当たって国を救ってくれたこと、その後、脱原発の路線を明確にし、浜岡を止め、玄海の再稼働を止め、保安院を分離し、再生可能エネルギー買取り法を成立させたこと、など過去の功績もさることながら、総理として国家存亡の危機に直面した体験から、日本の政治家の中でもっとも、心の底から脱原発の決意を固めている政治家だからです。

そして実際に菅さんは、同志を集めて脱原発の具体的な工程表を作成し、昨年夏に国民に提示しています。↓
http://www.minusionwater.com/datukakuhatuden.htm

脱原発には政治家の力が必要です。
世界の脱原発に向けて、世界的に菅さんの力を活用すべきです。

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