「協会けんぽ」は不正な医療請求は知らぬふり

2016.03.17

日本の医療費はうなぎ上りで、今では年間40兆円を超えており、国家財政や国民生活を圧迫するまでになっています。

どうしたらよいでしょうか?

答えはシンプルで、国民がもっと健康になって医療にかからなくなれば良いのです。

私は、その方法を広める活動をしています。その一環として昨年、関西のいくつかの健康保険組合に具体的な提案をしました。

しかし、まったく反応はありませんでした。
なぜなのか、うすうす察知してはいましたが、今朝の新聞の投書で確認できました。




「協会けんぽ」とは「全国健康保険協会」のことで、全国の中小企業の健保組合の集合団体です。以前は政府管掌保険と言っていたものを、行政改革で民営化したものです。

この投書から、協会には、自分では医療費を削減する気がまったくないことが分かります。

協会の理事長はホームページで次のように言っています。

全国健康保険協会(協会けんぽ) 理事長 小林 剛
加入者・事業主の皆様のご協力をいただきながら、ジェネリック医薬品の使用促進や
レセプト点検の強化など、医療費適正化に向けた取組みを勧める

加入者の協力を得て、レセプト点検を強化すると言っています。レセプト点検とは、医療側からくる医療費の請求書が正しいかどうかのチェックです。

投書子は、協会から自分に送られてきた医療費通知書を見て、医療側から身に覚えのない請求がなされていることに気づき、それを協会に通報したわけです。
理事長の言うことが本当ならば窓口の対応は

えっ!それはゆゆしきことです。さっそく調べてみます

となるはずです。それが

疑問だと思うなら直接医療機関に電話しろ

というわけです。
協会には不正を摘発して収支を改善するつもりがまったくないことが分かります。

投書子は、自分に金を返せと言っているわけではありません。協会が、みんなが収めた金を不当にだまし取られているから、よく調べて取り返せ、と言っているのです。それに対して「疑問なら直接医療機関に電話しろ」とは何という言いぐさでしょうか。

こんなことは個人が医療機関に電話したり押しかけたりしてラチがあくはずがありません。個人で家宅捜索などできませんし、金額の違いならまだしも、行っていないのに行ったようになっていては、個人側には何の証拠も残っていないわけです。そして、そんなことをして医療機関と気まずくなれば、そこには2度と行けません。

つまり、これは個人で対処することではないし、できることでもありません。

しかし協会は、それをやれ、と言います。窓口の担当者が勝手にそんな応対をするはずがありません。協会として、加入者からの疑問にはこう対処するように定められているわけです。

呆れた「上から目線」です。協会はいったい何様のつもりか?
医療の当事者は、医療を受ける国民と、医療を施す医療業者と、その間で金銭の事務をとる健保の3者です。



健保は国民に雇われています。言わば、国民がご主人で健保は雇われ秘書や執事のような立場です。つまり下図のようなあり方が、正しい関係です。



ですから「協会けんぽ」は、自分がだまされて不当に支払ってしまった金を、ご主人様のために取り返す責任があります。
ところが実際は、健保組合は医療側に組み込まれていて、意識も上から目線になっていて(下図)金を取り返したければ自分で勝手にやれ、と言っています。



この投書がそのことを明らかにしました。投書子は最後に

国民の医療費負担を上げることには血眼になるが、こうした不正には目をつむる。
これで国民が納得できるのでしょうか。


と結んでいます。

主語は明記されていませんが、もちろん「協会けんぽ」が主語です。
「協会けんぽ」はこれまで何度も「血眼になって」保険料を上げて来たのでしょう。
だったら不正くらいは摘発しろよな、とご主人様が思っても、この使用人は知らぬ顔です。

おそらく、この投書に対しても、知らぬ顔を決め込むのでしょう。
3月24日に運営委員会があるそうですが、たぶん話題にもなりません。
個々の疑問には対応しないのがマニュアルだからです。


「医療」・「健保」は医療費を減らしたくない

どうしてこうなるのか? 構造は簡単です。

まず医療側ですが、医療費を削減することを医療側に相談してもムダです。
どんな分野でも、自分たちの産業分野が縮小することを喜ぶ人はいないからです。
医療側は医療費が増大することは歓迎ですが、減少することはノーです。
まして自分たちが手伝って医療費を削減することはあり得ません。

では健保はどうか?
健保は国民の側に立って、医療費の削減に熱心か?
これが、そうではないのです。

実は健保も医療費が減ることには反対で、医療費が増大することは歓迎なのです。
国民と医療をつなぐパイプ(健保)を通る金額が多い方が、自分たちの存在価値が増し、組合の収入額も増えるわけです。「協会けんぽ」が望むのは、医療費が増大しつつ、保険料収入も増大する拡大均衡の道であって、けっして縮小均衡の道ではないのです。

このまま行けば多くの健保組合が赤字で解散になり、健保組合制度そのものが崩壊して国民健康保険に収斂します。すると健保組合に職を得ている人々は失職します。しかし組合の人々はその自明のことに気付かず、組合が存続できるだろうとタカをくくっています。

また健保は医療と対立したくありません。検診とか人間ドックとかあり、そもそも医療に隷従しています。だから医療側の不正を正すことはしません。


医療費削減を実践できる人


では、医療費の削減を真剣に考えている人は誰か?

それは実際に医療費を支払う人たちです。
もちろん医療関係者以外の国民1人1人は医療費を削減したいと願っています。
しかし1人1人では力になりません。この投書子もたぶん無視されておしまいです。

医療費削減を真剣に考え、かつ、それを実現する力を持っているのは、自治体の首長と企業の社長です。医療分野の企業や医療産業都市を目指す自治体などは、医療費削減には反対でしょうが、それ以外の普通の自治体や企業は、市民や社員が健康になって医療費が減ることは大歓迎です。そして、「やる気さえあれば」それを実施する権能があります。

今年は、自治体の首長や企業の社長に医療費削減の具体策を提案して「やる気のある人」を探します。1つの自治体でも、1つの企業でも、賛同して具体策を実施し、健保給付額が5%減ったとか10%減ったとかをデータで示すことができれば、世の中は変わるでしょう(下図)。




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