| 1ヶ月前に瓦礫のことを書き、武田邦彦氏の誤りを指摘しました。 氏はそもそも、「福島の瓦礫」を広域処理するもの、と勘違いして反対論を唱えました。 「私は福島に行って見てきましたが、瓦礫は整然と積まれていて、復興の障害にはなっていません」と言っていましたから、最初から勘違いして論じていたわけです。 今はその間違いに気付いたようですが、前言を撤回せずに、「広域瓦礫処理は許さない」ための別の論理をひねり出しています。 以下が氏の新しい主張です。 http://takedanet.com/2012/02/post_740a.html |
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「瓦礫」のトリック・・・その危険性とトリックを正しく知ろう
震災瓦礫の問題を「日本の大変大きな問題」としてとらえ、これを国民としての誠意をもって整理をしてみます。数字は丸めてありますが、正確ですから、まずは問題の本質を良く理解するところから始めたいと思います。本当は政府や自治体が出すべき数値ですが、なかなか出さないので私の方から説明します。 1. 瓦礫の量は阪神淡路大震災と大きく違うのか? 阪神淡路大震災の時の瓦礫の量は2000万トン、東日本大震災2300万トン(環境相発表)で、わずかに東日本大震災の方が多いが、地域が広いことを考えるとほぼ同じか、むしろ東日本の方が面積あたりにすると少ない。 2. 瓦礫全体の内、どのぐらいを被災地の外で処理するのか? 瓦礫総量の内、わずか20%の約400トンを東京やその他の地域で処理する。80%が現地処理。 3. 瓦礫の処理が遅れている理由は何か? 「瓦礫の処理が5%しか進んでいない。これは瓦礫の引き受けが進んでいないから」と2月21日に発表した。しかし、もともと被災地外で処理するのはたったの20%だから、被災地外の引き受けが順調で、もし半分が引き受けても10%の処理率になるに過ぎない。つまり、環境省はこれまでと同じように瓦礫の処理が遅れている理由を、国民が誤解するように発表し、専門家と言われる人はこの辺の事情を十分に知っているのに言わない。新聞も同じである。 さらにNHKは2月末の放送で「瓦礫を不当投棄するので、瓦礫処理が進まない」という自治体の言い分をそのまま放送した。山のように積んである震災瓦礫の数100分の1しかないのに、それがあたかも瓦礫の処理が遅れている理由にしている。またさらにそれを知っているNHKが自治体の言い分だけを放送するというのだから、国民が税金や受信料を支払っていることを忘れているとしか思えないのは当然だろう。 4. 処理価格のトリック 阪神淡路大震災の時の瓦礫の処理費用は2万2千円(トンあたり)、それに対して岩手の瓦礫の処理費用(税金)は6万3千円、宮城5万円。なぜ、阪神淡路大震災の時と比べて物価はやや安くなっているのに、処理費が3倍近いのかについても説明はなされていない。 自治体は政府の圧力とお金の魅力で汚染を引き受けているのではないか。この処理費用のカラクリを市民に言わずに「被災地を助ける」ということしか言わない。 5. 被災地には本格的な瓦礫処理施設を作らない ある宮城県の自治体が仮説焼却施設を作ったと報道された。その能力を計算してみると実に小さい(このような細かいことはまた機会があったら書くようにしたいが本筋が大切なのであまり細かい数字は割愛する)。 つまり、確かに「見かけ」は「焼却施設を作った」と言うけれど、名古屋市にいくつかある焼却施設のどれにも該当しないような小さな焼却施設だ。でも素人を騙すことはできる。「被災地にも焼却施設を作っている。武田はウソを言ってる」などと言う人もいるが、私を批判する専門家なら焼却能力のカラクリを判って言っているはずである。 6. 汚染の可能性 放射能の量としては、1キロ8000ベクレルが基準値なので、2300万トンでは拡散量は約200兆ベクレルになり、日本人ひとりあたり150万ベクレルに相当する。これは1キロ40ベクレルというまともな食材汚染の限界から言うと一人あたり37年間、汚染された食事をすることを意味する。 また山形と東京が瓦礫を引き受けているが、かりに山形市が半分を引き受けたら、お金はかなり来るだろうが、その代わり山形市の汚染は1平方メートルあたり24万ベクレルと規制値の6倍、警戒領域の60倍にも達する。 このような計算をすると、「山形だけが瓦礫全体の半分を引き受けるワケではない」などという反論がでるし、それを承知でここで示している。もし、数値を問題にするなら、自治体自体が「何トン受け入れて、それによって放射線量は何倍になるのか?」を言わなければならない。民主主義だから「瓦礫を引き受けたら放射線量が何倍になり、付近の人はどのぐらい被曝するか」という数値を出すのが第一である。 まだ瓦礫処理にはトリックがあるけれど、たった20%しか被災地以外で処理せず、放射性物質は拡散します。でも、誰が考えても不合理なことをしていますし、それに「どのぐらい被曝するか」、「どのぐらいお金が入るか」、「1円当たり何ベクレルか」などすべてを透明にすることが必要です。 (平成24年2月28日) 武田邦彦 |
| 先日のTBSの「朝ズバ!」で宮城県の村井知事が、朝早くから雪の積もった瓦礫の山の上で、「とても宮城県だけでは処理できないので全国のみなさん何とかご協力お願いします」と訴えていました。 武田氏は、これをダマシだとかトリックだとか言っているわけですが、なぜ宮城県知事が瓦礫の山の上から国民をだます訴えをしなければならないのでしょうか? 知事の訴えは、彼の真情であり、被災地の実情だと素直に受け取るのが普通です。 また、これが現地の人々の願いです。 http://kouikishori.env.go.jp/yt/ 個別に考察してみましょう。 |
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1. 瓦礫の量は阪神淡路大震災と大きく違うのか? 阪神淡路大震災の時の瓦礫の量は2000万トン、東日本大震災2300万トン(環境相発表)で、わずかに東日本大震災の方が多いが、地域が広いことを考えるとほぼ同じか、むしろ東日本の方が面積あたりにすると少ない。 2. 瓦礫全体の内、どのぐらいを被災地の外で処理するのか? 瓦礫総量の内、わずか20%の約400トンを東京やその他の地域で処理する。80%が現地処理。 |
| 阪神大震災は、私はまさにそのまっただ中にいたわけですが、瓦礫の量がこれほどとは知りませんでした。しかし、阪神大震災の時は、かなりの量が山間などで埋め立てられたと聞いています。 焼却できる瓦礫は可燃性のものですから、東日本の津波被災地でで可燃性の瓦礫はどのくらいあるかが問題です。2300万トンとは瓦礫全部のことです。そのうち焼却可能な瓦礫がどのくらいあるか、あるいはどのくらいを焼却処理しようとしているのかを、行政はきちんと言うべきです。 それが分からないと単純に比率では論じられませんが、広域で焼却処理しようとしている量が400万トンというのは、それほど少ない量ではありません。 ゴミの焼却量は全国で年間4000万トンほどあるそうで、岩手宮城は人口が合わせて360万人で全国比3%くらいで、平時のゴミ焼却も全国の3%の120万トン/年間くらいだと思われます。その地域で400万トンをよそに引き取ってもらえれば、これはかなりの量でしょう。 阪神大震災の場合は、関西一円で相当な焼却能力があったと思われますから、阪神が2000万トンで東北が2300万トンで、たいして変わらない、という比較はできないでしょう。 処理価格がどういう内訳かは知りませんが、まず、瓦礫が海水に浸かっていたことが阪神大震災の時と違う点です。しめっていて燃えにくく、燃やすと塩分が出て炉や配管を痛めますから、そういう出費もあらかじめ見積もっておかねばなりません。瓦礫を岩手から東京や大阪まで輸送するのも、かなりなコストになりそうです。 瓦礫処理の本格的な焼却設備を現地に作れ、というのはあり得る主張ですが、国や県の行政当局は当然それも検討した上での決定でしょうから、まわりから生半可にとやかく言うことではありません。それに、感じとしては、立派な設備を作っても3年くらいで不要になってしまってはコスト高になるでしょう。 とにかく、現地の知事が引き取ってくれと懇願しているわけですから、それに対して、あれはダマシだ、トリックだ、と言うには相当な裏付けがなければなりません。 |
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6. 汚染の可能性 放射能の量としては、1キロ8000ベクレルが基準値なので、2300万トンでは拡散量は約200兆ベクレルになり、日本人ひとりあたり150万ベクレルに相当する。これは1キロ40ベクレルというまともな食材汚染の限界から言うと一人あたり37年間、汚染された食事をすることを意味する。 |
| 1キロ当たり8000ベクレルという数値は、焼却後の灰の放射線量の上限値です。 これ以下なら埋め立てて良い、という基準です。 焼却するとゴミは重さも体積も減ります。それが目的で焼却するわけです。そして量が減った灰をどこかに埋めて最終処理とします。日本中の可燃性のゴミはそのように処理されています。 もとの瓦礫が400ベクレル/kg以下でないと、焼却灰は8000ベクレル/kgを超えてしまうだろうと言われています。単純に計算すると、焼却によって瓦礫の量は20分の1になるという想定です。 瓦礫の受け入れを表明している自治体は、もとの瓦礫の状態で400ベクレル/kg以下よりもっと厳しい基準を設定して、100ベクレル/kg以下の瓦礫を受け入れると言っています。 こういうわけですから、8000ベクレルに2300万トンを掛けるというのがとんでもない話で、それにそもそも広域処理は20%400万トンだと自分で書いているではないですか。 正しくは、8000ベクレル/kg x 400万トン ÷ 20 =約2兆ベクレルの放射能が焼却灰に残りますが、そんな計算はどうでもよくて、ここから先が、奇想天外、ビックリ仰天です。 武田氏はなんと、この焼却灰が全国にまき散らされると言います。 そしてみんながそれを食べて、37年間も汚染された食事をすることになる!と言います。 は? 何でまき散らすの? 埋めるんだろ? それに、何で灰を食わなきゃいけないの? 津波の瓦礫を広域処理すれば、放射能が拡散することは確かです。しかしそれは日本人全体が甘受すべきことです。54基も原発を作り、それが4つも爆発したのですから仕方ありません。東北に行くだけで、靴底に放射能がついて全国に散らばるのです。現に武田氏自身がそうやって汚染を拡散しています。汚染がじわじわと広がるのは避けがたいことです。東北新幹線が出入りする東京駅の線量がかなり高くなっています。それがずっと何十年も続くのです。 人が往来しているところにぬかるみが出来たのと同じです。 泥は靴裏についてあちこちに運ばれて、やがて広い範囲が泥だらけになるでしょう。 わざとまき散らすことはありませんが、瓦礫の山はなるべく汚染が広がらないように注意して、全国で協力して処理すべきです。 瓦礫処理について中西準子さんが、まじめに考察しています。 http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak581_585.html |