核の墓場

2013.06.13

九州大学 吉岡 斉 氏の 論考

九州大学副学長で物理学者の吉岡斉教授が、毎日新聞に以下の寄稿をしていますので、ご紹介します。

吉岡斉氏は30年来の反原発の論客で、故高木仁三郎氏など、合理的で公平な思考をする人は誰でも反原発になるのが当然ですが、吉岡氏の主張も常に合理的で公平です。

2013年6月10日 毎日新聞 夕刊




冒頭で、菅直人元総理の脱原発依存宣言を高く評価していますが、合理的で公平な評価として当然です。菅氏のあの決断がなければ、今頃、全国の原発は再稼働していたでしょう。

吉岡氏はリアリストですから、ほとんどの原発が再稼働できないと予測しています。
「半数を大幅に下回る」とは、稼働しても5〜6基ということです。それが現実でしょう。

これまで原発は、政権側が機動隊を導入して反対意見を圧殺して建設され、稼働されてきましたが、福島事故の後、一国の総理が脱原発を宣言した後で、国民世論が圧倒的に脱原発を望む中で、どんな政府もそのような暴挙に走ることはできません。

電力会社も原発の新設をすることはできません。

そもそも経済的にペイしていないもので、ドカンと行ったら日本最大の電力会社でさえつぶれてしまうような設備を、電力会社が作ること自体が、最初からどうかしているのです。

もともと、電力は総エネルギーの半分(あとの半分はガソリンや燃料)で、原発はその2割ほどでしたから、10%程度のものでした。それが福島事故のあと、ほとんど動いておらず、どれだけ再稼働しても5%までは行かないでしょうから、じゃぁいったい、何でそんなにこだわるのか、という話になるのは当然です。いくらでも節約できますし代替できます。


核のエネルギーは人類(生命体)の手に余るのです。
エネルギーのレベルや時間の長さがまったく違うからです。
生命体の知恵では消すことができないのです。

稼働しなくても、各地の原発に使用済み燃料が山積されており、現状ではどこにも運び出すことができません。今後、100年以上、子孫たちに残るのは各地に散らばる核の墓場です。


陸上保管は無理 日本海溝に静かに沈める

日本の東の沖300キロに、水深1万メートルの世界で最も深い日本海溝があります。

日本で10万トンから30万トン級のタンカー(エンジン不要のドンガラでよい)をどんどん作り、福島の排水だけでなく、世界中の核廃棄物をタンカーに積んで曳航し、次々に日本海溝に静かに沈めるのが、人類が核から脱却する、もっとも安全で現実的な方法でしょう。



タンカーに小さな穴を開けて沈めれば、タンカーの内外の水圧は同じになりますから、タンカーが壊れることはなく、鉄板が腐食して割れるまで、核廃棄物は中に閉じ込められています。
やがて割れるころには放射能は減衰しており、割れても1万メートルの海底からすぐに拡散することはありません。1万メートルの深海の魚を食べることもありません。

それに、もともと海水中にはウランが何十億トンも含まれていますし、ウラン生成物も元々は地球上の物質です。深海に静かに置いておくなら、それほど恐れることはありません。

これは日本海溝という世界一深い海から最短距離にある、日本ならではの仕事です。
世界の脱原発を目指して、よくよく世界の合意を取り付けて、実行したら良いでしょう。
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