原発推進論の誤り

2011.06.16

経済同友会の長谷川閑史氏(武田薬品社長)が以下のように発言しました。
あの福島の惨状を見ながら、なお原発を推進する人がいるのは驚き呆れたことです。


6月15日 毎日新聞



長谷川氏の考えは根本的に間違っています。

まず、氏は現在の日本の産業構造を前提条件として、原発が無ければ産業が成立しないと言っていますが、3月11日以後の日本は、これまでの産業構造自体を大転換しなければならない、そういう状況に立ち至っているのです。長谷川氏にはその認識がありません。昨日も今日も、また明日も、同じように電力を使って同じように生産活動が出来ると考えています。

そこが根本的に間違っています。

福島の惨状を見て、私たちが考えなければならないこと、決意しなければならないことは、これまで通りではダメだということです。


これまで通りやりたいから原発を再稼働しろ、ではなく、原発はダメだからこれまでのやり方を変えろ、ということです。

さらにその上で、実際は、原発を止めても電力は不足しません。




スライドショウで書いたように、そもそも原子力は生命に敵対するものであって、原理的に安全ではありません。

さらに日本においては信賞必罰が行われないので、、政治家、官僚、親方日の丸の経営者はいくらでも無責任な振る舞いができます。現にそうしてきました。まるで清朝末期の腐敗官僚を見るようです。開けてビックリ、原子力関係者がやっていたことは全部デタラメだったではないですか。

今回の事態は、信賞必罰が厳然として行われるアメリカなら、100人は刑務所に入れられているでしょう。保安院の某、安全委員会の某、東電の某、自民党の某、福島県の某、など、極刑もあり得ます。 フランスでこれだけの放射能汚染をしたら、もう一度フランス革命が起こります。ソビエトがつぶれたのはチェルノブイリがきっかけで、ゴルバチョフが決意したからです。

信賞必罰が行われないのは、温暖な島国という風土と、みんな親戚という天皇制まぁまぁ主義に根ざしたもので、日本人の特質ですから、この風潮が改まることはありません。それはそれでよい面もあるのですが、こんな国で原子力など、初めからまともにできるわけがありません。

その上、日本は地震国で人口密集国ですから、日本には、無責任 x 地震 x 人口密集 と、他の国より3ファン増しの危険性があります。


また、スライドショウで指摘しているように、原発はペイしていません。

ペイしていないものを、長谷川氏のような財界首脳が推奨するのは、何かウラがあるか、ただの無知かどちらかです。もし正しいことを知らないのなら、私の講演を聴くべきです。

原発の発電コストは不当に低く算定されています。福島の賠償金も廃棄物処理も、最後には国民にかかってきます。それが算定されていないのですから、原発の電気で生産して売るのは、日本の産業全体でダンピング輸出をしているのと同じです。

日本の財界はダンピングが大好きです。「サービス残業」や「派遣切り」、「有給休暇の切り捨て」、「過労死」など、ダンピングが構造化されています。カンバン方式も下請けイジメのダンピングです。

東電の勝俣会長は数年前に、これからは利益重視だ、安全コストを切り下げろと社内に命令しました。そして40年経った老朽原発をさらに20年使うことにしました。清水社長は購入品の価格を切り刻みました。会社をあげて安物買いに狂奔して、たとえて言えばエレベーターを全部シンドラーにしたようなものですから、会社がつぶれるのは当然です。

コストを正しく算定すれば、原発を運転する理由はまったくありません。



工場の電気が心配なら、自家発電をすればよいことです。1社でムリなら数社集まってやればよいでしょう。そのときはまさか原発ではないでしょうが。


最後のベトナムに輸出しておいてウンヌン、という話は橋下知事に振りましょう。

ひとこと、「それは本末転倒です」で終わりでしょう。むろん、輸出をやめればよいことです。



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