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民主党政府は、2030年代には核発電をゼロにすることを国家的目標として定めました。 |

| 長年にわたる政策の大転換ですから、それによって損失をこうむる人もたくさんいます。それらの人々に配慮しながら、よくまとめた政策です。 2030年代に核発電の稼働をゼロにできるように政策資源を投入する、ということですから、必ずしもゼロになるとは限らないわけですが、目標設定ですからそれでよいと思います。目標を定めることが大切です。 これによって生じるプラス面とマイナス面を毎日新聞は下表右のようにまとめています。 下表の左は、40年規制が実行されたとき、2040年には廃炉決定の核発電所▲と、まだ稼働できる核発電所▲です。
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| プラス面では、まず筆頭に挙げられるべき重要なプラス面が抜け落ちています。 新政策の最大のプラス面は、核発電所の事故による被害が発生する可能性が2040年以降はほぼゼロになることです。 第2のプラス面は発電コストが下がることです。これまで核発電はコストが安いという「大ウソ」によって核発電は成立していました。事故の補償はしない、使用済み燃料の処理費用は計算しない、地元への税金投入は発電コストには入れない、というウソで塗り固めて、経済性を無視して核発電が行われてきました。実際は核発電はコストが膨大にかかっているのです。それをやめれば、一時的には燃料購入などで出費は増加しても、最終的に電力料金は下がる道理です。 マイナス面として列挙されていることは、すべて誤解、または取るに足りないことです。 まず、廃炉の技術者がいなくなる、と言っていますが、廃炉の技術などさしたる技術ではありません。技術者というより、労働者が必要なだけです。廃棄物の管理なども同様です。これらは技術ではなく、管理であり労働ですから、ある程度の工業技術を習得している人なら出来ることです。核発電をゼロにしなくても、次々に廃炉になる事実は変わりませんから、いずれ用意しなければならない労働力です。長期にわたって安定した仕事量がありますから、労働力を集めるのにそれほどの困難はないでしょう 次に、電気料金が値上げになるのは、核燃料がフルに装填されて、キーを回せばすぐに電力が得られる状態に整備された核発電所を使わずに、新たに火力発電所を整備したり、石油やLNGを購入してくるわけですから、一時的には仕方ありません。 製造業の海外移転は、電力が不足すれば起こることですが、20年以上かけて核発電を減らしていって、それを代替エネルギーで補充していこうという政策ですから、電力が不足するわけではありません。他方では、近くに核発電所があるなら工場を移転する、という企業もあります。製造業の空洞化は財界の言いがかり、脅し、でしかありません。 立地自治体の財政が悪化するのはやむをえません。美浜町の町長は「核発電が止まったら町は生きていけない」などと言っていましたが、そういう状況になってしまったことがむしろおかしいのです。核発電所がない町や村はたくさんありますが、美浜町長流に言えば、そういう町や村は生きていけないことになります。自助努力をすべきです。もちろん政府は急変を避けて、立地自治体への支援は続けると言っていますが、それも限りあることと覚悟すべきです。 温室効果ガスについては、これはもともと「サギまがい」の話ですから、これを理由に核発電を推進するのはもともと間違いでした。ですから逆に、核発電をやめることのマイナス面としてこれを挙げることも間違いです。また、核発電に替えて、地熱、風力、太陽光などによる発電が増加すれば、温室効果ガスという「国際的言いがかり」にも対抗できますし、再生可能エネルギーの割合を増やすことで、恒久的に炭酸ガス排出量の少ない社会を作ることができます。 政府の決定に対して、電力会社や財界が反発しています。 |

| まず第一に私たち国民が毅然として認識しておかなければならないことは、政府の決定に対して電力会社は文句を言う立場にはないということです。いったい何様のつもりか!ということです。 電力会社は電気を作って販売して利益を上げる民間会社です。どのような方法で電気を作るかについて、むろんある程度の自由採択はありますが、たとえば石油や石炭を燃やして排ガスで空気を汚すならば、それに反対して改善を求めるのはユーザーである国民の権利です。いま福島事故を体験した国民が、核で発電するのは危ないからやめろと言い、それを受けた政府が核発電を漸減させる政策を採択したのです。電力会社ごときが何を文句を言っているのか。身の程知らずとはこのことです。 おそらく電力会社は、国策にそって作ってしまった核発電所を使えなくされて、その費用処理を押しつけられるのがいやなのでしょう。それは民間企業として当然の自己防衛です。ですから政府は、電力会社の経営にも配慮して、比較的安全性が高いと思われる核発電所を稼働しながら、20年かけて脱核発電をしようと言っているのです。 国民と政府が意思決定者であり頭脳です。電力会社は手足です。 手足が頭脳に反対するなど、あってはならないことです。 関電の八木社長が言うべきコメントは、 「これまで国策に従って核発電を推進してきました。国策が脱核発電に変わるなら、関電はそれに従います。ただし民間企業ですから赤字を出すわけにはいきません。無用になる核発電設備に関する費用や、新たな燃料手配などの費用は、国で出していただきたい」 ということです。 国民はそれで納得するでしょう。 関経連の森詳介会長の言っていることは、実に奇怪です。代替エネルギーの確保はこれから20年かけてなすべき課題です。見通しが全部つくまでは方針を決めるな、とはいったい何事か。方針を打ち出し、その目標に向かって資源を投入してやっていこうと国民に呼びかける、それが政府の役割というものです。 下図は、私の本「日本新生 さらば核発電」からの紹介ですが、世界では自然エネルギーへの投資が拡大しており、風力発電は中国、米国、ドイツ、スペインでさかんに行われていて、日本はそのはるか後塵を拝していて、赤い帯の部分で世界のわずか1%です。技術立国日本が泣いています。なぜこんなことになったのか、それは政府が核発電を偏重してきたからです。 政府は今、わが国の風力発電を20年で10倍にしようという計画です。それは十分に可能であり、そこには大きなビジネスチャンスがあり、経済性成長につながると枝野経済産業大臣は言っています。反対する理由などどこにもありません。 |

| 関経連は何が反対なのか。 関経連の森会長は関電の現役の会長です。ですから発言の魂胆は明らかです。 核発電を推進する人は核発電から直接的な利益を得ている人だけだ、という私の認識が正しいことがここでも証明されています。「日本経済がー、日本経済がー」ともっともらしく騒いでも、何のことはない、自分の利益を言っているだけ・・・・と取られても仕方がありません。 直接の当事者は表立って発言すべきではない、これが最低の社会ルールです。 ほかにも、先月日本商工会議所の岡村会頭が、「核発電を続けろ」と野田総理にネジ込んでいましたが、岡村氏は原子力産業最大手のの東芝の会長だった人です(現在相談役)。核発電が継続されれば東芝は売り上げが増えて、岡村氏の実入りが増えるかどうかはともかく、後輩たちから礼を言われる立場です。そういう人は、「日本経済がー、日本経済がー」と言って、あたかも日本経済を背負って立っているようにして、核発電推進の発言をすべきではありません。 これは社会の常識です。 また、日頃から自分が日本の主であるかのように、「核発電をやれ」と、民主党政府に文句をつけている経団連の米倉会長は、住友化学の会長で、住友化学の会社の定款には「原子力産業に寄与する」と書かれていますから、原子力産業の一つです。 このように、財界全体が「原子力ムラ」なのです。自分の利益のために政府に文句をつけているのです。政府はそんな連中の話をまともに聞く必要はありません。 ちなみに、関電も東芝も住友化学も、株価が急落しています。核発電には経済合理性がありませんから、「日本経済がー、日本経済がー」ともっともらしいことを言って、その実、自分の目先の利益のために核発電に執着する企業の将来を、冷静な投資家は正しく評価しているということです。 しかし、今もし、自民党政府だったらどうだったでしょうか。 あんな事故があっても反省することなく、財界の要求を唯々諾々と聞き入れて核発電を推進していたでしょう。現に次期総裁を争う5人ともが核発電推進です。財界にからめとられていて、国民の方を向いていません。核武装のために核発電を続けろ、などまったく論外の主張です。 その自民党が政権を奪還する、というもっぱらの噂で、それを期待したマスコミが野党の党首選びに過ぎないものを、さかんに取り上げています。しかしマスコミの思惑ははずれて、報道すればするほど候補者のバカさ加減が露呈して、やっぱり自民党じゃダメだ、と人気凋落です。 床屋政談ですが、野田総理は解散をできるだけ引き延ばして、脱核発電の実現に目鼻をつければ、過半数ではなくても第1党となって、民主党主体の連合政権を作ることはまだ可能でしょう。 脱核発電の火を消してはなりません。 |