内閣に衆議院を解散する権限はない

2016.02.26

2年前に安倍内閣は、消費税の増税先送りを国民に問う、というまったくインチキな理由で衆議院を解散し、目くらましで多数を得て、内閣で憲法解釈を勝手に変更し、1年後に戦争法案を可決しました。党利党略による解散でした。

これは明確に憲法違反です。

三権は分立だと言われていますが、三権は同列ではなく、国権の最高機関は国民の代表たる国会です。内閣は国会(衆議院)から日々の行政の執行を任されているに過ぎません。その内閣が、自分を選任した衆議院議員の職を奪う権利があるはずがありません。それではまったく本末転倒です。

政府与党が、いま解散したら俺たちが勝ちそうだ、などと勝手に考えて衆議院議員の職を奪う、すなわち国民の信任を受けた人々の職権を停止するようなことは、日本国憲法はまったく想定していません。

法律の専門家の話を引用します。
社内弁護士森田の訴訟奮戦記ブログ
衆議院の解散に法的根拠はある?
http://www.seirogan.co.jp/blog/2012/11/post-47.html

第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること
  二 国会を召集すること
  三 衆議院を解散すること
    (以下、省略)

この条文を見て、「えっ??」と思われた方が多いのではないでしょうか。
そうです。上の条文は「天皇の行為」について書かれているのであって、内閣が衆議院を解散できるとは一言も書かれていません。

ところでもう1つ、衆議院の解散について書かれた条文が憲法にあります。憲法69条です。条文はこうです。

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

この条文を根拠にして、内閣が「衆議院」で内閣不信任案を決議されるか、又は信任案を否決された場合には、その内閣は衆議院を解散させるか、総辞職をするかの二者択一を迫られることになると考えられています。つまりこの場合、内閣が総辞職しないのであれば、その内閣は衆議院を解散させることができるのです。



いま、衆参同時選挙か、などと言われていますが、内閣が勝手に衆議院を解散するのは憲法違反です。衆議院が内閣不信任を可決した時に、そのまま内閣総辞職しか選択肢がないのでは、いささかバランスを欠くので、対抗手段として逆に衆議院を解散するような巻き返しがあってもよい、というのが憲法の定めるところです。

内閣不信任になれば、10日間くらい、政府と与野党でさまざまな駆け引きがあるだろう、と憲法は想定しており、その決着として衆議院の解散もありうるということですが、もし10日以内に内閣がそういう巻き返しに成功しなければ、内閣は粛々と辞職せよ、というのが憲法が定めるところです。

上の法律家は、内閣に解散権があるかのように説明しています。
しかしそれは間違いです。憲法は

10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない

と定めています。これは

内閣が総辞職しないのであれば、その内閣は衆議院を解散させることができる

ということではまったくありません。

内閣が「衆議院を解散する」と閣議決定したところで、衆議院が拒否すれば解散はできません。すなわち、内閣に衆議院を解散する権限など、あるはずがないというのが憲法の法理です。ですから、内閣が勝手に理不尽に衆議院を解散させようとしたら、野党は抵抗すべきです。

衆議院の解散は、あくまで衆議院の判断によるべきなのですが、現実には、内閣と与党が一体となって多数を制していますから、与党の多数決によって、議決なしにバンザイバンザイと衆議院は解散されるわけです。議員がこぞって、その場のムードで、自分たちは失職したいのだ、と言うわけですから、さすがにそれを止める手だてはありません。


トップに戻る