原発がダメな理由 1  採算が合わない

2011.04.13


4月12日発売の夕刊紙日刊ゲンダイ(13日付け)は、メリルリンチ日本証券の試算によると東電の賠償額は48兆円になると報道しています。試算の前提条件は、福島、群馬、栃木、茨城 および千葉の一部が2年間放射能被害にあった場合、ということです。




実際には日本国民が受けた、そして受けつつある損害は、もっともっと巨大なものです。

景気が低迷してGDPが今後数年間5%くらい落ち込めば、それだけで100兆円にもなるでしょう。
諸外国からの嫌悪や侮蔑、失われた名誉や評判など、金額換算できない損害も膨大です。


私は原発がダメな理由として第1に、採算が合っていないことを指摘しました。

コストの中に災害に対する保険が入っていないからです。
また、使用済み核燃料や老朽化した原子炉の廃棄方法もまだはっきりしない状況ですから、廃棄処理の費用もおそらく正しくは算定されていません。

それらを電力コストとしてカウントすれば、原発は、自由主義経済の中で存在できるはずもない、まったく馬鹿げたものであることは明白です。


それを計算してみましょう。




原発のコスト

次表は1kwh当たりの発電コストです。(ウィキペディアより)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB

原子力 LNG火力 石炭火力 石油火力 水力
1999年通産省試算 5.9円 6.4円 6.5円 10.2円 13.6円
2005年原子力資料情報室試算 5.73円 4.88円 4.93円 8.76円 7.20円


双方で開きがありますが、原子力についてはだいたい同じです。

現在、原子力発電の容量は全国で約5000万kwです。この40年間でここまで増えてきたので、単純に考えると日本の原子力発電容量の増加は以下のようなグラフになります。



この40年間の日本の原子力発電の総量は、この三角形の面積を計算すると出ます。

  5000万kw x 40年間 ÷2 = 10億kw年

1年は8760時間ですからkwhになおすと

  10億kw年 x 8760 h/年 =8兆7600億kwh

実際には原発の稼働率は60%くらいで推移していますから

  8兆7600億kwh x 〜0.6 =  約5兆kwh

つまり日本ではこれまでの40年間で原子力発電によって約5兆kwhの電気が作られてきました。

さて、原子力災害の発生率はこれまでのところ40年で1回です。これは実績です。全国で50基以上の原発が動いていますから、40年に1回とは、1基について2000年に1回の計算です。

そしてメリルリンチの査定では、原発操業開始以来40年目にして起こった今回の災害で、少なく見積もっても48兆円の損害が発生しており、結局、国民がそれを負担します。すなわち、

  48兆円 ÷ 5兆kwh = 約9円/kwh

これを上表の原子力発電の単価に加算すると約15円になります。

つまり、「6円弱ですよ、安いですよ」と売り込まれた電気代が、「いやぁ実は15円でした、すんませんね、差額を40年分払ってくださいね」となったわけです。分かっていれば誰も原発など使わなかったでしょうが、しかし実は、これは初めから分かっていたことなのです。

これにさらに廃棄処理の費用が加算されます。

これまで5兆kwhの生産に使った使用済み核燃料を処理する費用は、10兆円とも20兆円とも言われており、10兆円としても1kwhあたり2円加算されます。ただしそれは、もし処理が出来たとしてもであって、実は処理出来ない可能性もあり、その場合は日本列島は子々孫々まで核燃料廃棄物だらけになって住めなくなります。





お金の計算だけでもこうなります。

ふるさとを捨てる悲しみや、子供たちに起こる不幸などは、お金では償えません。





火力で余裕で代替できる

頼れるものが原子力しかないならば、やむを得ないという考えもあるかも知れません。
しかし、そんなことはまったくないのです。


下のグラフは資源別に見た日本の発電能力と稼働率です。
発電能力は下記のページから借用しました。
http://www.dcc-jpl.com/diary/2011/03/19/japan-powerplant-capacity/
稼働率は電事連の電力消費のグラフの2009年から計算しました。

水力発電は4268万kwhの発電能力に対して、稼働率は20%(青色)です。
原子力発電は5047万kwhの発電能力に対して、稼働率は63%(青色)です。
火力発電は1億3234万kwhの発電能力に対して、稼働率は50%(青色)です。
全体では2億2千万kwの発電能力に対して、稼働率は50%(青色)です。




水力や火力は故障していて動かないのではありません。単に休止しているのです。ですから、原子力発電の青い部分をなくしても、水力や火力の黄色い部分で余裕を持って代替できます。実際、数年前に東電のすべての原発が止まった時も、停電などしませんでした。

また、政策ひとつで節電もできますし(特にピーク時の電力消費を下げるようにする)、代替エネルギーの開発もできます。


じゃぁ、なんで原発やってるの? 

ばかじゃないの? 



原発利権


日本が、国民を犠牲にして不合理なことを続けているのは、元は核武装したいという右派の願望があったからですが、今では核武装はそっちのけで、政治家、官僚、産業、組合、マスコミ、学者たちが、原発をタネにして「甘い汁」を吸う利権が、がんじがらめに出来上がっているからです。


(そこに、CO2が地球温暖化の元凶だという話が流布されて、CO2を出さないというふれこみの原発が推進されるのですが、それは項を改めて論じます)



では、なぜ原発は利権になるのか。

それは政府(=官僚)が、ほんの一部を除いて電力を独占しているからです。
特に原子力は、危ないから、と言って完全に経産省の支配下にあります。

だから利権が生まれます。
天下り、御用学者、贈収賄、でっちあげ捜査、なんでもありです。




電力を自由化すれば利権はなくなる

電力供給を自由化すれば利権はなくなります。

トヨタや新日鉄やパナソニックが自由に電気を作って販売できるようにすればよいのです。
地方の小企業が、小川で発電して近所に売れるようにすればよいのです。

そしてそうなれば、わざわざ原発などという危ないものを作る者はいません。
(神戸製鋼は神戸市の真ん中で石炭火力発電所を商業運転しています)

菅総理が、民主党が圧倒的多数を占める衆議院で、原発利権を粉砕して電力自由化を強行突破すれば、国民は大いに喝采します。




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