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1−4 天羽優子氏の奇妙なメディア論


私とのメールのやりとりで、天羽優子氏は奇妙なメディア論を展開している。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html
吉岡天羽 往復メール  2003年11月〜12月

吉岡
  
天羽さんは、国立大学の化学の教官の肩書きを見せながら、その会社の技術陣の化学の知識は高校生以下である、というご託宣をインターネットという「マスメディア」で天下に告知しているわけです。

天羽  
だって事実ですから。科学技術立国の掛け声をかけておきながら,高校の化学の範囲で容易にわかる間違いが,インターネットという「マスメディア」で企業の宣伝中に出まくる現実の方が憂慮すべきことではないですか。               (中略)

吉岡
  
そこまで言ってなお、「私は、製品の是非については何も言っていないのだ」という主張は、社会常識として通るものではないでしょう。それを読んだ消費者が、その製品を買い控えるのは当然です。

天羽
  
それは仕方がないでしょうね。中小企業でもインターネットで宣伝すればそれは「マスメディア」で宣伝してるのと同じことですよね。メディアである以上,新聞や雑誌の記事と同様に,書かれた内容について批判も議論もつっこみもあって当たり前なんです。


http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html
S管理サービスの常務への回答
天羽  
インターネットで情報発信するということは、自らオープンな場所に出ていったことを意味するので、公開した内容が公然と批判される覚悟をしてから行うのが当たり前である。


インターネットは、うまく使えばテレビや新聞などと同じほど大衆に情報を伝達できるメディアであり、マスメディアであり得る。その点ではマスコミ(テレビ・新聞)に似ている。しかしマスコミは、主宰者の厳しい規制があって誰彼なしに勝手な意見が述べられるわけではないから、個人が自由に情報を発信できるインターネットとは、質的に大いに異なる。天羽優子氏はインターネットとマスコミを同一視しているが、両者は質的に大きく違うものである。インターネットに似た性質の従来のメディアは、効率はかなり悪いが、チラシやDMだろう。ある程度大量に、かつ自由に情報を発信できる。そこでチラシの場合を考えて見よう。

たとえば、ある浄水器メーカーが宣伝のチラシを作って配ったとする。その時、それを読んだ誰かが、「文章が非科学的だ、間違っている、知識が高校生以下だ」と言って、相手の実名を上げて批判するチラシを作ってまいたとする。その行為は、その浄水器メーカーが訴え出れば、おそらく営業妨害と認定されるだろう。ましてや、その行為がお茶の水女子大学の名で為されるならば、社会的に大きな問題になるはずだ。

事情はインターネットでも同じだ。浄水器メーカーがインターネットで宣伝をしている。当然実名でなければ宣伝にならないから実名を出す。天羽優子氏はその文章が気に入らず、その実名を上げて相手を批判する。(ただし、その内容は「ののしる」という表現が適切なほど乱暴なものだが・・・)
彼女はインターネットをマスコミと同じと理解していて、インターネットで発言することはマスコミに登場することと同じだから、実名を出して名指しでいくら批判してもいいのだと言う。しかしそれは間違いだ。たとえば、マスコミは「水商売ウォッチング」のような文章を掲載しないだろう。その言論は実名入りだから、営業妨害のおそれがあるからだ。マスコミにはそういう常識的な自己規制が働いている。つまりマスコミは、審判がいてルールがある論争の場である。一方、インターネットにはそういう規制がない。だからこそ自己規制が必要なのだが、規制がないことをいいことに、彼女は言いたい放題である。宣伝の内容が気に入らないからと言って、相手の実名を上げ、そこにリンクを張って、「お前の知識は高校生以下だ」「こんな製品、買いますか?」などと激しく批判し続ける。しかもお茶の水女子大学の名で、反論を許さない形で、それは行われている。その結果、販売に影響が出ても、「それは仕方がないでしょうね」と彼女は言う。

彼女はそれを社会正義だと強弁するが、チラシで同じことをしたらどうか。毎朝、毎晩、お茶の水の駅頭で、A社のB製品、C社のD製品を批判するチラシを配っている女性の姿を想像してみよう。いくらなんでも気狂いじみていると、誰だって思うだろう。彼女が日夜やっていることはそれと同質だ。しかもお茶の水女子大学がそれをバックアップしているのである。

彼女は自分が科学的に正しければ、それで全てが許されると考えている。批判されたその人がどんなに困っても、どんなに不快に思っても、そもそもインターネットの世界にボヤボヤ出てくるのが悪いというわけだ。その背景に、自分が社会正義を実現しいているという思いこみと、自分はちっぽけな存在で、相手は企業だから巨大な存在だから、多少のことは許されるという誤った認識がある。

吉岡天羽 往復メール  2003年11月〜12月

吉岡
  
その行為によって、収入を減らし、職を失い、生活を脅かされる者があっても、それはおまえが悪い、カタログを書き直して来い、私は科学者の正当な仕事をしているだけだ、というのが天羽さんとお茶の水女子大学の主張であり、行動です。天羽さんはそれを「言論の自由」と強弁していますが、法によらないこのような独善的な行為を、法治国家において、リンチ(私刑)と言います。

天羽
  
独善かどうかはあなたの価値判断の問題です。言論による批評をリンチとは言いません。大体,私1人でリンチなど不可能でしょう。言論によるリンチと言える事態が発生することも無いとは言いませんが,それは,テレビや売れ筋の新聞がこぞって叩いたりした場合だけではないでしょうか。

彼女が社会正義を実現しているとは、彼女の思いこみに過ぎないし、また彼女自身は確かに小さい存在だが、お茶の水女子大学は小さな存在ではない。それは国家であり、どのメーカーよりも巨大である。彼女がS管理サービスに対して実行したことは、明らかなリンチ(私刑)である。






1−5 「水商売ウォッチング」は威力業務妨害である

吉岡天羽 往復メール  2003年11月〜12月

吉岡
  
もしそれを取り締まったり摘発するとしても、それは政治や行政や司直の仕事であって、頼まれもしないのに科学者がしゃしゃり出ることではありません。

天羽
  
何を当然のことを言ってるんですか。私はウェブページでコメントを書いただけであって,それは摘発でも取り締まりでもありません。私にそんな権限は最初からありません。ウェブに書いたコメントにそんな法的効力は発生しません。こんなことは自明だと思います。それに,インチキをインチキだと言ってはいけない理由もありません。

天羽優子氏は人の言うことを正しく理解することが不得手なようだ。彼女に法的権限がないのは当たり前で、ウェブに書いた文章が法的効力を持たないことも当たり前だ。そんなことをいちいち答えてくる方がどうかしている。
インチキをインチキと言っていけないこともないが、何がインチキかは最終的には司法当局が法に基づいて決めることである。それ以外の方法は許されていない。だから、法的権限のない天羽優子氏が、何がインチキかを自分で決めて、それを名指しでインターネットで公開して、実際に他者に損害が発生した場合はその行為は賠償請求の対象になる。
彼女は相手に一切配慮することなく、自分が正義と考えることを実行する。「メーカーがどういう宣伝をしようがメーカーの自由、公開された宣伝に対してどういう批判をしようが批判する側の自由」と、言論の自由をふりかざす。しかし、そのようなやり方は、科学知識の濫用であり、科学者の越権行為である。

また、もしこれが2チャンネルのような、匿名で言いたい放題の掲示板での発言なら、ビジネスの世界に売り上げ減少などの大きな影響を及ぼすことはないだろう。顧客がそのような批判を真に受けて心配したりはしないからだ。しかし天羽優子氏の言論は、お茶の水女子大学の名でなされている。そこが大問題なのである。

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html
水商売ウォッチングに対するクレームと、法律相談の結果
天羽  
また、営業妨害については、

第233条(信用毀損および業務妨害)
虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

となっている。ウェブページに書いただけでは、威力を用いたことにはならないから234条は適用されない。233条を適用するには、私の書いた内容が虚偽であることを裁判所で示さなければならない。


彼女の認識は間違っている。チラシをまいただけでも威力業務妨害は成立し得る。ウェブページはそれ自体がひとつの威力であり、ウェブページに書いただけで威力業務妨害が成立することはいくらでもある。裁判所がそれを威力と認定するかどうかだ。たとえば、「しつこい」などは威力である。ウェブページの場合は、その表現や批判の回数などで判断されるだろう。相手の実名を触れ回る行為も「インターネット自体が持つ威力」と判定されるだろう。また、お茶の水女子大学の名に十分な威力があることは言うまでもない。


吉岡天羽 往復メール  2003年11月〜12月

吉岡
  
天羽さんが、お茶の水女子大学の職員であるかのように振る舞って、お茶の水女子大学の公開サイトで、民間企業を先制攻撃していることを、社会的公正を欠く行為だと批判しているのです。しかも、身の上話を聞いてみれば、なんと、天羽さんは当時からお茶の水女子大学には所属していなかったというではないですか。そして今でもお茶の水女子大学の職員ではないようです。こういうやり方は、受け取る側の一般市民にとっては官名詐称に等しいのではないでしょうか。

天羽
  
略歴公開してるのに詐称はないだろうと。また,問い合わせに答えるときのメールの署名では,冨永研究室を「居候先」「共同研究先」等と正式所属でないことを明示していました。詐称になるとまずいと思ったのでね。ってことで注意義務は果たしています。



「履歴も書いてあるじゃないか」と天羽優子氏は言うが、読者は隅から隅まで読むわけではない。また、問い合わせに答えるメールに「居候」と書いているから、注意義務を果たしているということはない。問い合わせしないで信じる読者の方が圧倒的に多いのだ。「水商売ウォッチング」に威力業務妨害が適用される可能性はかなり高いと思われる。さらに言えば、次章で述べるが、彼女の指摘は科学的にも間違っているから、233条が適用される可能性もある。

彼女が自分のサイトを作って何をしゃべろうと、リスクを自分で背負って行う分には自由だ。しかしお茶の水女子大学の名で行う言論は、「どう批判をしようが私の自由」ということはない。そこには自ずから科学者としての、大学人としての、矜持、自制がなければならない。

さらに問題は、お茶の水女子大学が国立大学であることだ。独立行政法人化で法的な位置づけは少し変わったようだが、国の金で運営されていることは変わらない。国の金は国民に等しく課せられた税金だから、国の禄をはむ者は、国民に対して公平に接する義務がある。問われもせず、頼まれもしないのに、相手の実名を上げて名指しで批判する行為、さらに実際に損害を与えるような行為は、国立大学として厳につつしまなければならない。批判することだけがいけないのではない。誉めてもいけないのである。公平を保つことが求められているのだ。お茶の水女子大学の公式サイトで、個々の企業を名指しで批判することは、国立大学として許される行為ではない。したがって「水商売ウォッチング」が引き起こしている事態について、その責がお茶の水女子大学の学長に及ぶことは当然である。

しかも問題はそれだけではない。第2章で述べるが、天羽優子氏の数々の批判は科学的にまったく正しくないのである。




1−6 天羽優子氏の批判の実例


では、天羽優子氏が、実際にどのようにAの部分を批判しているか、その例を見てみよう。
水を理解するために http://atom11.phys.ocha.ac.jp/water/text01/index.html

天羽
  
浸透圧を例にとって考えよう。水関係の宣伝では、「ある水処理をすると水分子のクラスターが小さくなり、浸透圧が上がって吸収されやすい水になり、肌や細胞を活き活きさせるし体にいい」という説明が頻繁に出てくる。これをそのまま信じていいのか?というのが問題である。高校までの知識では、水分子のクラスターについて考えるにはちょっと進んだ調べと考察が必要になるが、浸透圧であれば化学と生物の両方の教科書に書いてある。

セロハンなどの、水分子は通すが溶質(赤丸で表現)は透過できない膜(点線で表示)をはさんで、片方に溶液、片方に水を入れると、溶媒である水が膜を通って移動し、溶質のとけている方の液面が上昇する。これを同じ高さにするには、おもりが必要で、このおもりによる圧力(↓)が浸透圧(←)に等しい。
浸透圧は温度と濃度で決まる、ということだけしっかり理解しよう。すると、水クラスターについてまったく判断ができなかったとしても、クラスターが小さくなることと浸透圧が変わることの間に何の関係もないという結論がすぐに出る。もし「水のクラスターが小さく」なっていたとしても、溶媒である水の分子数と溶質分子の数が変わらなければ、濃度が同じだから浸透圧は同じになるはずだ。ここでも宣伝は嘘をついている
細胞にはちょうどいい浸透圧というものがある、ということだから、「浸透圧が高い=細胞を活き活き」はとんでもない嘘だということがわかる。もし、普通の水よりさらに浸透圧が上がって吸収がいい水を飲んだら、普段よりがんばって調節しないといけなくなって、体の負担は却って増えてしまうだろう。だから、「吸収のいい水=体にいい」も真っ赤な嘘ということになる。
さらに不思議なのは、「水クラスターが小さくなって浸透圧が・・・」という宣伝をしていながら、浸透圧の測定をやった結果を出している業者を見たことがないということだ。ひょっとし
て、浸透圧云々は全くの出まかせじゃないのか?と。


これでは、「メーカーは詐欺師だ」と言っているのと同じだ。「宣伝は嘘をついている・・・とんでもない嘘・・・真っ赤な嘘・・・・全くの出まかせ・・・・」これが彼女の言う「ここで行っているのは、会社が公開した製品のメカニズムの説明や、その他の出版物の内容について、科学的に正しいかどうかという観点から議論するということです」という建前の、その裏にある実態だ。誰だって「喧嘩を売っているのか?」と感ずるだろう。ものには言いようがある、とは古くからの戒めだが、彼女には通用しない。「どういう批判をしようが批判する側の自由」と言ってはばからない。

さて、「浸透圧」という概念を、どのくらいの人が知っているだろうか。私は浸透圧のことを中学の生物の時間に習って、「ふーん、濃度の薄いほうから濃い方へ動くのか」と感心したものだが、一般の人で「浸透圧が高い」ということと「吸収されやすい」ということがどう違うか、など知っている人はいないだろう。違いを知らないというより、浸透圧の定義など知らないのである。それが世間というものだ。
天羽優子氏が言うように、浸透圧は溶質の濃度だけで決まるということが100%正しいとすれば、どのような器具か知らないが、「浸透圧が上がる」と宣伝されているその器具は、溶質の濃度を減らすような器具ではないのだろうから、「浸透圧が上がって」「吸収されやすい水になり」という文章は、科学的に間違いということになる。

では、メーカーは顧客をだまそうとしているのか、というと、そんなことはない。単に、「浸透圧が上がる」ということと、「吸収されやすい」ということとの区別がつかないだけだ。そして実際は、水分子のクラスターの大きさは測れないのだから、「クラスターが小さくなり」とか「浸透圧が上がり」などは枕詞みたいなもので、言っていることは要するに「吸収されやすい」という、ただそれだけのことなのである。それを格好をつけて「浸透圧」という語句を使った人がいて、それが次々にコピーされて業界を徘徊しているだけである。だからこそ、浸透圧を測ろうなどという発想は、業界の誰にも湧いてこないのだ。しかしビジネス的には、本当に「吸収されやすい」かどうか、そこだけが問題で、そこに虚偽がなければそれでよいのである。

日本の99.9%までの企業人は、良い物を作って顧客に供給し、息長くビジネスをして繁栄したいと考える善良な人々である。生まれつきの詐欺師でもない限り、企業や商店は永続した方が効率がいいことを誰でも知っている。そういう人々が日本を作っている。浸透圧に関しても、メーカーは単に思い違いをしているだけで、顧客をだますつもりはないだろう。皮肉な言い方をすれば、だまそうとするならもっと勉強しなければならない。単に思い違いをしただけのまじめな人々に対して、しかも現実に企業側とユーザーとの間に争いは起こっていないのに、いきなり公開の場でその企業を詐欺師呼ばわりをするのは不当で不法な仕打ちであり、科学者の分を越えた行為である。
天羽優子氏は、弁護士なしの法廷の検察官・兼・裁判官に自らを任じているようだ。
私とのメールのやりとりで、彼女はこう言っている。

吉岡天羽 往復メール  2003年11月〜12月

吉岡
  しかしそもそも、中小メーカーには物理学や化学や生物学の学術的専門家はいませんから、まじめなメーカーであっても、カタログはどうせ、いい加減なものしかできません。まあ、格好のよさそうな文章を書いておけばいいだろう、くらいのものです。ですから、そんなこと
に目くじらを立ててみても、実際には何も改善されません。

天羽
  
別に,改善されることを目的としてやっているわけではありません。メーカーがどういう宣伝をしようがメーカーの自由,公開された宣伝に対してどういう批判をしようが批判する側の自由ですね。

驚いたことに、彼女が中小メーカーの文章にツッコミを入れるのは、その誤りを改善するためではないそうだ。どこをどう間違えようが、そんなことはメーカーの自由だと言う。しかし1−3で紹介したように、彼女はビジネス側の悲鳴に対して以下のように言っていた。


天羽  
もし、現状の科学をふまえて何が正しいかを解説した文書を、1企業に郵送で送った場合、その知識を利用できるのはその企業のみに限られてしまう。だから、典型的な宣伝をいくつか取り上げて、それに対するコメントを公開するのが、知識を広める上で効果的であると考えている。


このことと、「改善されることが目的ではない」という言葉とは矛盾している。どうやら、上述のようなきれいごとは建前にすぎず、私とのやりとりで本音が出てしまったということだろう。では「水商売ウォッチング」はいったい何が目的なのか。そのことについては第3章で論ずる。

彼女はまた、自分の専門外のことについてあやふやな知識をふりかざして、相手をうそつき呼ばわりしている。「細胞にちょうどいい浸透圧がある・・・ということだから」という伝聞の情報はまあ正しいのだろうが、だからと言って、ふつうの浸透圧より高い浸透圧を持つ液体はすべて体に悪いとは限らない。そもそも「真水を飲む」とは、浸透圧の高い水を飲むことなのだ。なるほど、細胞を生理食塩水などではなく、浸透圧が高い真水などに直接ひたしたら細胞の負担は大きいだろうが、浸透圧の高い水を飲んでそれが胃に入ったからと言って、すぐに体のあちこちの細胞ががんばらないといけないとは限らない。だから、「浸透圧が高い=細胞を活き活き」が「とんでもない嘘」かどうか、「真っ赤な嘘」かどうかは、にわかには断定できないことである。聞きかじりの知識で他人をうそつき呼ばわりするものではない。

ただしここまでの話は、浸透圧が溶質の濃度だけで決まるということを、一応正しいとして議論してきた。しかしそれが本当に正しいかどうかは再考の余地はあるようだ。そのことについては第2章で、浸透圧再論として論ずることにする。

最後に、浸透圧についての彼女の記述は、実は、無責任で不真面目なものであることを指摘しておこう。「水商売ウォッチング」の掲示板で彼女は次のように言っている。

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/list.php
[9558] 浄水器はともかく業者は信用できない

天羽
  
浄水器そのものについて,何をしているのかはっきりしているのは,活性炭+中空糸膜の手ごろな浄水器と,20万円程度の価格帯だが電解質までとれてほとんど超純水ができる逆浸透膜浄水器の2種類でしょう。ですから,うんときれいな水が欲しい人には「逆浸透膜はいかが?」って私は言ってます。私だったら,買った浄水器の水に不満があって,もっときれいな水がほしくて,値段で折り合いがつけば,逆浸透膜方式のものを買うでしょうね。


溶媒は通すが溶質は通さない膜を半透膜という。逆浸透膜浄水器は、溶媒である水は通すが、水に溶け込んでいるゴミや溶質は通さないという半透膜を用い、その半透膜の片側に水道水を置いて、それに圧力をかけて半透膜の反対側に押し出す道具である。すると、水道水に含まれる金属や有機物などの溶質は半透膜を通り抜けることができず、水分子だけが半透膜を通る。だから逆浸透膜浄水器を通って出てきた水は、彼女が言うように、「電解質までとれてほとんど超純水」になる。溶質が極端に少ない水だ。そして溶質が少ないほど浸透圧は高いのである。あらゆる家庭用浄水器の中で、逆浸透膜浄水器ほど水の浸透圧を上げるものはないと言える。

ところが彼女は、「浸透圧が上がって吸収がいい水を飲んだら、体の負担は却って増えてしまう」と企業側を攻撃する一方で、掲示板では上記のように、「買うなら(浸透圧を上げる)逆浸透膜浄水器」と明らかに逆のことを平気で言っている。なぜそんな食い違いが起きるのか。
それは、彼女が「そんな吸収のいい水を飲んだら体に悪いじゃないか!」と叫ぶのは、「タメにする議論」、企業側を攻撃するタメの言いがかりであって、本気でそんなことを心配しているわけではないからである。だから言ったことを忘れてしまう。「ひょっとして、浸透圧云々は全くの出まかせじゃないのか?」という彼女の批判は、そっくりそのまま彼女自身に向けられねばならない。

また、個人のホームページならともかく、国立大学の公式サイトで特定の型式を推薦することには問題がある。何か裏があるのではないかと思われても仕方のない行為である。
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