ニセ科学批判者たちの誤り
2006.08.30
「ディレカ」の肩を持つつもりもないが、キクログでのこなみ氏の「ディレカ批判」があまりにもお粗末なので、前の記事でも少し述べたが、解説を続けよう。
こなみ氏は以下のように言っている。
684.こなみ August 20, 2006 @ 11:16am
ディレカの仕組みと称する説明では,水道水をプラスイオンとマイナスイオンに分けて(これも意味不明なのですが),プラスの方を外に逃がして,マイナスイオンを残すことになっています。これも高校物理程度のクーロンの法則などに関する知識があればまったくナンセンスであることが明白です。私のウェブサイトにも書きましたが,プラスのイオンだけを外に運ぶような膜はありますが,それは電極から電気エネルギーを供給しなければなりませんし,かなりひんぱんに交換する必要もあります。こんな金属の筒にはそんな機能は100%ありません。
まず、ディレカのHPは、「水道水をプラスイオンとマイナスイオンに分けて」などとは言っていない。こなみ氏が勝手にそう「解釈」しているだけである。
解釈というより、はっきりと誤読である。
そして自分で勝手に誤読しておいて、意味不明などと言う。
ディレカは「マイナスの電荷」と「プラスの電荷」と言っているが、イオンとは言っていない。
相手を批判しようとするならば、まずは相手の言っていること正しく認識すべきだ。しかしニセ科学批判者の常として、その基本がまったくできていない。なぜそんな当たり前のことができないかというと、相手の言うことを聞く前に、相手は間違っていると決めつけていて、そこから先はまったく頭が働いていないからである。
この文章は初めの認識が間違っているから、あとは全部間違いである。
したがってあとの部分は論評しても意味がないので、先を見よう。
続いてこなみ氏は言う。
こなみ さて,ディレカの設置のときに取り付けられるアースというのは,そのプラスの電気を外に逃がす役割ということになっています。しかしそもそも,水力のエネルギーで上記のようにイオンを分けるなどという「仕組み」自体がまったく根拠も効果もないものなのですから,アースをどうしてみたってディレカの性能は変わりません。無駄の上塗りです。そもそも,水道管自体が金属でできていて,地下に配管されているので,最初からしっかりアースされていると考えてよいでしょう。アースはたんなる飾りでしかありません。
ディレカは「イオンを分ける」などと言っていないのだから、前段に引き続いて、自分の勝手な思いこみに基づいて、相手をこきおろしているわけだ。
それに、「水道管が金属で出来ている」などということはない。
いまどきたいていの家庭で、水道管は塩化ビニルすなわち塩ビ管に決まっている。こなみ氏にはこんな常識もないのかと驚いてしまう。
塩ビは絶縁体で電気を通さないから、ディレカは電気的には宙に浮いている状態で設置されることになる。だから、ディレカ本体をアースすることには、ディレカの性能がどうかという以前に、一応の意味はあるのである。
このように、ディレカに対するこなみ氏の悪口雑言は、相手の言うことを正しく理解できず、また水道管が何で出来ているかという常識もないまま発せられているわけだ。
ふつうの人の感覚ならば、発言がこのように間違っていたら、恥ずかしい思いで訂正するものだが、ニセ科学批判者たちにはそういう恥の感覚がない。「よくわからないけどやっぱりニセ科学」などと平気で言う人々だから、付ける薬がない。
では、ディレカの装置の内部で何が起こっているのか。
これは、以下のディレカの説明を読めば素直に理解できる。
ディレカのホームページより
ディレカのしくみ
ディレカのパイプの中を水が通ると、静電気が起きます。この静電気のプラス電荷をパイプの外に逃がし、マイナス電荷の水だけがパイプの中を通過します。
ディレカの原理 5
ディレカのパイプは、水流などの摩擦によってできた電気をプラスの電気とマイナスの電気に分け、プラスの電気を土の中に逃がしています。電気の流れは電子の流れと逆方向ですから、土の中の電子がディレカを通して水の中に入ってきます。水が電子をどのように保有しているかは科学者の方たちの研究を待たなければなりません。
そしてその説明として下図が示されている。(無断コピペ。注釈は吉岡)
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| 図1 右の方から水が入ってくると、水は装置内のたくさんの金属フィンに衝突する |
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図2 金属フィンと水との摩擦で静電気が起こり、負電荷は水流に乗って
外へ運び出され、正電荷は金属シェルの外壁からアースに放電される |
こなみ氏は、この青い丸を「マイナスイオン」、赤い丸を「プラスイオン」と誤解しているわけだが、図にはっきりと示されているように、これらはそれぞれ「マイナスの電荷(電気)」と「プラスの電荷(電気)」であって、イオンではない。
(しかし、こなみ氏の誤読も、天羽優子氏の勘違いよりは多少はマシなのかも知れない。天羽氏は赤い丸を、こともあろうに「陽子」と勘違いしている。その上、陽子が出来るには核反応が必要だ、そんな核反応がこの筒の中で起こっているとでも言うのか!と息巻いている。しかし仮に陽子だとしても、水素の原子核は陽子そのものだから、水素原子から電子をはじき飛ばせば陽子になる。核反応など必要ない。天羽氏は二重の間違いをしていて、これは学者として非常に恥ずかしいことだが、ニセ科学批判者たちはこのくらいは平気である。
この天羽氏のコメントに対して、ディレカ社長のの田村氏は、「水商売ウォッチング様からコメントをいただきありがとうございました」と余裕しゃくしゃくだ。最近、販売部隊に良き軍師を得て商売繁盛の様子である)
化学者は、電荷というとすぐイオンだと考えるようだが、ここでのマイナスの電荷とは電子そのものであろう。そしてプラスの電荷とは、「あるべきところに電子がない」という「状態」のことである。その「電子がない状態」で「放電」が起こるということは、そこに電子が流れ込むということであり、アースを通じて大地から電子が流れ込むわけだ。
つまり、水流によって金属のフィンがたたかれて、その力で金属の中の自由電子が水中に飛び出し、それらの電子は水流に乗って運び去られて、金属の側には「あるべきところに電子がない状態」(空孔または正孔)がたくさん残される。そこにアースラインを通って大地から電子が補充される、というのが全体の流れである。
これをひとことで言えば、「電流が流れる」ということである。
ここで問題は、金属片が水にたたかれて電子を放出する、という現象があるのかどうか、ということだが、それを知るにはディレカのアースラインに電流計をつないで、電流を測ればよい。ディレカの主張が事実ならば、水の流量(流速)に比例した電流が検出されるはずだ。たぶんディレカはその測定をやっているだろう。メーカーならそのくらいのことはするものだからだ。そのことを積極的に言わないのは、なにかビジネス上の理由があるのだろう。
ユーザーの場合は、いちいちそこまで測定しなくても、ディレカが主張している「結果」が実際に起こっていることが確認できれば、それは水が変化したということだから、商取引としてはそれで十分である。
さて、次の問題は、金属片からたたき出された電子はどのように水に保持されるのか、ということだが、これについてはディレカが言うように、
水が電子をどのように保有しているかは科学者の方たちの研究を待たなければなりません。
というところである。
もし電流計の針が振れたとしたら、その電子の流れはどこへ行くのだろうか。
原子とか分子とか、分かっているようで分かっていない。
原子と原子の間、分子と分子の間はすきまだらけである。
軌道電子といっても、水分子が液体の水になっているときに、軌道電子はどこを回っているのだろうか。
ひとつひとつの分子が自由運動をしている気相の「水蒸気」と、全体がつながって固定されている固相の「氷」との間に、液相である水があるわけだから、水はいくつかの分子が集まったクラスター構造をしていると考えられる。
そのクラスターには100個とか200個の軌道電子があるのだから、その中で電子が1個や2個増えても、別におかしくはなさそうだ。
逆に、「そんなことはあり得ない」と言うだけの知識を人類はまだ持っていない。
研究すべき課題である。
こなみ氏は続ける。
こなみ ところで,この種の水系商品では活水器というのが昔からあって,そっちはオリフィス(管を狭くして流速や圧力を急変させるしかけ)を利用して,水のクラスターを小さくするとか水にエネルギーを与えてどうのというものでした。ディレカは基本的にそれと同系列の,まったく効能を持たない製品であると考えるべきです。それ自身が化学変化しない材質で作られ,物質の出入りが水の出入り以外には起こりえないパイプですから,それに水を通すだけで,水道水の成分が変化するというような仕掛は作りようがありません。何度も書きますが,これはインチキ商品です。
こなみ氏は「成分の変化」がないと、ものごとが考えられないらしい。成分の変化のないところで何か変化が起きたという主張は、彼にはすべてインチキに見えるようだ。この点は天羽優子氏も安井至氏も同じである。
しかし成分以外にも、構造とか電荷とかいろいろな変化の要素があるのであって、活水器とはすべて、成分の変化のないところで水に変化が起きていると主張する「物理学的器具」である。
だからおそらく、「活水器」という概念やあり方は、三流のケミストにはそもそも理解できないことなのだろう。インターネット上での三流ケミストたちの発言は、言えば言うほどセンスのなさを暴露して、恥をさらすばかりである。
こなみ また,多数のウェブサイトの「効能があった」記事も,売るための虚偽の宣伝の疑いが濃厚です。そんなにウソをつくはずがないと思うかも知れませんが,これら新聞の折込広告にある「○○で××が治った!」体験談と同様であり,世の中にこの種の広告は溢れているのですよ。だったら詐欺だから犯罪じゃないかと叫んでみても,薬事法や医師法に抵触しない限り,これらを法的に取り締まることはやはり難しいのです。
ディレカの効能を宣伝しているサイトには,設置業者のものもかなりあります。製品の原価なんて量産すれば1万円で十分でしょうから,設置業者のマージンもかなり高くなるような仕切り価格と小売価格の設定になっているのでしょう。「うちはディレカをやってます」みたいなサイトはその口かと。ようするに,インチキ商品を売って儲けようというのを,メーカーと業者が組んでやっているわけです。ただし業者によっては善意で思い込んでしまう人もいるのですが。
世の中にはインチキ品が多いという、こなみ氏の主張は、まぁ、そういうこともあるのだろうが、だからと言って特定の相手に対して、「ディレカはインチキである」と言っていいことにはならない。
相手を名指しで批判する場合には、相手のことを十分調べなければならない。それが礼儀であり世間の常識である。
しかし、こなみ氏にはその常識が通じない。ニセ科学批判者たち全員に、その礼儀や常識がない。個別に検討することなく、気に入らないものを十把一絡げにしてブルドーザーで押しつぶすようにするのがニセ科学批判者たちのやり方であり、そのようなヒステリックでファッショ的な傾向はニセ科学批判者たちに共通する特質である。
いささか脱線するが、歴史的に見て、戦前のナチスやムッソリーニ、日本の軍部などのファシストたちの特徴は、考えが粗雑であること、頭が固いこと、個別に見ないこと、司直の手続きなしで平気で全体を押しつぶすこと、身内でおべんちゃらを言い合うこと、群れたがること、反対意見を排斥すること、などであるが、「ニセ科学批判者」たちの思考や行動のパターンを見るに、これらの特徴が見事なほどに当てはまるのが、なかなか興味深い。ニセ科学批判者たちは、個人主義や自由経済が肌に合わないようである。
さて、こなみ氏は自分のホームページでもディレカへの悪口雑言を書き連ねている。
京都女子大のサーバーにあるこなみ氏のホームページより
ディレカのパイプの中を水が通ると、静電気が起きます。この静電気のプラス電荷をパイプの外に逃がし、マイナス電荷の水だけがパイプの中を通過します。(ディレカのHP)
ナンセンスです。どうしてこの商品の説明はどこを見ても徹頭徹尾ウソとデタラメに満ちているのだろうか。
電荷が分離するためにエネルギーが必要だ。しかもそれは半端ではない。仮にここで書かれているのが電気分解を意味するとして,水の1%を電気分解するためのエネルギーを熱で補給するとしたら,水はすっかり蒸発してしまう。運動エネルギーで補給しようとしたら,ジェットエンジン並みのパワーが必要になるだろう。とはいえ,それで電荷分離なんか引き起こせないけどね。もちろんプラス電気だけを通す膜なんてありません。陽イオンあるいは陰イオンだけを通過させる膜はあるのだが,そのためには電気エネルギーを外から与える必要がある。
水の電気分解? イオンを通す膜? ほとほと呆れてしまう。
電子は金属の側から来るのである。
ディレカは、中に空気を通しても同じ事が起こると言っている。ディレカとは関係ないが、実際、自由電子の多い金属のフィンに風をあてると、空気中にマイナスイオンが発生することを、我々は確認している。
子供のころ下敷きを脇の下でこすって静電気を起こして遊んだものだが、あの簡単な動作で、下敷きから衣服へか、衣服から下敷きへか、とにかく一方から他方へ電子が移動するのである。
ジェットエンジン並みのパワー? 何を言っているのだか。
要するに現場を見ようとしないから、こういうトンチンカンなことを平気で言うわけだ。
こなみ氏は一生懸命身構えている。すごいことをやってのけたつもりなのだろう。
勧善懲悪のヒーロー気分にひたっている。
しかし、名誉毀損や営業妨害で訴えられたら、こなみ氏はあっさり負ける。
氏の主張は間違いだらけなのだから仕方がない。
しかしそれ以前に、こなみ氏の無知蒙昧ぶりは物笑いのタネでしかないから、余裕しゃくしゃくのディレカが、いちいちそんなものを訴えることはない。つまり、こなみ氏は相手にしてもらえないということだ。だからこなみ氏は、心配する必要など全然ないのである。
ディレカの肩を持つつもりはないが、こなみ氏の言論があまりにお粗末だから、少し解説してみた。
むろん我々は、ディレカよりも数段優れた製品を市場に供給している。