原発のコスト 政府試算で 20円/kwh

2011.08.29


電気業界紙「電気新聞」は、政府が原発のコストを「20円/kwh」と試算したと報じました。

http://www.shimbun.denki.or.jp/index.html


電気新聞

政府が原子力コスト試算案 1キロワット時16〜20円 2011/08/23

原子力のコストが1キロワット時当たり16〜20円程度との試算案が政府内でまとめられたことが明らかになった。一部経済誌の試算を参照して使用済み燃料の再処理などバックエンド費用を74兆円と仮定し、国から投入される立地費用と技術開発補助金、賠償費用を加えると、従来の政府試算の5円強を大幅に上回る単価になるとしている。政府の「エネルギー・環境会議」は、原子力コストの算出などのために「コスト等試算・検討委員会」(仮称)を9月に立ち上げ、報告書を11月に公表する予定。同委員会内の議論にあたっては、今回の試算案が一定の材料となる可能性もある。

試算案では、地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾氏や立命館大の大島堅一教授がまとめた試算を活用。バックエンド費用が74兆円との前提を置くと、発電費用、バックエンド費用などの合計は秋元氏の試算の場合で10〜15円程度、大島教授の試算の場合で約13円になるとしている。そこに立地費用と技術開発補助金の約2円を加算。賠償などのリスク費用を3円強と想定し、すべて足し合わせた場合の原子力コストは15.8〜20.2円になるとの結論を導き出している。 (本紙1面より)



これは、原発の真のコストを見直せ、という7月の菅総理(明日まで?)の指示を受けたものだと思われます。
http://www.minusionwater.com/genpatucost.htm

ちょっと計算すればこうなることは、関心を持って見ている人々には明らかなことだったのですが、経産省・資源エネルギー庁は昨年のエネルギー白書でもなお、原発のコストは5円から6円/kwhだと、めちゃくちゃな数字を国民に提示し、国民をだましていました。下のグラフがそれです。

スライドショウ「脱原発の道」より
http://www.minusionwater.com/slideshow2.htm


どこからこんな数字が出てくるのか、というまったく臆面もない白書です。


しかし実際には、事故の補償は新聞記事のような「3円/kwh」ではすみません。

福島の損害を電気料金にかぶせれば、全電力会社で負担して8円/kwhと私は試算しています。
東電の原発のこれまで40年間の総発電量に全部をかぶせれば 20円/kwh にはなるでしょう。
今回の政府の3円/kwhという試算はまだまだ甘すぎます。

私は独自に原発のコストを以下のように査定しています。




これを見れば分かるように、日本が原発をやっている理由は、「経済的な理由」では絶対にありません。自民党の石破茂政調会長は「核武装のためだ」とテレビで堂々と明言しました。それしか理由はないのです。



政府は原発を推進するために、国民をだまして来ました。
その筆頭が原発のコストについての上記のようなウソ八百です。
私は「脱原発の道」で、ます第一にそのことを指摘しています。
安全かどうかよりも、ペイしているかどうかです。

では、なぜウソをつくか? ウソをつかなければ推進できないからです。
寅さんに言わせれば、「けっこう毛だらけ、猫灰だらけ、原発の話はウソだらけ」なのです。




国民をだます政府?

それはいったい誰のための政府ですか?大本営?




経済界も同様です。

経団連の米倉会長は、原発がなければ電力不足になり、企業の競争力がなくなるから、企業は海外に移転すると言いました。国民に対する恫喝です。経済同友会も同じ事をいいました。

しかしそれは原発のコストが安いという前提があってのことです。
原発のコストが高ければ、いくら原発の電気があっても、企業の競争力は維持できません。

そして原発のコストが高いことは、とっくの昔から経済界には分かっていたことです。
経済界はそのコストを負担せずに、国民の税金に転嫁してきました。
それは見え透いたカラクリとしてずっとこの国にありました。

そういうインチキな「安い電気」を使って企業が競争力を得ても、それは国家ぐるみのダンピングでしかありません。企業が生産すればするほど、輸出すればするほど、国民は疲弊してゆきます。


さすがに、そんな旧態依然たる経済界に呆れはてた進取気鋭の経済人は、経団連に愛想をつかして脱退し始めました。当然です。これからも止まらないトレンドになるでしょう。



あの福島の惨状を見て、さぁ、また原発をやろう、という経済人の気が知れません。
ボンと行けば自分の工場がつぶれる、自分の会社がつぶれる、そんな想像力もない老人たちが日本の経済界を支配しています。まったくばかげたことです。

トヨタもホンダもそれでいいのか?
パナソニックもシャープもソニーも、それでいいのか?

何も言わないのか?



まったく馬鹿げた話です。
経済界こそが合理的な判断によって、経済合理性に従って、脱原発を推進すべきなのです。

今までは「騙されたフリ」が通用したかも知れません。しかし、「原発コストの政府試算」が20円と出たあとは、そんな「騙されたフリ」は通用しません。

それでもなお原発の維持や再稼働を言う政治家や経済人は、国民の敵です。


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