トップページに戻る
第1章 天羽優子氏の社会認識の誤り
1−1 水商売ウォッチングの建前
まず、天羽優子氏の主張を、「水商売ウォッチング」の序文から見てみよう。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html
天羽
水の加工方法がいろいろ考え出されて、加工装置が製造販売されている。おいしくて体にいい水が飲めるのはいいことなのだが、その加工方法の中には説明を見てもよくわからないものが混じっている。水の加工の効果の程は確からしいのに、その原理の説明がどう見ても意味不明だったりして、これではせっかくの装置の説明が逆効果ではないかと思うものもある。そこで、そういう水関係の装置の説明をしているページへの、コメント付きリンク集を作ることにした。ページを読んでわからないことがあったら素直にわからないと書くつもりだ。おもいっきり変だと思ったらツッコミを入れることにする。
天羽優子氏は、水を加工する道具を作っている会社がインターネット上で説明している内容が、おかしいと思ったら、そのページにリンクを張った上でコメントを書いたりツッコミをいれたりすること、それが「水商売ウォッチング」の目的だと言う。そして下記のような注釈をつけている。
天羽
注意:このページを、水商売を非難したり特定の会社の営業を妨害したりするページだと勘違いする人がたまにいますが、全くの誤解です。ここで行っているのは、会社が公開した製品のメカニズムの説明や、その他の出版物の内容について、科学的に正しいかどうかという観点から議論するということです。会社が公開した試験方法そのものに疑問がある場合はそのことも議論します。特定の会社の製品の最終的な効果については、会社が提示する実験結果等を基本的にそのまま認めています。つまり、「会社は虚偽の試験結果を出さない」という性善説が、私の議論の前提になっています。
ここで取り上げたからといって、製品の販売がいけないということや、性能が悪いということは意味しません。理由は不明だが効果がある、という製品は、効果の確認がしっかりできているなら販売することには何の問題もありません。現段階で科学的説明が無いことを理由に、有用な水処理方法を捨ててしまうことは、やはり科学の誤用になるでしょう。
メカニズムがあとから説明されるというのはよくあることです。ただし、製品の販売や宣伝の際に、わざわざ誤った科学的説明を無理矢理くっつけるということは、科学に対する誤解を広める可能性があるので、私の立場としては見過ごせないからツッコミを入れます。
つまり、天羽優子氏は、説明にコメントをつけたりツッコミを入れたりはするが、企業側が発表するその製品の効果については、会社が提示する実験結果などを基本的にそのまま認める、自分は営業を妨害するつもりはないと言う。
しかし、彼女のこのような発言は「まやかし」である。彼女は、「妨害するつもりはない」と言うばかりで、彼女の言論が結果として営業妨害になるかどうかについては、ここでは言わない。なぜ言わないか。それは彼女が、自分の言論が営業妨害に問われることを知っているからである。
当サイトの沿革 http://atom11.phys.ocha.ac.jp/history_doc.html
天羽
「水商売ウォッチング」のように、一般企業の宣伝内容に突っ込むと、営業妨害だと言われることは当然予想していた。私が書いた内容が違法かどうかの最終判断は裁判所でやることになるが、そのときの被告に大学を入れるのはまずいと思ったので、大学は内容までは関知しないということを示しておこうと思った。
彼女は、会社や製品を実名を挙げて批判すれば、それが必然的に営業妨害という反発を生むことを知っており、裁判という事態も想定した上で、「水商売ウォッチング」を書いているのである。
1−2 通常の販売のやり方
通常、製品を販売するときの売り手の口上はどうなっているか。私たちが扱っているマイナスイオン水生成器の例で言えば、以下のようであれば十分である。
◆マイナスイオン水生成器を使うと(原因)
◆お風呂が気持ちよくなりますよ (結果)
・・・だから、一家に一台、いかがですか?
これで十分なのだが、そこは顧客の心理というものがある。「え、ほんと?どうして?」ということになる。買うのは「結果」を買うのだから、どうして?(科学的根拠)という理屈はそれほど重要ではないのだが、やはり買い手の心理として、納得できる説明をしてもらった方が安心だ。そこで売り手は、「それはですね、これこれ、こういう原理なんですよ」と説明することになる。つまり口上は、
@マイナスイオン水生成器を使うと(原因)
Aこういう原理で水が変化して、(理屈)
Bお風呂が気持ちよくなりますよ(結果)
・・・・・だから、一家に一台、いかがですか?
となる。これが通常の商売のやり方である。「理屈なんかどうでもいいからとにかく買え」という売り手はいないし、それで買う人もいないから、ある程度の理屈は必要だ。
ところが、大企業ならともかく、わが国において売り手の多くは中小企業であって、どういう理屈でそうなるかをきちんと説明できる人材がいない場合が多い。たとえば中小企業の社長や技術陣が機械工学出身だったとすると、あまり化学的な事柄や生物学的な事柄には精通していないことがある。だから、それらの人々がなんとか活水器を作ってよい結果が出ても、どうしてそうなるのか、その理屈をうまく説明できないこともある。思いこみもあるし、間違って理解していることもあるし、単なるミスプリがあってもなかなか気づかないところもある。さらに、そもそも新しい製品の場合は、現代科学の知識では、なぜそうなるのかを説明できない部分も多々ある。
だから、どうしてもAの「理屈」の部分は手薄になる。しかし、もともとAの部分は、購入を決断するためにそれほど重要な部分ではないし、買い手にも専門的な知識があるわけでもないから、買い手は適当なところで納得して、「ふ−ん、なるほどねえ」と言って購入する。このとき仮に、科学的説明が不十分であったり間違っていたりしても、その製品がもたらす結果が、売り手の言っていたとおりであれば顧客は満足するし、ビジネスとしてはそれでよいのである。
ビジネスは、科学の解説をするのが目的ではなく、要は、Bの「結果」の「お風呂が気持ちよくなりますよ」というところが本当かどうか、買い手が納得できる結果が得られるかどうか、そこが問題であって、物品の売買としてはそこだけが問題なのである。もしそこに虚偽があれば、それは詐欺だからいずれ司直によって制裁される。意図的な虚偽ではなくても、Bの部分に間違いがあれば、その製品は売れなくなるし、場合によっては損害賠償の対象にもなる。虚偽も間違いもないが、なんらかの理由で買い手が満足できなければ、返品制度によって買い手は守られている。こういう仕組みがあるから、たとえAの部分に間違いがあっても、Bの部分に間違いがなければ、ビジネスとして許容されるのである。
1−3 企業側からの悲鳴
その、本質的にはどうでもよいAの部分を「科学の目」で検証して、ツッコミを入れようというのが、天羽優子氏の言い分である。ビジネスに「科学の目」を持ち込もうというわけだ。そうすれば世の中の科学に対する理解が改善される、というのが彼女の考え方だ。
しかし、相手の会社名や製品名を名指しして、お茶の水女子大学の名でAの部分にツッコミを入れれば、それを読む読者にはおのずからBの部分も怪しく見えてくる。そうなれば販売に支障をきたすことは明らかだ。しかもその批判は無警告で先制的に行われ、そのツッコミの表現はしばしば、「高校の教科書をちゃんと理解することが先ではないだろうか」などという居丈高なものだから、なおさら販売に影響が出る。
彼女はそんなことは百も承知で行動しているわけだが、批判される側は悲痛である。彼女の言論によって損害を受けた会社から寄せられた悲鳴と、それに対する天羽優子氏の回答を見てみよう。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/claim/comment3.html
S管理サービスの常務への回答
常務
当社へのコメントを一刻も早く削除してくれ。読んだ客が「水商売ウォッチングで叩かれてた」と言って製品を買ってくれない。こちらはこれで食っていかなければならないから困る。
天羽
削除するつもりはない。ただし、私が水商売ウォッチングで叩いているのは、宣伝内容のうち科学的にヘンな主張のみであって、活水器そのものの性能については何も言っていない。例外的に、業者が宣伝で使った試験方法がヘンな場合はそのことを指摘しているだけである。活水器の性能は、水質検査をやって確認するものだ。私がずっとやってきたことは、消費者に対してはトンデモ科学理論は無視して業者の出す検査結果を信用するべきだということを説得し、業者に対してはトンデモ科学理論を付けずに確立された方法で効果を確認しそちらを前面に出して宣伝するべきだという主張である。
本当に一刻も早く削除しなければならないほど困っているし、弁護士に相談しているということであれば、公開差し止め請求を裁判所を通して行うべきだろう。迷惑行為の差し止めは、判決を待たなくても仮処分だけでできたはずだ。そうなれば、こちらもその旨を明記して一旦取り下げて、公開の是非を法的に争うことにする。
常務
こちらが直した宣伝にまでコメントを書かれると商売にならない。なぜ、批判を公開するのか?なぜ、直接会社に知らせないのか?喧嘩を売っているのか?
天羽
喧嘩を売るつもりは全くない。公開している理由は、直接批判内容を会社に知らせてもほとんどメリットがないからだ。私の目的は、企業が使っている宣伝の中の水及び水に関連した科学的説明について、それがもしヘンな説明であれば、液体の物性研究という立場から本当はどうなのかを述べて、その知識を広く知らせることである。つまり、私はたまたま水について一般の人より科学的に正確な情報を知りうる立場におり、私がそういう立場にいるのは社会が支えてくれている(国立大学の設備を使って研究し、国立大学の設備で情報発信しているので、間接的に皆様の税金でまかなわれている)のだから、知識を世の中に還元するという役割があると考えている。
もし、現状の科学をふまえて何が正しいかを解説した文書を1企業に郵送で送った場合、その知識を利用できるのはその企業のみに限られてしまう。ところが、ネットで検索してもらえればわかるように、多くの企業が似たり寄ったりの誤りを宣伝で使っているのが現状である。私が解説に使える時間と労力には限りがあり、全ての企業に対してそのような指摘をする余裕はない。だから、典型的な宣伝をいくつか取り上げて、それに対するコメントを公開するのが、知識を広める上で効果的であると考えている。実在する企業を取り上げている理由は、私のコメントを読んだ読者が「その宣伝文句は私のツクリじゃないか」と思わないようにするためである。
天羽優子氏がきわめて自己中心的な考えの持ち主であることがよく分かる。ここでは、この会社の製品のB「結果」の部分について言及がないが、いまのところ売り手と買い手の間には争いは起こっていないようである。つまり、すでにその製品を使っている顧客は満足しており、新規顧客の開拓もふつうの営業活動がまじめに行われているのである。そういう状況で、自分に科学的知識があるからと言って、司法当局でもない者が、争いが起こってもいないところに争いを起こすようなことをして良いはずがない。自分は世の中に正しい知識を広める義務がある、それは正義である、その正義のためにビジネス側が泣いたとしても、「そんなことは私の知ったことではない、泣かなきゃいけないような説明文を書く業者が悪い、私は忙しい、個別の業者にいちいち関わり合っている時間はない」と彼女はケンもほろろである。ビジネス側はケンカを売られたと感じているし、ただ、ただ、販売減少の憂き目に会って泣き寝入りである。
実名を出す必要はない
また、実名を上げて批判する理由は、「私のコメントを読んだ読者が「その宣伝文句は私のツクリじゃないか」と思わないようにするためである」と言うが、これも呆れるほど自己中心的な考えで、誰が傷つこうと自分に有利であればそれでよいというわけだ。しかし、相手の実名を上げる行為は、それが悪口であったり批判であったりする場合は名誉毀損となることがある。自分では批判の内容が正しいと思っても、それが正しいかどうかは司法の場でしか決められない。その結果名誉毀損になることもあるのである。最近、住宅リフォームの会社が年寄りを食い物にして悪どい商売をしていたことが明るみに出たが、あれほどの悪徳商法でさえ、新聞は司直が動くまでは匿名報道をしてきた。実名を上げるということは、それほど慎重でなければならないのだ。言論は自由だから、どのように批判しても自由だろうが、相手の実名を出して批判してよいかどうかは、言論の自由とは別の社会規範である。それは媒体が何であるかとは関係がない。相手の実名を出しての批判はよほど慎重でなければならない、というのが私たちの社会規範である。
それに実用的にも、「作り話と思われないようにする」それだけのためにわざわざ相手の実名を上げる必要は全然ない。批判は「A社のB製品」などと匿名で表現しておいて、「それはこの製品です」と、そのA社のサイトにリンクを張ればよいことだ。そうすれば、その情報が「私のツクリ」かどうか、読者はリンク先を見て確認できることになる。また、そういうやり方をすれば、A社のB製品の購入を検討している人が、AとかBとかの実名でインターネットで検索したときに、A社やB製品のページは出てくるが、「水商売ウォッチング」にはその実名が出ていないから、そちらは検索にはかかって来なくなる。こうすれば、A社の名誉やB製品の販売にダメージを与えることなく、「私のツクリ」ではないかと疑われたくない、という天羽優子氏の願いも叶えられるわけだ。
しかし天羽優子氏はそうはしない。なぜそうしないのか?それは「水商売ウォッチング」の目的が、別にあるからである。A社のB製品を購入しようと検討している人が、その実名で検索したとき、「水商売ウォッチング」も一緒に検索にかかるようにする、それが天羽優子氏の狙いなのだ。
トップページに戻る