関西電力 福島事故以後にオール電化を7万戸に販売


2012.05.07


関西電力が福島事故以後に、オール電化システムを7万戸に販売していました。

2012年5月6日 毎日新聞朝刊↓




記事中にあるように、オール電化にするとその家の電力消費は3割から9割増えるとのことです。

関電は電力会社で、電気を売ってお金を稼いでいる会社ですから、電気がどんどん売れる方がいいわけです。

しかし、もともと、燃料を燃やしてお湯を沸かして、その蒸気でタービンを回して発電し、その電気を遠くから運んできて、家の中でもう一回その電気でお湯を沸かすというのは、効率がいいわけがありません。最初から燃料でお湯を沸かせばいいのです。電気釜や電気ポットならともかく、風呂を電気で沸かすなど、まったく不合理なことです。


なぜこんな不合理なことがまかり通っているか。
それは核発電の発電コストにウソがあることが原因です。

オール電化の「メリット」としてセールストークに使われるのは「安い夜間電力」が使えるということです。夜間電力が安い理由は、核発電は止めることが出来ないので、夜通し昼間と同じように発電していて、誰かがそれを使ってくれないと困るので、電力会社が安売りしているからです。

つまり、オール電化とは核発電の「落とし子」です。
核発電がなければ存在しないものです。

しかし、核発電のコストには事故の保険も廃棄物処理も含まれておらず、それらは税金でまかなわれています。それらを除外して、だから核発電は安い、ということになっています。つまり核発電のコストが安いという話は最初から大ウソなのです。ウソをついて核発電を推進して、夜間に電力が余るからオール電化だというわけです。


核発電を偏重してきた関電

東電は、さすがにオール電化の販売をやめました。実は福島事故の後も関東でオール電化を販売していて、世間の批判を浴びて取りやめたという経緯があったと記憶しています。

東電管内では昨年から核発電が全部止まっていて再開の見込みがなく、夜間電力を安く供給できないのですから、オール電化を売れば売るほど自分のクビをしめてしまいます。

しかし関電は売り続けています。
しかもこの記事にあるように、広報室は、これからも売ると言っています。
どんどん電気を使ってください、というわけです。

これは今までの惰性で売り続けているのではなく、関電には、核発電は急には止まらないというトップの判断があったものと思われます。東電は止まっても関電は止まらない、と思っていた、あるいは今でもまだ思っているフシがあります。

理屈の点では、それは理屈に合った判断です。

今まで動いていたものを安全のために定期点検で止めただけですから、それをまた動かすのがどうしていけないのか、ということです。それがいけないなら、福島事故の後、日本中の核発電をすぐに全部止めるべきだったのではないか、なぜそうしなかったのか、という理屈になります。

しかし、この1年間で「原子力村のウソ、やらせ、利権」がつぎつぎと明らかになってきたこともあって、国民世論もマスコミも再稼働に反対になり、現実に核発電はすべて止まってしまいました。そして今のところ再稼働の見込みもありません。野田総理が「核発電ゼロも選択肢の一つ」と言ってしまったのですから、まず動きそうもありません。

もともと、関電の経営方針は核発電偏重でした。それが電力の半分以上を核発電に頼るという関電の特異な状況をもたらしてきました。核発電に関して、歴代の、そして現在の関電のトップの判断は極めて甘かった、甘い、ということです。


関電をどやしつけるのは筋が違う

その関電に、電気を使わないで済む方策を考えろ、などと頼むのは、頼む方が間違いです。電気をたくさん売りたい会社に、電気を売らない方法を考えろ、と言っても、まともに考えることはありません。今でもオール電化を売っている会社です。

大阪市の委員会で、夏の需給はどうか、不足分はよそから買ってきたらいいのではないか、企業の自家発電を動かせ、ピーク時に節電しよう、節電にインセンティブをつけよう、などと議論しています。議論はすべきですし知恵を出すべきですが、そういう議論の場に関電を呼んでくることが、そもそも間違いなのです。

木によりて魚を求む(木に登って魚なんかとれるわけがない。目的に対して手段がふさわしくないので成功しないという意味)のたぐいです。

委員会での関電副社長の受け答えを聞いていても、「なんで俺がいちいちそんなこと考えなあかんのや」という不満がまともに伝わってきます。「核発電を動かしたら足りる、核発電が動かなきゃ足らん、それ以上俺に何を聞きたいんや」という感じで、もう少しほかに言いようもありそうですが、もともと人に頭を下げたことがない会社ですから仕方ありません。

関電に尋ねるべきことは、核発電なしでどれだけ電力を供給できるか、火力や揚水や買電にどれだけ費用がかかるか、関電はその費用をどれほど負担できるか、それだけを聞くべきです。

あとはユーザー側の問題です。
問題解決の主体はユーザーなのです。

どの地域でどれだけ電力が必要か、どの産業でどれだけ電力が必要か。
各自治体が緊急に電力需要を調査して、電力対策を立案すべきです。
その調査に、作業者として関電の協力が必要なら、関電に依頼(ふつうは有料)すればよいでしょう。基礎データが必要なら開示を求めればよいでしょう。緊急時ですから、関電もさまざまに協力することにやぶさかではないでしょう。

あの委員会の委員たちのように、頭ごなしに関電をどやしつけるのは筋が違います。



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