核発電は軍事マター

2012.06.23


原子力規制庁設置の法律が通ったのは結構なことで、40年で廃炉という原則が決まりました。
これは今後の脱核発電に向けて、決定的な意味を持ちます。

しかしその見返りに自民党は、原子力基本法の変更をこっそりと忍び込ませていました。
わが国の原子力利用は「安全保障に資する」ように行うという文言です。





報道ステーションも大きく報道していました。

東京新聞は以下のように報道しています。


二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。 

設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。

基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとした。

追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。

自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。



これは、日本は核武装能力を維持するという、自民党右派からの宣言です。
現に、韓国やロシアはそのように受け取って警戒しています。

もともと日本の原子力利用は、その衣の下には核武装と言うヨロイがありました。
私は拙著「日本新生さらば核発電」でそのことを以下のように指摘しています。




自民党右派は、もともと核発電などどうでもよく、核発電を利用して核武装を目指しています。
核武装がメインで、核発電はサブです。

それが、福島の事故があって国民の意識がはっきりと脱核発電に変わりました。
そして世論に押されて、脱核発電のカギとなる40年廃炉の法律を自民党は了承しました。

つまり核発電はかなり雲行きが怪しくなってきています。
10年後にはゼロになっている可能性があります。

じゃぁ、核発電がダメになったら核武装もあきらめるのか、というと、自民党右派にとってはそれでは「本末転倒」なわけです。

ですから自民党右派は、50年も大事に着ていたウソの衣を捨てて、「核発電なんかどうでもいい、でも核武装はするぞ」という本音のヨロイだけになった・・・・ということのようです。

塩崎氏は

日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ

と言っていて、まぁ、衣を捨てたということです。

核発電には利権がからみますし、それで潤っている政治家もたくさんいますが、真の政治家は利権だけでは動きません。やはり思想信条とか理想で動いています。自民党右派は、日本が核武装の能力を維持することが日本の国益になると信じているわけです。

それは一つの主張です。

しかしそこまで言うなら、自民党は次の選挙でこれを選挙公約として掲げなければなりませんが、それができそうもないから、塩崎氏らは党内の議論さえなしに、こっそり文言を入れたということでしょう。


民主党はそれを見越して、どうせ自民党が核武装論でまとまることはないと見切って、40年廃炉の実をとったということかも知れません。


ただし、陰の主役はアメリカです。こういう自民党右派の動きはアメリカの核戦略にとってどうなのか。これはちょっと私には分かりません。


いずれにせよ、核発電の深淵に政府首脳として直面した、菅前総理、枝野経産大臣、細野原発大臣たちが、確信を持って仕掛けた 

「脱核発電の基本方針」
「保安院の分離独立」 
「ストレステストの実施」 
「再生エネルギー買い取り」 
そして 
「40年廃炉の原則」 

が通ったことで、これからはいろいろな勢力が押したり引いたりしながら、日本は脱核発電に向かって進んでゆくでしょう。



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