原発事故のコスト


2011.11.09


内閣府の原子力委員会が原発事故のコストを修正して発表しました。

毎日新聞11月8日







専門部会では損害額は4兆円と見積もったところ、その上の「有識者会議」で文句が出たので、それではと5兆円に修正して計算したということです。


原子力委員会はこれまで、安全だ安全だと言って原発を推進してきました。それが、本当はお金に換算できない、人間の尊厳を失わせるような大きな災厄をまき散らしながら、いまさらのようにそろばん勘定をしています。

どう考えても100兆円を超えそうな損害があるのに、4兆だ、5兆だと、東電が払うのがそのくらいだから、それでいいんだ、という理屈です。

ある笑い話ですが、幼い弟が、庭で夜空に向かって竿を振り回していました。お兄ちゃんが、お前何してるんだい?と尋ねると、ボクは星を取ろうとしてるんだ、と弟は答えました。なぁんだ、星はもっと高いところにあるんだから、屋根に登らなきゃ取れないよ、一緒に屋根に登ってとろう、とお兄ちゃんは言いました。
そばで聞いていた父親が感心して、なるほど兄貴だけのことはある、と言いました。


まぁ、そんな感じで、実にバカバカしい計算をしています。


どういう計算をしているかと言うと、

これまで原発50余基が、平均して30年間稼働しているから、延べの稼働年数は50x30=1500年・基になります。そして今回福島で3基が爆発したから、1500÷3で、1基あたりおよそ500年に1回ずつ爆発するという計算になります。

そして日本には500年に1回爆発する原発が50余基動いているわけで、500年たってみれば50回の事故が起きている勘定ですから、平均して10年に1回はどこかで爆発するということです。

すなわち、
2020年頃にどこかで1基爆発します。
2030年頃にもまたどこかで1基爆発します。
2040年頃にもまたどこかで1基爆発します・・・・・・・・

と、原子力委員会は言ってくれているわけです。


で、いま、原発の発電量が全部で5000万kwくらいで、稼働率が60%くらいですから、

5000万kw x 8760時間/年 x0.6 x 10年=2兆6280億kwh

の電気を、次の爆発までに発電して配ってくれるわけです。

そして次の爆発も損害額が5兆円だとすると、 5兆円÷2、6兆kwh=約2円/kwh

これが事故のコストですよ、安いもんでしょ、もっともっと原発やりましょうね、
というのが原子力委員会の考えです。


損害額が5兆円だというのは、勝手な算定ですが、損害額1兆円あたり0.32円/kwhのコストになるというのは、正しい計算でしょう。すると損害額が100兆円を超えるなら、原発のコストはそれだけで全国一律に一挙に32円/kwh上がることになります。


つまり、1.2円が1.6円に修正された、などという話は、屋根に登って星をとろうとするのと同じほどに馬鹿馬鹿しい話なのです。


毎日新聞は、翌日もフォローしています。





専門部会に脱原発を主張する人が参加するという画期的なことが起きており、そういう人々の考えも反映され始めたということです。

山名教授は原子力推進です。
「元」は名前で、元教授という意味ではありません。現役の教授です。

「10年に1回起こることになってしまうやないか」と山名氏は批判したようですが、これはこれまでの原子力推進派の実績であって、紛れのない事実ですから、原子力資料情報室の伴さんが言うことがもっともで、文句を言うほうがどうかしています。

原発推進派はこれまで、「安全だ、安全だ」と繰り返してきました。
反対派の反論が無視されたのは、「事故が起きる」のが想定でしかなかったからです。
しかし今回、実際に事故が起きたわけです。
つまり、反対派の言っていたことが正しく、推進派はでたらめを言ってきたことが、事実をもって証明されたわけです。

ですから、いまさら何の弁明ができるのか・・・・と思うのがふつうです。

ところが山名氏は、「これからは安全性が向上するからそのファクターを計算に入れるべきだ」などと平気で言うのです。本当にいまさら何を言うのでしょう。そんなことを言うなら、もっと大きい地震だってあるし、福井で事故が起きて北西風が名古屋まで吹けば100兆ではすみません。

それに、そもそも事故は起きないという話だったのですから、いまさら安全性が向上する余地などないわけです。

結局、原発推進とは、自分がやりたいからやっているだけです。
ほかに理由などありません。
日本のためだとか、人々のだめだとか、そんなことはタテマエです。
原発を推進しないと自分の生計や地位が危ういから、推進を主張しているだけです。
それはハタ目には明らかです。


これほど明らかにダメなものを、なぜやっているのか?
考えるほどに、何かもっと深い理由がありそうに思われます。

日本の原発はおそらく、核をめぐるもっと大きな世界的策略の手のひらの上で踊らされてきたのではないか・・・・そこには深い闇があるように思われます。



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