瓦礫処理について


2012.02.08



津波の瓦礫で、現地で処分出来ない分を、他の都道府県で焼却処理することに反対する人がいますが、他府県は瓦礫処理に出来る限り協力すべきです。

まずきちんと認識すべき点は、それは「放射能瓦礫」ではなく、「津波瓦礫」だということです。

放射能瓦礫を燃やすことはできません。
放射能が大気に拡散するからです。

しかし津波の瓦礫は燃やせます。津波の瓦礫を処理しなければ、被災地は復興できません。ゴミの量を減らすために燃やして灰にすることは全国のゴミ処理場で行われていることですから、津波の瓦礫を焼却処理することに特別な問題はありません。

瓦礫は大量で、被災地の焼却設備だけでは何年もかかります。
ですから他府県のゴミ焼却設備にも協力して欲しいということです。

反対する理由がありません。

問題は、今回の特殊な条件として、その津波の瓦礫が放射能汚染されている可能性があることで、もし汚染されていればそれは「放射能瓦礫」です。しかし、一定以上汚染されている場合は受入れないと自治体の首長は明言していますから、問題はありません。

「とにかく放射能はゼロにしろ、ゼロ以外は認めない」というのは住民エゴです。
日本中が汚染されているのです。
地震列島にたくさんの原発を作ってしまい、それが次々に爆発したのです。
日本人は、あと数十年は何とか助け合って放射能に耐えるしかありません。



政府や自治体の言うことがそもそも信用できない、という人もいます。
そういう面もありますが、それはまた別の問題です。



河野太郎氏の賛成論

河野太郎氏の近著「原発と日本はこうなる」は政治、社会面からの原発論として価値のある本です。

その河野氏が瓦礫に関してブログで立派な主張をしています。

河野氏の主張は以下の通りです。
http://www.taro.org/2012/02/post-1159.php



震災がれきの受け入れに賛成する

2012年02月03日 14:13|自民党役職停止中

2011年12月20日に、神奈川県の黒岩知事がいわゆる震災がれきの受け入れを表明されました。私は、この知事の対応を評価すると同時に、賛同したいと思います。

ええーっ、と思う方もいらっしゃるかもしれません。なぜ、私が黒岩知事の決断を支持するのか、ご説明します。

まず、どんなに放射線量が少なくとも、放射性物質を動かすことに反対するという反対意見があることは承知しています。

しかし、神奈川県は、すでに県内各自治体で発生したゴミの焼却灰を一部、県外で埋め立て等の処理をしていただいています。

また、下水処理場の汚泥の焼却灰を、現在は処理場の敷地内で保管していますが、いずれ敷地内では保管しきれなくなります。その時に、どんなに放射線量が少なくとも放射性物質は動かせないといえば、下水の処理をすることができなくなります。

ですから、放射性物質は何でも動かすなという意見は現実的ではありません。

さて、黒岩知事が受け入れを表明した震災がれきの発生地の岩手県宮古市は、福島第一原発から260km離れています。川崎市や横浜市は、むしろ宮古市よりも原発事故地に近いぐらいです。
福島第一原発からの距離を比べてみると、
宮古市  260km
横浜市  253km
川崎市  242km
相模原市 254km
横須賀市 267km

そして、2012年1月28日の空間放射線量率の最大値は
宮古市  0.052マイクロシーベルト/時間
茅ヶ崎市 0.047マイクロシーベルト/時間

つまり、宮古市は、福島第一原発の事故の影響を神奈川県よりも強く受けたわけでもありませんし、現在の放射能濃度は神奈川県とほぼ同じレベルです。

さらに、神奈川県が受け入れるがれきの放射能濃度は、1kgあたり100ベクレル以下のものに限られます。この1kgあたり100ベクレル以下の物質は、定義上も通常の廃棄物であり、通常は、放射性物質としては取り扱われません。

やはりがれきの受け入れを表明している東京都が、実際に宮古市からがれきを持ってきて、東京都内の施設で選別・破砕した可燃物の放射性物質濃度を測定したデータがあります。

データは三つのケースに分かれていて、

A 都内のゴミと完全に分け、確実に震災がれきだけの状態で処理して放射性物質濃度を測った場合

B 一つのラインで、時間帯を分けて都内のゴミと震災がれきを流した場合(つまり若干都内のゴミが混ざった状態)

C 都内のゴミと震災がれきが混ざった状態で流した場合

Aは検出限界(40ベクレル/kg)以下、Bは60ベクレル/kgと95ベクレル/kg、Cは111ベクレル/kg。このデータを見ると、論理的に考えて、都内のゴミの放射性物質濃度のほうが宮古市のがれきよりも高いことになります。

2011年9月14日に宮古市清掃センターの焼却灰の放射性物質濃度を宮古市が測定したデータは、133ベクレル/kgでした。

私の地元の相模川流域下水道右岸処理場の汚泥の焼却灰の放射性物質濃度は、2012年1月16日の測定で、1024ベクレル/kgでした。つまり、宮古市のがれきの焼却灰は、実際には、神奈川県の下水処理場の汚泥の焼却灰よりも放射性物質濃度が低いことになります。

それでも理論的には、最大で100ベクレル/kgの放射性物質濃度のがれきが来る可能性があります。このがれきを焼却すると、セシウムが濃縮され、放射性物質濃度は1600ベクレル/kgから3300ベクレル/kgになる可能性があります。

これらがどれぐらいの放射能かというと、

もし100ベクレル/kgのセシウムを含む食べ物を、1kg食べると、セシウムが、有効半減期約89日で減少しながら体内に留まる間の内部被曝の総量は0.0013ミリシーベルトになります。

もし3300ベクレル/kgのセシウムを含む食べ物を1kg食べた場合、内部被曝の総量は0.043ミリシーベルトになります。

これは、東京とニューヨークを飛行機で往復した時の被曝量0.2ミリシーベルトと比較しても非常に小さい値です。

そして、神奈川県の管理型最終処分場の地元のご了解を頂ければ、このがれきの焼却灰を防水性のあるフレコンバッグに入れて、管理型の最終処分場に運搬して、フレコンバッグのまま埋め立てます。

神奈川県内の管理型の最終処分場の底は、こうなっています。


保護砂 50cm
保護マット 不織布
熱可塑性ポリウレタンシート
漏水検知センサー
中間保護層 不織布
熱可塑性ポリウレタンシート
ベントナイト混合土 20cm
底面部コンクリート 10cm


万が一、シートが破損してもセンサーがそれを検知できるようになっています。

この上に、既存の廃棄物層があり、その上に50cmの土を盛ったうえでフレコンバッグに入った状態で焼却灰を埋め立てて、上から3m覆土します。

神奈川県の下水道公社が実際に測定した結果では、一般環境の空間放射線量率が0.05マイクロシーベルト/時間の時、1060ベクレル/kgの焼却灰を10cmの厚さで土で覆うと放射線量は0.10マイクロシーベルト/時間になり、20cmで0.08マイクロシーベルト/時間、30cmで0.06マイクロシーベルト/時間、50cmの土で覆った時に0.05マイクロシーベルト/時間と一般環境と同じレベルになりました。

ですから3mの土で覆えば、放射線量は全く影響がなくなります。

さらに、埋め立て後も空間線量率および地下水などの放射性物質の測定を行いますので、きちんとモニターすることができます。

これだけのことをしていますから、極めて安全だと思います。

現在も、神奈川県内の各自治体では、ゴミや汚泥を焼却していますが、バグフィルターが放射性物質の99.9%以上をその排ガスから取り除いています。

黒岩知事の呼びかけに答えて、神奈川県の管理型最終処分場の地元のご了解を頂けるようでしたら、横浜市、川崎市、相模原市ががれきの焼却に協力してくれるようです。この三市以外の自治体でも、ぜひ、一度、がれきの焼却の受け入れを市議会などで検討してみていただきたいと思います。

がれきの処理なくして、東北の震災復興はありません。お手伝いできるところは、ぜひ協力していこうではありませんか。





武田邦彦氏の反対論


一方、武田邦彦氏は、瓦礫処理に反対です。氏の主張は以下の通りです。



http://takedanet.com/2012/02/post_70af.html

瓦礫引き受けに関する考え方(1)・・・
なぜ、瓦礫を引き受けてはいけないのか?


瓦礫の引き受けが全国で拡がっています。これまで「他の自治体のゴミを引き受けるなんてとんでもない!」と言って来た首長さんはずいぶん、豹変するものと感心してしまいます。
それには「ウラ」があるのですが、まずは瓦礫の引き受けを止めようとしている多くの人のご参考にと思い、具体的な話から入ります。

長い間、日本人を被曝から守ってきたこと・・・日本は原爆を落とされた国として被曝に対してしっかりした考え方でやってきましたが・・・、それは「法律を守る」ということです。人間に対しては1年1ミリシーベルトという厳格な規則があります。

まず、第一に、被曝に関して法律があり、瓦礫を引き受ける自治体は「法律を守る」ということを宣言しなければならないということです。自治体の多くは今まで「被曝の法律なんかあるの?」という態度でしたから、まずそれを確認することが大切です。

ここで、言い訳がでてきますので、それに対抗する必要があります。それは「日本にはもともと原発の事故を想定した法律などない」というものです。でも、これは間違っています。原発の事故に関する法律とその考え方は次の様になっています。

1) 原発の事故が起こっても起こらなくても、日本人の被曝と健康の関係は変わらない(これは、被曝に関するすべての法律が同じ基準値であることでも判ります。つまり日本国内の法律で「この法律では1キロ100ベクレル、この法律では1キロ1000ベクレル」などとなっていると混乱するという理由と、もともと被曝の発生源などが違っても日本人に与える影響は同じだからです。)

2) 従って、どの法律を使っても同じ結論になる(悪意で誤魔化さなければ)。

3) 原発を運転している限り、事故の可能性はあり、日本政府はそれほど無責任ではないので、事故の想定をしている。それによると希な事故(およそ1万年に1度)の場合は1年5ミリまで被曝限度を上げることができる。およそ10万年に一度程度の事故の時には、1年5ミリからあまり離れない被曝量を設定できる)の場合、被曝限度を現行法を超えて設定できるとしている(これは原子力安全委員会指針)。今回の事故は原子炉が運転し始めてから100年以内。津波の規模は1000年に1度以上だから、指針によって1年1ミリシーベルトを超えられない。

4) 食品基準、物品基準、廃棄物基準、土壌基準などは、1年1ミリシーベルトをスタートとして計算される。ベクレルは人間に関係の無い数値で、シーベルトを決めるとベクレルが決まる。従って、すべて1年1ミリシーベルトが最初の基準になっている。従って、食品でもゴミでも現行の基準を変えることはできない。

5) このほかに、原子炉については核種が多いので、特別な注意をされていて、「クリアランスレベル」という別の概念が適応される。これは「1年0.01ミリシーベルトのものは自由に取り扱っても(捨てても)良い」というもので、1年以内懲役、100万円以下の罰金を伴っている。

6) 今回の福島原発事故は、原子炉の中のものが飛び散ったので、クリアランスレベルを適応するべきである。

7) 瓦礫の処理には「今、東京にあるゴミより放射線量が低い」という理屈を持ち出すことがあるが、そんな法律はない。Aが泥棒をしたのだから、Bの泥棒が許されることはあり得ない。法律違反は法律違反である。もし東京のゴミが基準値以上なら、基準値以上のものを持ち込んでも良いというのではなく、東京のゴミを東電が処理しなければならない。

おおざっぱにいって、瓦礫に関して日本人を被曝から守るための法律は上記の様になっています。もし自治体の首長さんが良心的なら、クリアランスレベルを守るでしょう。それほど良心的でなければ、被曝の一般法を守るでしょう。

もし、住民の健康よりお金が欲しければ、法律があることを知らないふりをするか、いろいろな理屈を言うでしょう。なお、被曝に関する法律は「法で定められている」と言うほかに、「現在の医学では最良の値を決めている」ということでもあります。

時々、「法律で決まっていると言っても学問的にはどうなのか?」などと言う人がいますが、被曝限度のような数値は日本の学者のコンセンサスでできています。

法律に反することを言う学者は法律を決めるときに、相手にされなかったか、もしくは論争に負けた人です。急ぐので、まず、ここまでで第一回を終わります。




(赤字は吉岡による)

福島の瓦礫は福島県内で処理することになっています。
東京や神奈川に協力して欲しいというのは、宮城と岩手の「津波の瓦礫」です。

武田氏は、「福島の放射能瓦礫」の話をしているようです。
氏は杜撰な認識で世論をミスリードしています。



宮古市などの津波瓦礫で、放射能汚染が東京や神奈川より低いものを東京や神奈川で燃やすことには、問題はありません。地元だけで処理していては何年もかかるのですから、みんなで協力するのは当然です。

武田氏は「
ウラがある」と言っています。録音したものを聞くと、氏は、多額の金が自治体に渡ることになっていて、首長らはそれが欲しくて瓦礫を受け入れていると明言しています。

処理費や輸送費の実費は復興予算から出るのが当然です。

ウラがあるとは、神奈川県や東京都は実はそれ以上の金を受け取っているということですが、証拠があるのでしょうか?




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